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74.暗殺の依頼



 ヨミは今、貴族街にいた。第1の街のアルトの街にあり、普通のプレイヤーは入ることも出来ないが、アグネウス男爵家の通行証を持っているヨミは素通りさせて貰えた。


「ふぅん? 思ったより大きくないわね?」

「そりゃ、ここは別館だからな」


 依頼を受けると返事を返したら、案内地図を送って貰った。案内通りに歩くと、男爵家にしては質素な屋敷前に着いた。部屋数は多そうだが、庭は広くもなくて少し年季が入った建物だったから、言葉を漏らすと門番をしていたタマオが教えてくれた。


「本館は別の所にあるが、ルファス男爵はあのことでしばらくは本館を離れて暮らしている訳さ」

「そうなんだ。つまり、ルファスお兄ちゃんの両親に会うことはない?」

「そうだな。俺達と数人の使用人しかいないから、その呼び方でも問題はないだろうな。ギンシは良い顔をしないが、気にしなくていいぞ」

「それはありがたいわね」


 面倒そうな作法をする必要がないのは助かる。ゲームをしていて、堅苦しい礼儀とかをしなければならないのは嫌だからだ。




 タマオに応接室まで案内して貰い、ルファスが来るまで待つことに。


 別館に住んでいたんだ。更に仲良くなったらいつか、本館へ招待されることもあるかもね。


 そんなことを考えていたら、足音が聞こえてきた。複数の足音からルファス達が来たとわかる。


「久しぶりだな」

「ルファスお兄ちゃん、久しぶり!」

「おっふ!」


 笑顔を見せると、ルファスは呻いた。側で見ていたギンシは呆れた表情で溜め息を吐いていた。


「ルファス男爵、落ち着いてください。ヨミも普通にしてくれよ……」

「あら、何のことかな?」

「……まぁいい、もう隠さなくてもいいぞ。ここで聞いている者は俺らしかいないからな」

「…………?」


 ギンシが言いたいことかわからず、ヨミは顔を傾ける。


「先に言っておくが、俺らはお前と敵対するつもりはない…………人を殺した経験があるだろ?」

「ッ、へぇ……どうして、そんなことを言うのかな?」

「実は、この前にあるアイテムで見た。お前の名前がイエローだとな」


 ここでヨミは警戒心を高めた。空気が変わったのを感じ取ったのか、タマオが慌てて止めてきた。


「待て待て、俺らには敵意はないからさ!!」

「…………何のためにここへ呼んだのですか?」


 ここへ呼ばれたのは、イエローであるヨミを捕まえる為に策を講じたと思っていたが違うようだ。


「イエローであっても、頼みたいことがあるからだ」

「……汚れ仕事なんですね?」

「待ってくれ、俺は反対したんだ!」

「でも、すぐ動かないと貴方の命が危ない。強さがあり、人を殺せる度胸がある人物の知り合いはヨミしかいません」


 ルファスに目を向けただけで、慌てて反論してギンシがヨミを呼んだ理由を話してくれた。


「え、ルファスお兄ちゃんは命を狙われているの?」

「あ、あぁ……残念なことにな。ブレイブグリズリーの件で良く思わなかった者がいて……」

「数日前に暗殺者が来たと言う訳だ。まぁ、運良く俺達が片付けられたが、また来たら必ず守れるとは限らないからな」

「ふぅん……それで、今回の依頼って?」

「そうだ。暗殺者を送り出した貴族、そいつを暗殺して欲しい。お前なら出来ると思って、依頼を出した」


 どうやら、嘘は言っていないようでルファスも本当に困っている様子だった。


「しかしな……渡り人で死なないと言え暗殺を頼むのはなぁ……」


 違った。ヨミに暗殺の依頼を頼むことに葛藤しているだけだった。


「そうなんだ。敵対するつもりはないならいいけど」

「む、受けてくれるか?」

「えぇ、その前に聞きたいことに答えてくれるならね」


 ヨミはアルティスの仮面を持っている。なのに、それを突き抜けてイエローであることを見破れたことに納得いってなかった。


「やはり……レア度はSSSだろ? あの仮面は。簡単に言うなら、SSSのアイテムを持っているのはお前だけじゃないと言うことだ」

「あぁ、成る程ね……」


 ヨミはそれだけで理解した。おそらく、SSSのアイテムを使い、ヨミがイエローであることを見破った。男爵家にあんな国宝級があることに疑問を持ったが、実際に見破られているから信じるしかないだろう。


「わかったわ。依頼は受けていいけど、報酬はお願いね?」

「問題はない。口止め料も払うから、結構な額になる筈だ。ルファス男爵、構いませんか?」

「う、うむ、無事に帰ってくるんだぞ」

「そういいや、渡り人は現地人を殺すとレッドになると聞いたことがあるがいいのか?」


 気付いたように聞いてくるタマオ。渡り人については前もって説明されているからなのか、ある程度の情報を持っている。


「指名手配されたら、レッドになるけど暗殺ならバレはしないでしょ? もし、目撃者がいたら、その人ごと消していいのかしら?」

「それはいいが、出来るだけ目撃されないように動いてくれ」


 別にレッドになっても、暗殺する時は名前を出さないしアルティスの仮面を被っているから指名手配ではヨミの姿では出ない筈だ。それなら、レッドになってもアルティスの仮面を被らなければわからないってことだ。


 レッドになったとしても、それはそれで面白いからいいけど。


 ヨミにとってはレッドになっても損はない。ただ、なるのが早まるだけなのだからーーーー









貴族からの暗殺依頼!

イエローだとバレたけど、敵対はせずに仲良くしていく考えのようだった。この後のルファス男爵との付き合いがどうなるか?

ヨミの良いように動いていくかは、続きをお楽しみにしていてくださいね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「わかったわ。依頼は受けていいけど、報酬はお願いよね?」 ↓ お願いね
[一言] ルファス男爵そんなことになってたのか にしても面白い
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