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反乱軍鎮圧2

ついに動き始めた帝国軍。

それに対して反乱軍はどう動くのか……?


全2回のうち2回目の投稿です!

-----------------同時刻。反乱軍総大将陣営


――我々は今、帝都目の前の最終攻撃目標の前にいる。

この戦地を抜ければ帝国滅亡はもう一息だ。だがしかし、それももう少しで終わるだろう。

「我々は敵を撹乱し、2倍の兵力差がありながらもここまで敵を苦しめてきた。この戦いも時期に終わるだろう。」

そう発言したのは、反乱軍総大将のクローム将軍だった。クローム将軍はメリクス大陸では最も強かったロール帝国の将軍だった。

しかしある日、隣国であったロレマーノ帝国に突然攻め入られる。

あまりの進撃の早さにロール帝国はなすすべもなく滅ぼされてしまった。

しかし当時の帝王である先代の帝王は、帝王は殺すのが当たり前という世にも拘わらず、傘下へと加えられたのだった。それ以来、クローム将軍はロレマーノ帝国の繁栄に力を尽くしてきた。ところが……

「その先代がお亡くなりになり、子のアウグス様が即位されてからは帝国はがらっと印象を変えてしまった……。帝国領内には力こそ正義という空気が漂い、隣国を次々と滅ぼしてしまった……一人残らず!」

「クローム様。」側近であるエイフ偏将軍が話しかける。

「お気持ちは分かります。そのために我々は逆賊の汚名を被ってまで反旗を翻したのですから」

「そうだ!すべては帝国のため!もう一度我々が帝国を立て直すのだ!」

「クローム様!」

その時、一人の伝令がクローム将軍の前へとあらわれる。

「どうした?」

「ついに敵が動き出しました!」

「そうか!」

クローム将軍は待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべる。

「やりましたな。連日勝ち続きの我々にもはや怖いものはございますまい。」

エイフ将軍の言葉にクローム将軍も続く。

「うむ。士気も十二分に上がっている。今帝国軍は傷つき、士気もガタ落ちだろう。

……して、その軍勢は?」

クローム将軍の問いかけに、伝令は少し困った様子を見せた。

「そ……それが……」

「どうした!はっきりせんか!」

「ハッ……ハイ!実はたった1人だけなのです……」

「なにっ!?」

クローム将軍はその言葉に驚く。

「この馬鹿者!一体何をもってして攻撃と見誤るか!」

エイフ将軍が怒る。

「すいません……。しかし、その一人は『帥』の旗を持っておりまして」

「『帥』の旗だと…!?」クローム将軍は歩き出す。

「どけっ!私がじきじきに確認する!」



「(まさか、そんなはずはない。『帥』の旗ということはそこには総大将がいるということではないか。

総大将がたった1人乗り込んでくるなど、正気の沙汰ではない!)」

クローム将軍の歩みが少しずつ速くなっていく。陣営にいる兵士たちも困惑しているようだ。

「もしもこれが本当であるならばそれは絶好のチャンスではあるまいか……?」

「いや、待て待て」クローム将軍は首を振る。

「そもそも『帥』の旗を持っているからと言って総大将である保障はどこにもない。それに、そんな事が起こるなんて罠の確率の方が高い……。」

「クローム将軍。」エイフ将軍が隣から話しかける。歩みについていくのは大変そうだ。

「確かに罠の可能性は否定できませんが、帝国のやり方に気に入らず、抜け出してきた可能性も捨てきれまえぬ。総大将の情報があれば帝都滅亡は叶ったようなもの。どうかその点も考えていただきたく存じます。」

