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「うわさ」

私は噂の影響力を知っている。

それが真実だろうが嘘だろうが関係ない。

火のないところに煙は立たない。そんな心理が働いてなのか、噂を無視する人間は珍しく、噂を耳にした瞬間その真偽に関係なくそれは心に刻まれる。

例えば仲良しグループがあったとする。

その中の一人に、


「あいつこないだお前の悪口言ってたらしいよ」


グループに関係の無い第三者からそんな事を言われただけで、多くの人間が疑心暗鬼に陥る。

外から観ていてもグループ内のぎくしゃくさを感じる事ができる。

そこに全くの根拠がなくても人間なんてそんなものなのだ。


自分の知らない所でそんな事があったんだ。


少し席を外してる間に、今までと違う話題で盛り上がってる。


誰かが席を外した瞬間、そいつの悪口がまるで間違えて衝撃を与えてしまった炭酸ジュースの口を開けた時のように飛び出す。


そんな場を誰もが経験した事があるだろう。

経験した事があるがゆえに、席を外すのが怖いときすらある。


そしてその多くが本人に確認もとらない噂で形成されていて、その場にいない誰かの


「あいつさ…」


で始まる主観的な一方通行な話で始まる。一度聞いてしまえばその話は心に残ってしまうのである。

聖人君主なクラスのマドンナですらも


「いつもあんな良い人ぶってるけどこないだ職員室から出てきた瞬間に人がいないの見計らって、ロッカー蹴ってたの見ちゃったんだけど」


そんな一言で一瞬でイメージが変わる。良い人だな!って見てた日常でさえも、でも裏ではこうなんだろうな。って勝手に脳裏をよぎってしまう。


印象操作ってやつだろう。噂ってやつはそれほどまでに厄介だ。自分の知らない所で生まれ勝手に育っていく。誰でも面白おかしくしたいからなのか、まるで食べ放題のお皿に料理をたくさん取ってしまうかのように、自分の感情や印象を盛り付けてしまうからなのか噂はオーバーに話されていく。


だからこそ私はそこに多少の真実を混ぜて噂を流している。莇里奈がいじめのターゲットであり続けてもらう為に。

彼女の噂を作るのは、たやすかった。


本人が他人と多くコミュニケーションを取らない事と、でたらめな噂を否定したりするような性格ではなかったから。


学校の裏サイトに匿名の発言をするだけ、クラスメイトの誰かに

「こないだ聞いた話なんだけどさ…」

そこに少しの真実と悪意を添えるだけで、彼女はどんどんと周りに面白がられる。

そして、いじめられる。


特に彼女は話の宝庫である。家庭環境、世間知らずで空気の読めない発言、現在の環境に反発してこない行動はいじめる側からしたら好都合だ。


おそらくクラスだけでなく、同級生は皆わかってる。彼女がいるうちは自分がいじめられる事はないと。

言わばいじめられっ子の才能を持ってうまれてきたのだ。そして、その才能を無駄にする事なく日々を生活しているのだ。


彼女がいるだけで救われている人間が何人いることだろう。


これからも大事にいじめなければならない。


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