第八話 罠
誤字、脱字などが有るかもしれません。
感想、意見はなるべく返します。
あれからしばらくして、ガルトに肩を貸してもらいながらも僕たちはあの看板のところまで来た。
「やっと着いたな~!もう疲れちまった。」
そう言うとガルトはいつの間にか看板に腰掛けていた。
僕はと言うと、突然支えが無くなったので、その場にドサッと倒れ込んでしまった。
何とか自力で立ち上がると、僕はガルトに向かってヤジを飛ばした。
「もう!、いきなり離れるなんてヒドイじゃないか!」
するとガルトは僕の方を見て「ハッ!」とか言って驚いていた。
「“ハッ!”じゃないよ全く!。」
僕がプンスカ怒っていると、ガルトはニコニコしながら「悪い、悪い」と謝った。
すると、さっきまで笑っていたガルトが、突然真面目な顔になって後ろの茂みに視線を飛ばした。
僕はそんなガルトの様子に気付き、ガルトの邪魔にならないように静かにした。
すると、ガルトの視線の先にある茂みがガサガサと音を立て始めた。
それと同時に、周りに生えている木々もガサガサとなり出した。
ガルトは剣の柄に手を掛けて辺りを見渡している。
すると、ガルトは何かに気づき、突然叫んだ。
「まずい!。カエト!早く俺の近くに来い!!。」
ガルトがそう言った瞬間、茂みや木々から一斉に葉っぱが飛んできた。
僕はガルトの方に行こうとしたが、葉っぱの嵐が僕の周りを包んでいて身動きがとれない。
ガルトは剣を抜き、自分の周りの葉っぱを振り払って、僕の方に走って来た。
「待ってろ!今助けてやる」
そう言って、僕の周りを包んでいる葉っぱを斬りつけた。
そして、外に出られるくらいの道が出来た。
しかし、葉っぱはドンドン僕の周りに集まってきて、ガルトが切ったところは塞がってしまった。
ガルトは何度も剣で葉っぱを蹴散らしているが、葉っぱの集まる速度の方が早くてきりがない。
やがて、葉っぱの嵐はドンドン激しくなっていき、とうとう外の様子が見えなくなってしまった。
「カエトよく聞け!、目が覚めたら、ぜ・・・うご・・・る・・・じっと・・・」
ガルトの言葉は葉っぱがこすれる音に紛れて最後の方は聞き取れなかった。
そして、葉っぱの嵐がより一層激しくなり、僕は気を失ってしまった。
*****
「・・・んっ・・・いてて~、」
僕はいったいどうしたんだろう。
体のあちこちが痛い。
僕は、痛みをこらえながら何とか体を起こして辺りを見た。
「ここって・・・さっきの広場?」
心地良い木漏れ日がさしこんで背の高い茂みに囲まれていて、さっきまでテントを張ってた広場。
(何で僕、ここに・・・確か、ガルトと看板のところまで行って・・・それから)
「思いだした!、僕は突然葉っぱに包まれて・・・早くガルトと合流しないと。」
僕はどこかに看板があったところに続く道がないか探した。
しかし、辺りの茂みをいくら調べても、暗くてヒヤッとした温度の森が広がっていて、道は無い。
「どうしよう・・・」
僕があきらめかけた。その時
ガサガサッ
「ん?」
突然、少し右の方の茂みが音を立てた。
僕は音のした茂みのに近づいた。
すると、茂みは一層強くガサガサと音を立て始めた。
僕は驚いて、茂みから離れた。
茂みはしばらくガサガサと音を立てていたが、やがて茂みが左右に分かれ一本の道が出来た。
「・・・え?、何これ」
僕は、恐る恐る茂みの中から出てきた道に近づいていった。
道の正面に立ってみると、とても暗くてそよ風が吹いてきていた。
「・・・何かの罠かな?、でも、ほかに行けるところないし・・・」
僕は警戒しつつ、茂みの中から現れた道を進んでいった。
*****
===ガルト視点===
「クソ~ちょこまかと!」
そういって俺は、地面に刺さった剣を引き抜き、再び斬りかかった。
俺は今“風の幻術師”と呼ばれる魔物と戦っている。
こいつは風の魔法を使いこなし、相手に幻を見せて、苦しみもがく姿を楽しむ魔物だ。
基本的に現実で傷つけてきたりしないが、イタズラ好きでよく生き物を幻の中に閉じこめたりすることもある。
「大人しく切られろ!」
しかし、こいつは恐ろしくすばしっこくて、何より、