「ふむ。」クローム将軍は物見やぐらのはしごに飛びつく。

「どのみち、今までの中で一番重要な決断を迫られていることは確かだ。

慎重に判断せねばならん。」



ものみやぐらに上がったクロード将軍。そこに映っていたものは紛れもなく『帥』の旗だった。

「『帥』の旗だな。……少しずつこちらに向かっているようだが……」

「投降ですかね?」見張り兵が言う。

「攻撃の意志がない事を示すために1人で来たとか」

「しかしだな」クロード将軍は眉をひそめる。

「裏切りには追手がつきものだ。ふつうは夜、人目のつかない時を選んで投降するものだが……」

するとその時戦場に砂煙が立ち込める。

帝国軍の陣営から騎兵部隊が投入されたのだ。

「大変ですよクローム様!追手が現れました!」

「分かっておる。あの状態では逃げ切れそうにないな……。エイフ!」

「ハッ!」

エイフは手のひらと拳を合わせ、ひざまずく。ついに戦いが動き出す時だ。

「私はこれから3万の兵を率いて追手を退け、総大将と思わしき人物を迎え入れる。

お前は2万の兵でここを守り、状況に合わせて援軍を送れ!」

「承知しました!」

エイフはスクッと立ち上がるとものすごい速さではしごを下り、命令を出す。

「全軍戦いの準備だ!1万隊長はこれに!急げ!」


------------------------------------


砂煙が舞い上がる。戦場でも、できればベストな状態で戦いたいものだ、とアルド将軍は思う。

追手の騎兵部隊の隊長はアルド将軍だった。

「よいか。敵が攻めてきたらそれに全力でぶつかる。周りをそぐように、突撃力をうまく使うんだ」

ドドドという馬蹄の響きと、馬のいななきが重なる。

「伝令!歩兵部隊が戦場に現れたようです!その数3万!」

「歩兵か。……皆の者!うまくかわせよ!」

空に拳を突き上げ、後続が「オーッ!」と言葉を震わせる。


「帝国軍はどうやらこちらに向かってくるようです!」

こちらも突撃体制を整えつつ、周りの情報をクローム将軍に集める。

「敵総大将は?」

「はっ!無事保護しました!」

「そうか。」

クロード将軍は軍の真ん中に位置しながら進軍を続ける。

「全軍!敵の追手を退ける!迎え撃て!」



ついに両軍が相見える。

馬は啼き、声は かちあい、槍は交差した。

二つの部隊の激突は、一瞬にして砂煙の中に消えた。

アルド将軍がスッと腕を上げると「ジャーンジャーンジャーン」と鐘の音が響き渡る。

それを聞いて後続の騎兵隊は両翼に展開し、固まっている歩兵隊を取り囲む。


「いかん!」

これを見ていたエイフ将軍は馬に飛び乗る。

「良いか!これから我々は敵の包囲を破り、戦況を押し返す!我に続け!」


「オオーッ!」という掛け声とともに2万の騎兵隊が反乱軍陣営から出撃する。反乱軍騎兵は右翼に兵を固め、包囲突破を狙っていた。

それに対峙せんと言わんばかりに帝国軍は押し返す。

しかし、右翼の兵力差に帝国軍は完璧に対処しきれなかった。

帝国軍右翼は徐々に押され、ついに突破口を露呈させる。

「今だ!」

クローム将軍が退却の合図を上げると、その突破口めがけて反乱軍が突撃する。

その勢いに包囲網は簡単に破られてしまった。

これにより、帝国軍騎兵は混乱し始まる。

クローム将軍はこの機を逃さんと言わんばかりに声を挙げる。

「全軍、陣に撤退せよ!」

騎兵を足掛かりに、歩兵が続く。その様はまるで水の如く、流れるように退却した。

混乱が解けた騎兵隊の前には、人1人残っていなかった。

「……」

アルド将軍は表情1つ変えなかった。しかし、その顔はすぐさま笑顔に変わった。

「全軍、突撃!」



陣営に帰ってきたクローム将軍とエイフ将軍。戦場で失った兵は多いが、まだまだ反乱への志願兵はたくさんいる。彼らを登用すればこの損害は跡形もなく消え去るだろう。

クローム将軍は心を痛めたが、総大将を保護できたという戦果に夢の実現の一歩を感じた。

「犠牲は多かった……。が、後少しでこの戦いも終わりだ。」

エイフ将軍は槍を突き上げ陣に向かって叫ぶ。

「クローム将軍のお帰りだ!開門開門!」


しかし、陣営からの返事はない。

「将軍。どうも様子がおかしいです。人の気配が感じられませぬ。」

伝令が助言する。

確かに、静まり返った陣営前は、逆に恐怖すら感じる。

「しかし、ここにいつまでもとどまっているわけにもいかん。

誰か、門をこじ開けてまいれ」

そう言われ、近くの兵士達が馬を飛び下り、門へと向かった。

だが、次に聞こえたのは開門の音ではなく、弓矢が飛ぶ音と兵士のうめき声であった。

「どうやらこの戦い、勝敗は喫したようですな!」

誰かの言葉が響き渡る。

まさか、我々が敗れたのか!?

「誰だ!」

クローム将軍は驚きを隠しきれず声を上げる。

すると門の影から人がぬっとあらわれた。

「総大将のカエサルです」

カエサルはおもむろに手を上げ、振り下ろす。すると、それと同時に無数の矢が 停滞している反乱軍めがけて飛んでいった。

反対側に逃げようも、そちら側からはアルド将軍の騎兵部隊が迫っている。



孤立したクローム将軍とエイフ将軍には、降伏の道しか残されていなかった。


いかがでしたでしょうか……?


今思えば2つに分ける必要なんてなかったのではないかと思ってしまいました。

次回からはもう少し客観的に判断していこうと思います。


このシリーズは気が向いたら更新していこうと思うので気長にお待ちいただければ幸いです。

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