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反乱軍鎮圧

大ロレマーノ帝国の将軍カエサルが総指揮を取り、敵軍と戦う物語。

短編物ですが、長くなってしまったので2回に分けてお送りします。

今回は全2回の中の1回目です!

『大ロレマーノ帝国』。このメリクス大陸上で最も大きい国である。

現帝王アウグスの拡大政策により、近年稀に見る大帝国へとのし上がった。


----------------------帝都ロレマ郊外:反乱軍戦線


帝都ロレマへ侵攻してきた反乱軍に対して、軍議は難航を期していた。何名もの軍人が1つのテーブルを囲み、難しい顔をしている。

「戦況は?」

椅子に座り、地図とにらめっこする若い将軍。

彼こそが、この大ロレマーノ帝国に繁栄をもたらした1人と謳われている少年、カエサルである。

カエサルは18歳という年齢にも関わらず、剣術による武勇に優れ、

また兵法においても天性の才を発揮した人物である。

服は帝国仕込の黒いマントを愛用しており、背中には自分の身長ほどの大きな剣を背負っている。

また、鼻の上には絆創膏を貼っており、右目は髪の毛で隠している。

「はい。あまり旗色はよろしく無いようです。現在反乱軍5万、それに対してわが軍10万。しかし、反乱軍は援軍を募り、その数は日に日に増しています。それに対してわが軍は疲れ果て、10万と言っても満足に動かせるのは5割程度かと思います。」

カエサルの隣で戦況を説明しているのは、カエサルと同い年の少女、シエナである。シエナはカエサルを心配し側近として手伝いをしている。

「ふむ。短期決戦が望ましいか……」

「カエサル将軍!戦いは勢いですぞ!勢いで敵を破ることこそ、こちらの士気を高め、相手の士気を下げる最も効果的な方法よ!」

そう発言したのは、鎮圧大将を任されていたアルド将軍である。大柄な体に大きな剣は、歴戦の戦士と呼ぶにふさわしい。白いひげが印象的な将軍である。

「その方法は確かに効果的だ。……だがアルド将軍。戦いというのは賭けではない。緻密な計算によって勝つべくして勝つのが兵法と言います。」

カエサルはにこっとして返すとアルド将軍は少し疑いの目を向けた。

「カエサル将軍。あんたの活躍はよく存じていますが、やはりその若さ故、疑問を感じざるを得ませぬ。帝王の推挙故、今回はあなたの指図を受け入れますが、失敗した暁にはしっかり報告させてもらいますぞ?」

カエサルは 「ハハハ」と笑うとまたつづけた。

「もちろん構わないが、お手柔らかに頼みたいところですね。…………それでは軍議を一時休憩とします。15分後にまたここで。」

そういうと席に座っていた十数名が一気に腰を上げ外へ出ていった。



残ったカエサルは腕を組みながら考え事を始める。

「なかなか厳しいですね。いい案を思いつきになれそうですか?」

シエナがお茶を運びながら顔を覗き込む。

「うん。」

するとカエサルは一呼吸おいてこう言った。

「めちゃくちゃ帰りたい」

「はぁ?」シエナは思いっきり嫌味な顔をして見せた。「帰るってあんた、帝王からの勅命よ!?そんなことしたら打ち首よ! う・ち・く・び!」

シエナは手の端を首に当てて見せた。カエサルは分かってるよと言わんばかりにそれを遮る。

「もちろん分かってるよぉ。それにこの戦線を抜かれれば帝都に攻め入るのは時間の問題だ。

ここでなんとか食い止めないとオレの仕事が増える」

「……あんたに戦士としての意志はないわけ……?」

シエナがあきれ顔で言うとカエサルはこちらを向いてこう言った。

「ない!」カエサルは続ける。

「ロレマーノに将軍として志願したのは、ここにいれば一番攻められる心配が無いと思ったからだ。今まで戦果をあげてきたのも、戦わなくていい安全な場所へ行けると思ったから……!」

するとシエナは冷静に突っ込みを入れる。

「まあ、能力を認められて逆に帝国にこき使われてるけどねー……」

「そうなんだよー……」

カエサルは顔をうずめると机の上に倒れこんだ。

「しかも帝王の言うことは絶対だからやめるなんて言ったら殺されるのは必然……!

まさかこんな命を張る仕事だったとはなー……」

カエサルはお茶に手をかけ、飲み干す。シエナはその湯呑をもらいながらあきれた声を上げた。

「じゃあなんで帝国にしたのよ……。そもそも国の役人にならなくても安全な場所はいくらでもあるでしょうに……」

カエサルはバッっと起き上がり、手を動かしながらわめく。

「安全っていうのには二つの意味がある!1つは命の保障。もう1つは生活の保障だ!

国みたいに金払いのいいところじゃないと怖くておちおち寝てられないよ~!」

ムカッ。シエナの堪忍袋に何かが触る。

「あ~はいはい分かりましたよぉ。悪うござんしたぁ~!

そろそろ軍議が始まりますから準備してくださいね!!!」

シエナがお茶を入れなおしに向かうと先ほど出ていった軍人が続々と集まってきた。



アルド将軍が席に着いたところで軍議は再開された。

カエサルは姿勢を正しており、顔つきも変わっている。

「それでは軍議を再開します。……が、ここで作戦案を1つ発表します。」

「ふむ。……何かいい案でも思いつかれましたかな?」

アルド将軍が髭をいじりながらこちらを向く。カエサルは作戦机の上に地図をバッと押し広げた。

「我々は戦場から北のココに長い横陣を敷いています。そして反乱軍は南側に我々と同じ横陣を敷いています。

これから歩兵隊2万で正面突破をかけます。敵は正面から4万ほどの兵で押し返してくるはずです。戦いが押され始めたところで援軍として3万の騎兵を両翼から展開します。完全に包囲した後これを殲滅します。」

説明を一通り追えるとアルド将軍は深く椅子に腰かけ、フフッと鼻で笑った。

「カエサル将軍。自慢ではないが、我々もそのような作戦は再三考え、実行してきた。

しかし、彼らにそのような作戦は通用しない。」

カエサルは眉をひそめ、机に前のめりになる。

「ほう。それは一体どうゆうことで……?」

アルド将軍はまた髭をいじり始める。

「彼らは我々の考えを読んでいるのだ。我々が正面突破を狙えば、必ず奴らは陣を攻撃してくる。

我々が陣に伏兵を置いておけば、手薄になった正面が破られる。このようにして幾度となく我々は敗北を期してしまってきたのだ。……堂々と言えることではないがな」

「そうでしたか……」

カエサルは「ふむ」と言って考え込んだ後、口を開く。

「その間、あなたはどこで総指揮をとっていたのですか?」

アルド将軍は答える。

「もちろん、もっとも兵が多いところだ。兵は多ければ多いほど統率しにくくなる。そのため、攻撃をしかける時は私も敵陣へ攻め入り、陣へ伏兵を置いたときは私も伏せていた。」

「なるほど。」カエサルはそれを聞き、少し考え込むと、また椅子に深く座った。


「それでは少しダイナミックな作戦を立ててみましょうか」




いかがでしたでしょうか……?

続きは明日あたりにでも投稿しようかと思っています。

お楽しみに!

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