９９．リベンジならず
プロローグを含めれば、この話が１００話目になります！(*’ω’ノノ゛☆パチパチ
特に特別なことは何もありませんが、おめでたいです。皆様も読んで頂きありがとうございます。
では、前話のリベンジの続きです。どうぞ！
《『もののふサークル』ファイマ視点》
アドラスの魔法が仮面ちゃんに当たった。防御の要であったテイムモンスターは引き離したから倒せている筈だ。
なのに…………
砂煙が大量に漂う中、黒い物が自分の横を通り過ぎたと気付いて振り向くとーーーー
「ひぃっ！」
「マオ！？」
振り向くと、そこにあったのは首がないマオの姿だった。顔があった場所を通ったのは黒い……大きな刃物だった。
「な、まさか！？」
「うひ、うひひひひひ、あはははははーーーー！！」
「まだ生きて！？」
「アレを喰らって……！」
砂煙が少し晴れると、影が見えるようになってまだ生きていると理解した。
「はははーーーー、ふぅ……初めてよ。プレイヤー相手に体力を半分も削られたのは」
仮面ちゃんの言葉に体力バーへ目を向けると、確かに半分程は削られている。何故、ＩＮＴがとても高いアドラスの魔法を喰らって、半分しか削られていないのか気になったがーーーー向こうは興に乗っているからか口が軽かった。
「もし、ドルマを盾にしなかったらやられていたわ。戻りなさい」
「ギゲゲゲェ！」
「な、何よそれ！？ 目と口が……ッ！ まさか、口でマオを！！」
今までの刀型と違い、それは生き物のような剣だった。鋭い歯が並ぶ口を見て、納得した。マオはその口で喰い破られたのだと…………
そうか、アレを盾にして直撃を避けたんだな！？ クソ、一先にマオを狙われたか……
マオはパーティの回復・支援で大黒柱のような存在だった。本来なら身を盾にしてでも守るべきだったが、攻撃が速すぎて動く事さえも出来なかった。
「うひっ、ドルマの動きに反応出来なかったのね。任せてばかりじゃ、つまらないから伸ばさないであげるわ」
「余裕のつもり！？ あと半分を削ればこっちが勝つわ！」
ミアの言う通り、残りは半分だけなので薬で回復されないように立ち回れば……
「残念ね。『月の癒し』……はい、ほぼ回復しちゃったわよ？ うひひひひひ」
「な……回復魔法まで！？」
「なんということだ……」
回復されないように近付いて攻め、薬を取り出したらミアの投げナイフで邪魔をして貰おうと思った先に、魔法で回復されてしまった。
スキルの構成を推測したが、あれだけの多彩な技能に強力な魔法を使っていたから回復魔法まで入れる余裕はないと思っていたが、それは外れてしまう。
「……ロブスタ、ミア。捨て身で行かないと勝てない。いいな？」
「わかったわよ。刺し違えてでも倒すわよ！」
「やれやれ、やるしかないな」
「アドラス……」
「了解だ」
短い言葉でもアドラスはファイマの言質を理解する。皆が覚悟を決め、仮面ちゃんへ向かおうとするが……
「うひ、ドルマ。鳴けぇ！！ 『呪怨咆哮』！！」
「ギゲゲゲェェェェェーーーー！！」
ドルマの咆哮で威圧に似た圧力で恐怖心を増幅させ、衝撃波も生み出されて範囲に入っていたファイマ、ミア、ロブスタが吹き飛ばされてしまう。
「うわ、うわぁぁぁぁぁ！？」
「キャァァァァァ！！」
「な、しょうげーーきぃぃ！？」
ドルマの咆哮が届いていないアドラスは前衛が崩れたのを見て、魔法で仮面ちゃんの邪魔をしようとしたが……向こうの方が速かった。
「な、がぁっ！」
「な、伸ばさないんじゃなかったのか！？」
アドラスは杖を持っていた腕を噛み砕かれ、部位破壊をされていた。先程、伸ばさないと言っていたのに即時撤回と言うようにドルマを伸ばしていた。そして、仮面ちゃんがドルマを振り抜いて首を落とされる。
「あら？ 私はＰＫプレイヤーよ。約束を守る訳がないでしょ？ 嘘に騙された人がバカなのよ」
「ギゲゲゲ！！」
「貴様！」
「うひひひ、あはははは！！ ドルマ、好きなように暴れなさい！」
そこから地獄だった。ファイマは１番先に脚を喰われたが、やられたのは最後で仲間達が腕や脚を斬り裂かれたり噛みつかれる所に助けることも出来ず、見ているしか出来なかった。
そして、自分も皆が送られた教会へ送られた時、思い出す最後の記憶は鋭い歯が並んだ口が自分の顔へ向かってきている所だったーーーー
リベンジならずでした。
仮面ちゃんというより、ほぼがドルマの活躍になってしまいました。まだレベル３０にもなっていないパーティが本来のドルマを解放した仮面ちゃんへ挑むにはまだ早すぎたようです。
では、次話をお楽しみに。