《誰がお前みたいな人間の言うことを聞くか!、このバ~カ!、キャヘヘヘヘヘッ》
そう、人を小馬鹿にするような態度で“しゃべる”のだ。
こいつは、魔法が使えるだけあって魔物にしては知能が高く、人の言葉を話すことが出来る。
だから、この魔物に出会ったらすぐ倒すか魔法を使う前に逃げるのが普通だ。
だが、もしこいつに魔法を掛けられちまうと、大変なことになる。
「早くしねーと、カエトの奴“迷子”になっちまうじゃねーか!、大人しく斬られろ!」
《ヘッ!、嫌なこった!魔法を解いて欲しけりゃ、俺を殺してみな!》
そう言って“風の幻術師”は、さらにスピードを上げ逃げ出した。
「まちやがれこのクソ野郎!」
そう言って俺は“風の幻術師”の後を追った。
「カエト!、絶対“迷子”になるんじゃねーぞ!」
俺はカエトに届かないとわかっていたが、そう叫ばずにはいられなかった。
見失なわないよう必死に“風の幻術師”を追った。
*****
===カエト視点===
「ハァ、ハァ、・・・いったい、どこまで、続くんだろう?」
道を歩き始めて、軽く3~4時間は過ぎただろうか・・・。
僕はあれからずっとこの暗い道を歩き続けている。
しかし、いくら歩いても先が見えない一本道が続くだけで、出口どころか分かれ道にすらたどり着けていない。
僕は、精神的にも体力的にも疲れ果てていた。
少し休憩したくなり、何処か休めそうな所が無いか探した。
そして、茂みの少し向こうに大きめの切り株が見えた。
僕は、それを見つけるなり茂みをかき分け、切り株に近づき腰掛けた。
そして、軽く汗を拭っいながら一息ついた。
(本当にこの道を進んでいけばガルトと会えるのだろうか・・・。)
僕はそう思いながら目の前にあるさっきまで歩いていた道を見た。
しかし
「・・・え」
そこには道は無かった。
さっきまで僕が歩いていた道はただの林になっていた。
「なん・・・で?、さっきまで確かに・・・」
僕は切り株から立ち上がって、さっきの道を探した。
しかし、さっきの道はどこにもなく、僕の足跡すら見つからない。
「そんなはず・・・僕は確かにここをまっすぐ進んでて休むためにあの切り株に―――」
そう言って後ろを振り返った。
すると、そこに有るはずの切り株はさっきの道と同じく無くなっていた。
「そんな・・・どうして、なんで?!」
僕は辺りを見た。
あるのは、どこにでもある似たような木々。
広場に戻ろうと思っても目印が何もない。
どっちから来たのかも分からない。
僕は、休憩をしたせいで完全に迷ってしまった。
「こういうときって、下手に動かない方が良いのかな・・・」
僕は、自分が道に迷ったと分かった途端、とても心細くなった。
「だ、大丈夫!、きっとガルトが助けに来てくれる!。それに、此処で立ち止まってても何も始まらない!、せめて、あの広場まで戻れたら、きっと何とかなる!!。」
僕は自分に言い聞かせる様に独り言を言った。
『本当に大丈夫なのかぁ~?』
突然、声が聞こえてきた。
辺りを見ても人の姿は無い。
しばらくすると、また同じ声が聞こえてきた。
『お前は~、本当にそう思っているのかぁ?』
とても低くて、不安を煽ってくる声。
僕はその声に強く言い返した。
「当たり前だろ!!絶対ガルトが助けてくれる!」
すると、謎の声は僕の言った言葉を小声で何度か繰り返た。
ただ僕の声が木霊しただけかもしれないが、僕には謎の声が繰り返して言っているように聞こえた。
そして、突然静かになって、謎の声が僕に言った。
『なぜそう思う』
謎の声は、僕に質問してきた。
僕は自信満々で言った。
「何でって、それわ・・・・」
僕はそこまで言うと黙ってしまった。
『どうした?、なぜ黙る。』
謎の声にそう言われて、僕は口を開いた。
「ガルトは、優しい人だから・・・」
僕の声はさっきの勢いを失い、とても弱々しいものになってしまった。
すると、謎の声は僕にさらに言ってきた。
『なぜ分かる?、まだ会ったばかりの奴を、どうしてそこまで信じている』
僕はそう言われ、言い返そうとした。
「それは・・・」
しかし、何も言い返せない。
この声が言っていることが正しいからだ。
僕が返事をしなくても謎の声はなおも問いかけてくる。
