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マナー

自分の部屋に戻り、例のドルオタくんとメールのやりとりをする。


同級生の男の子と連絡を取っているのがまわりにばれたら非難を受けそうだと勝手に周りに人がいない時にだけやりとりをすることを自身にルールを作っている。


彼の名前を「ドルオタ」と登録してしまったのが、間違いだった。あだ名としてはこれ以上わかりやすいものはなかったが、彼の名が思い出せない。不用意にあだ名をつけてしまったせいで彼は私の中でドルオタが定着してしまっている。


彼は純粋にアイドルが好きらしく、今日はこんなことがあったよ!等と報告するとそれを自分の事のように喜んでくれたり、必死に解決策を提案してくれる。


箸の持ち方を注意された。と報告すると立て続けに箸の持ち方がおかしいと指摘された芸能人達の画像が送られてきた。


箸の持ち方。世の中はそんなところにまで敏感らしくあげればきりがない程に画像が送られてくる。


矯正器具も売ってるから絶対なおしといた方がいいよ!


今日の最期のメールはそんな文で締めくくられた。


なんとなく気になってしまい、正しい箸の持ち方を調べ始めたらいつの間にか食事マナーにまで行き着いてしまい動画サイトでショートケーキの正しい食べ方なんて映像を見ていた。


こんな誰も知らないようなマナーを実戦したところで余計に周囲から浮いてしまうだけなんじゃないかと思った。


ケーキを囲ったビニールの剥がし方やら一体どれだけの人が知っているのだろうか。


私が世間知らずなだけで周知のマナーなのか疑問ばかりが浮かんでしまったので、落ち着かせる為にレッスン室に行く。


私はただひたすらに正解が定められてる教えてもらったトレーニングや基礎的なステップの反復練習を繰り返すのが日課になっていた。


ドルオタ。彼とのやりとりはおそらく順調だ。私が何か学校内の事を知りたくなった際には私の為に働いてくれるだろう。


そんな雑念が混ざりながらも基本のステップは乱れる事なくこなせるようになっていた。


私は今、真剣にアイドルをしている。

ロボのようにひたすらに教えられた動きを身体にインプットしている。

その成果もあり私のダンス技術はぐんぐん上昇している。


その反面、父を殺したもの達への復讐がその動力源になっている人間らしさがなんだか自分でも可笑しく感じる。


身体をオフモードにする為のストレッチをしていると、白岩さんが私のもとにわざわざやってきて


「今日も頑張ってるね!一緒にお風呂いかない?」


初めてのお誘いだった。

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