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おっきな手  作者: リア
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寒かった。

箱の中から出られず、ただ震えていた。


いじめる手がたくさんあった。

手は、怖いもの。

そう覚えた。


箱の中には俺より小さい、だいだいがいる。

他には誰もいない。

だいだいは小さいんだから、俺が護らなきゃいけない。

そう思った。






だいだいを護る為、俺は必死で箱の中で耐えた。

たくさんたくさん怖い手と戦った。


ある日。


『行くぞ』


おっきな手が、いきなり俺とだいだいを抱き上げた。

必死で暴れた。


でもだいだいが、そのおっきな手に擦り寄った。

……裏切られたような、気がした。






痛い『ちゅうしゃ』や苦い『くすり』をたくさん飲んで、俺とだいだいは元気になった。

元気になった後、おっきな手は、俺達をおっきな場所に連れて行ってくれた。

そこの手は、誰も俺達をいじめなかった。


だいだいは、おっきな手や他の手と仲良くしだした。

そして。

おっきな手が連れてきたおっきな場所にいた、同じ猫のくれないや他の動物達とも仲良くなっていた。

俺はいつも庭の隅で、皆がおっきな手に懐くのを見ていた。


くれないは優しかった。

他の動物達も優しかった。

おっきな手も、他の手も、優しかった。

だいだいが懐いた理由が判った。

俺はまだおっきな手が怖かった。

でも、本当は、だいだいや、くれないにおっきな手がしているように。

俺も、おっきな手に撫でて貰いたかった。


でも、怖い。

おっきな手が優しいのは、だいだいとくれないにだけなんじゃないだろうか?

おっきな手は、俺も…受け入れてくれるんだろうか?


今日もだいだいとくれないがおっきな手に懐いているのを、木の影から見つめる。

傍に近づける勇気があれば。いつか、撫でて貰えるのだろうか?

おっきな手が、俺の事も手招きしている。

俺の事も、呼んでくれる。

でも近付くのは…怖くて。


「ここに置いておく」


みるくが、おかれた。

おっきな手がいなくなるのを見て、警戒しながら近付いて、食べた。

何故か、みるくは……しょっぱい気がした。

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