『なぜそう思う。もしかすると、今頃そいつは一人旅を続けているかもしれないぞぉ?。赤の他人のお前なんか、ただのお荷物だったかもしれないぞぉ~?』
確かにこの声の言うとおりだ。
僕は、勝手にガルトに着いてきて、ガルトと友達になったつもりだったが所詮は僕の考え。
ガルトがこの声のように思っていても不思議じゃない。
『お前はそれでも信じるのか?そいつが必ず助けに来ると。』
僕は謎の声に苦し紛れだ反論した。
「お前に・・・お前に何が分かるって言うんだ!!。」
すると、謎の声はクックッと笑うと、謎の声は言った。
『全て分かるさ、なぜなら・・・・・』
謎の声はそう言うと、僕のすぐ隣に生えてる木の陰から人が出てきた。
暗くてよく見えないが、背は僕より高く、マントのような物を身につけているのが分かる。
僕はその姿を見て、とても嫌な予感がした。
やめろ、知りたくない。
しかし、僕の考えとは裏腹に僕は無意識に言ってしまった。
「だ、誰だ?!」
すると、木の陰から出てきた人は右手を首辺りにかざした。
そして、ボッと手から光が出て、顔が見えた。
顔が見えた瞬間あの声と聞いた事のある声が同時に言った。
「『本人ガイッテルンダカラナァ」』
僕はガルトの顔を見た瞬間、何かが崩れ落ちた。
「・・・ウソだ・・・ガルトのはずが無い」
僕がそう言うと目の前にいるガルトが、またあの混ざった声で言った。
「『何言ってんダ、俺ハガルト本人ダ」』
そう言ってガルトは自分の胸を軽くトントンッと叩き、いつもの口調でそう言った。
いつもと違うのは、ガルトの声に謎の声が混ざっている位だ。
「ガルトが、あんな事考えてる訳が無い!」
僕はどうしてもガルトだと信じられなかった。
いや、信じられなかったんじゃなく、信じたくなかった。
しかし、僕の一番聞きたくない返事が帰ってきた。
「『イヤ、サッキ俺が言ったコトは俺ノ本心ダ」』
ウソだ、絶対あり得ない。
「・・・が、ガルト?ウソでしょ?ウソだよね?、お願いだからウソだと言ってよ」
ガルトはそんな僕を冷たい視線で見て、黙っている。
「お願いだから・・・ウソって言ってよ、ねえ!」
僕はガルトの二の腕を掴んで、ガルトを揺すりながら言った。
信じたくない、もうやめて。
「ねえ!!何か言ってよ!ガル「『ウルセエ!!」』 」
ガルトが突然怒鳴ったと思ったら、乱暴に僕の腕を引きはがた。
そして、ガルトは淡々と言った。
「『ウルセーンダヨ、俺ハはなっからお前を邪魔ダト思ッテタンダヨ。」』
ウソだ・・・あり得・・・ない
だって、あんなに・・・優しかった・・。
僕はだんだん何かが崩れていって、かろうじてそれを保っているのが分かった。
ガルトに対しての気持ち。
その感情が、ガルト本人によって終止符が打たれようとしている。
「『ついでに言うとな「イヤだ!!もう聞きたくない!!」ずっとお前「イヤだ!しゃべるな!!聞きたくない!」とな!」』
僕はガルトの言葉を聞きたくなくて、涙をボロボロと流しながら、大声を出しながら耳をふさいだ。
すると、ガルトが突然僕の肩に手を乗せてきた。
僕はガルトの方を見た、ガルトはニコニコ笑っている。
ガルトの笑顔を見たら、少し落ち着いて、耳を覆っていた手を離した。
その瞬間
「『今すぐ、俺の前からキエロ」』
「うぅ、うわわわああああぁぁぁあぁぁああぁあぁぁあっぁあぁぁぁぁあぁあああああ!!!!!」
僕は、その言葉を聞いた瞬間何かが崩れ去り、気付かないうちに僕は地面にうずくまって叫んでいた。
僕がおかしくなるのには十分過ぎる一言だった。
そして、そのまま逃げるようにして森の中を走った。
僕がこの時最後に聞いたのが、ガルトの下品な笑い声だった。
*****
===ガルト視点===
「ゼェ、ゼェ、い、いい加減止まりやがれ~!」
あれからずっと“風の幻術師”を追っかけ続けたが、相変わらず奴は逃げままっている。
《もう終わり?情けないな~》
風の幻術師は俺の目と鼻の先に来てそう言った。
俺は、ゼェゼェ言いながら剣を地面に刺して、それを支えに休んでいる。
《これだから“人間族”はダメなんだ、キャヘヘ》
そう言って、奴はイヤらしく笑った。
・・・今だ!!
《束縛炎!》
俺がそう叫んだ瞬間、剣から炎のが出て、その炎がロープの様に細く長くなっていき、風の幻術師に向かって飛んでいった。
《っな?!》
奴が気付いた時には、もう炎のロープは体に巻き付いて動きを封じていた。
巻き付いた炎は、だんだん炎が収まり、黒い固まりだけが残った。
「さあ、殺されたく無かったらカエトを返せ。」
俺は剣を地面から抜き、抜いた剣をそのまま風の幻術師に向けた。
風の幻術師は、観念したのか俯いて黙り込んでいる。
「おい!、聞いてるの《キッキッキッ、キャ~ヘヘヘヘヘヘヘ》」
俺が脅そうとしたら、突然風の幻術師は笑い始めた。
(こいつ、追い詰められておかしくなったか?。)
俺は笑い続ける風の幻術師の顔に剣を近づけた。
「お前今の自分が置かれている状況わかってんのか?、何がそんなにおかしい!」
すると、風の幻術師は不気味な笑みを浮かべながら言った。
《俺が幻を掛けた奴、カエトとか言ったか?そんなに返して欲しけりゃ返してやるよ。》
俺は目を丸くさせて驚いた。
こいつ・・・何か企んでる。
俺は警戒しつつ、風の幻術師の顔を見た。
相変わらず、不気味な笑みを浮かべている。
「何が目的だ。」
《いや、何もないさ》
「ウソつけ!その顔は何かある!・・・正直に話した方が身のためだぞ。」
すると、風の幻術師は不気味な笑みをやめ、つまらなそうな顔をしながら言った。
《なんだよ、会いたくないのか?つまらない。じゃあもうあいついらないしどうしよっかな~、精神をズタズタにしてやろうかな~?、それとも、永遠に迷わせてやろうかな~?キャッへッへ》
俺は、無言で奴の喉を浅く切り裂いた。
その瞬間、奴の首から血がだらだらと流れた。
《いっ!!、何をする!下等な人間ごとk・・・》
俺は文句を言おうとした風の幻術師の喉に剣を向けて、軽く殺気を乗せて言って。
「カエトに何かしたら、今度は首を跳ね飛ばす。・・・早くカエトを返せ。」
すると、風の幻術師は悔しそうな顔をして言った。
《チッ!、分かった、返す返してやる!》
そう言って風の幻術師は呪文を唱え始め、最後の一言を言い終えると、
《ただし、精神の方はもうダメだと思うがな(ボソッ)》
何か風の幻術師が言ったが、俺の後ろからドサッと何かが落ちる音がした。
俺は、剣を向けたまま、体だけ後ろに向けた。
そこには、すっかり服がボロボロになったカエトが俯せになって倒れていた。
「カエト!」
俺は風の幻術師をほっといて、カエトの所まで行った。
そして、カエトの体を軽く揺すった。
「おい!、カエト!、起きろ!」
すると、カエトは小さく呻きながら目を開けた。
「ああ、よかった!。怪我は無いか?!」
俺がそう言うと、カエトはボーとした感じの目で俺を見た。
すると、カエトは突然目を見開き、ガタガタと震えだした。
「どうした?!、寒いのか?ほら、俺の上着貸してやる」
そう言って俺は、上着を脱いでカエトに渡そうとした、するとカエトは怯えながら俺から距離をとるように後ずさった。
俺は、訳が分からず首をかしげた。
「おい・・どうしたんだよ、俺だ、ガルトだぞ?」
そう言って俺はカエトの方に歩み寄った。
すると、カエトは突然
「来るなぁ!!!」
俺は突然の叫びに驚き立ち止まった。
すると、カエトは俺を見ながらブツブツと何か言い出した。
耳を澄ませて聞くと、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、・・・・・・・」
ごめんなさい、と誰かに謝っていた。
何度も、何度も、
俺はそんなカエトをの様子を見て、風の幻術師を睨みつけた。
そして、そなまま近づいていき、風の幻術師の胸倉を掴んでそのまま体を宙に浮かばせた。
「カエトに何をした!!」
すると、風の幻術師は笑い声を上げ、楽しげに言った。
《キャッヘッヘッ、な~に簡単なことさ、あいつは俺の幻の中で精神がいかれちまった。ただそれだけじゃないか!キャーヘッヘッヘ》
俺は、風の幻術師を右手に持ったまま左手で剣を抜き、その剣を首に当て、小うるさい口を閉じさせた。
「元に戻せ!!。さもねーと今すぐお前の首を飛ばす!!」
俺は脅す様にそう言った。
すると、風の幻術師はニヤニヤしながら言った。
《俺の胸倉から手を放せ。そしたら考えてやる》
俺は少し考えてから、風の幻術師を地面に下ろしてやった。
その瞬間、風の幻術師は《そくばくえん》を破り、風の魔法で宙に浮いた。
《馬鹿め!。俺が言うことを聞くと思ったか?、そいつは自分で何とかするんだな!》
そう言って風の幻術師は逃げ出した。
「まちやがれ!!」
俺は、また《そくばくえん》を掛けようと、呪文を唱え始めた。
その瞬間
《神の雷!》
どこからか、魔法を唱えた声が聞こえた。
すると、逃げる風の幻術師が極太の雷に撃たれ、凄まじい稲光と雷鳴が鳴り響いた。
それと同時に、風の幻術師は凄まじい叫び声を上げ、跡形もなく消え去った。
俺は、あまりに突然すぎて、何が起こったか理解できない。
すると、俺のちょうど真横から一人の女が現れた。
俺は剣を構え戦闘体制になった。
「止まれ!何者だ」
すると、彼女はクスクスと笑い、俺に言った。
「あらあら、助けてあげたのに酷い仕打ちね?」
そう言って彼女は俺の方に近づいてきた。
俺は剣を構えたまま、様子を見た。
すると、俺の方に近づいてきていた彼女が突然俺の視界から消えた。
「そんなんじゃ、モテないよ?」
「なっ?!」
彼女は俺の背後からそう言ってきた。
俺は彼女から急いで距離をとり、さらに警戒を強めた。
ばかな!、いつ背後に回られた!。
すると、彼女はクスクスと笑うと両手を挙げて言った。
「そんなに警戒しなくても、とって食ったりしないわよ?。私はただカエト君に会いに来ただけよ。」
そう言って彼女はカエトを探した。
・・・なんでカエトを探してるんだ?
「ねぇ、カエト君は?」
?、何を言ってるんだ。
カエトなら俺の後ろに・・・
「・・・・・・・・・いない!!!!」
しまった!、カエトを置いて来ちまった。
あんな状態で魔物にでも襲われたら・・・。
「ねぇ~、カエト君はどこなの~?。」
そういえば居たな、彼女どうしよう。
・・・よし、放っておこう。
俺は彼女を無視して、カエトの倒れて居るはずの所に行こうとした。
「ちょっと、どこ行くのよ!私も連れてきなさいよ!」
失敗した。
しょうがない。
「あんた、名前は?」
俺がそう言うと、彼女は待ってましたと言わんばかり勢いで名前を言ってきた。
「エレーナ!、エレーナだよ!ちゃんと覚えてね♪」
「お、おう。それじゃエレーナ、俺は今からカエトの所に行く、エレーナは俺の援護を頼む。出来るか?」
すると、エレーナはうれしそうに頷き、俺にくっついてきた。
俺は突然くっついてきたエレーナを腕から引きはがし、一声掛けた。
「行くぞ!」
「ええ!」
そして、俺とエレーナは来た道を戻っていった。
今回も終わらせかたが変ですが多めに見てやってください。