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僕が聞いた勇者の話  作者: 蛇炉
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第三話 異世界に来たようです

次の日、僕はいつも通りに起床した。


「う~ん、今日も良い天気だ。」


そうのんきにつぶやいて目を擦りながら周りを見た。

青い空、白い雲、周りには青々と生い茂る木々、小鳥の囀りも聞こえる。

ああ、今日も良い日になりそうだな~


・・・


・・・・・・


・・・え?

小鳥の囀り?

周りに木々?


僕は夢の続きでも見ているのか?

僕は顔を軽く叩いて目をごしごしと擦った。

意識がはっきりしてきて、周りをもう一度よく確かめた。

周りは木々に囲まれていて、葉っぱが薄く空を覆っていて、木漏れ日が丁度良い具合にさしていた。

やっぱり、これは夢では無いようだ。


「一体、ここは何処?」


僕は、訳がわからずキョロキョロと周りを見渡している。


(え?何?どうなってんの?どうしてこんな所にいるの?)


僕はパニックになりながら、何故こんな所で寝ていたのか考えた。

すると

一カ所だけ木々が道のように開けている所を見つけた。


(とりあえず、ここから離れよう)


僕はそう思って、この広場を後にした。




*****




暫く道なりに歩いていたら、道が二本に分かれている所に出た。

分かれ道の真ん中には、看板が一つ立っていた。


「分かれ道か・・・」


僕はそうつぶやきながら、とりあえず看板を見た。


・・・・・・


・・・・・・何これ・・・・・・


そこには、よくわからない文字がズラーと書かれていた。


「文字・・・なのかな?う~ん・・・ここって外国なのかな?」


僕はそうつぶやきながら看板をじーっと見つめた。

しかし、どうあがいても読めないと悟って看板から目を離し、分かれ道の方に意識を戻した。


「どっちに行こうかな~」


僕はそれぞれの道を交互に見た。

右の道は、これまで通って来た道とあまり変わらない道で、かなりさきの方に川らしきものが見える。

左の道は、薄暗い森に繋がっていて、とても暗かった。

僕は少し考えたがすぐに結論を出した。


「・・・よし!右に行こう」


僕はそう言うと右の道に向かって歩き始めようとした。


その時



ガサガサッ



「うん?」


何かが右の茂みで動いた音がした。


「き、きっと気のせいだな」


自分に言い聞かせるようにそう言って、右に進もうとしたら



ガサガサッ ガサガサッ



やっぱり“何か”いる。

僕は何だか嫌な予感がした。

僕の勘は嫌な事ほど良く当たる。

正直、勘弁してもらいたいが、おそらく相手は解ってくれないだろう。



「・・・とにかく逃げよ。」


そう言うと僕は右の道をあきらめて、左の道に行こうと茂みに背を向けた。

すると、さっきからガサガサッと動いていた“何か”が茂みから飛び出して来た。


「ギギャァァァァアアア」


そんな奇声を上げながら“何か”が姿を表した。

僕はそのおぞましい姿を見ていった。


「な、なんなんだ!あの化け物は!」


その何かは、とても大きくて4メートルくらいはある。

体は筋肉質の黒い毛むくじゃらだった。

顔は肌色で目がつり上がっていて、犬歯が鋭く尖っている。

しかも、その化け物には腕が六本ついていて、全ての手のひらに口がついていた。


あんな化け物に捕まったらひとたまりもない。


僕はそう思って、化け物がいる方とは逆の左の道に逃げた。

すると、化け物も僕の後を追いかけて来た。


「こっちに来るな!あっち行け!」


僕はそう叫んだが、化け物はすごいスピードで追ってくる。

化け物は真ん中にある腕を地面について追ってきて、一番上の腕を高く上げ、一番下の腕を真横に広げて僕を捕まえようとしている。

僕は隠れる場所は無いか周りを見た。

だが、少し先にある森以外隠れられる場所は無かった。


「あそこしか無いか」


僕はそう言うと森に向かって全力で走った。

すると、化け物もスピードを上げて追ってきた。

だが、僕の方が速く、どんどん化け物との距離を離していく。


「よし!このまま森に行けば逃げられる」


僕はそう言って森の中に入っていった。

だが、僕の予想は外れていた。


森の中はとても薄暗くて、光が少し差し込んでいる所以外全く見えない。

足下にある木の葉や木の根も見えない。


(思ってたより暗いな)


僕はそう思いながらも予定通り近くにあった木の陰に隠れた。


「あの化け物は・・・」


僕は隠れながら化け物を確認しようとした。

しかし、あの化け物の姿は何処にも無かった。


「あら?いなくなってる・・・」


僕は少し不思議に思い、辺りを見渡した。

しかし、暗くて何も見えない。


「可笑しいな~確かに後ろにいたはずなのに・・・」


僕はそんな事を言いながら、無駄だと分かっていたけどもう一度辺りを見渡した。


「ギギャァァアアアア」


すると上から化け物が雄叫びを上げながら降ってきた。


「うわっ!」


僕はとっさに右に逃げた。

化け物は見事に着地すると、逃げた僕を追って来た。


(くそ!上にいたのか)


そう思いながら、僕はまた走り始めた。

しかし、何処に何があるか分からないからさっきみたいに走れない。

僕と化け物の距離を測ろうにも姿が切れ切れにしか見えなく、声が上や後ろから聞こえる。

しかも、だんだんその声が近づいてくる。


「ヤバイ・・・どんどん近づいてきてる、しかもすごい速さで」


あの化け物は、暗闇でも目が利くのか、すごい速さで近づいてきているようだった。


(このままでは、僕はあの化け物の餌食になってしまう)


それだけは嫌だと思いつつ、僕は森を抜けようと必死に走り続けた。

すると、左の方に大きな光が見えた。


「やった!出口だ!」


僕はその光のある方に向かって走り出した。

化け物はもうすぐ後ろまで迫っている。


(間に合え~)


僕はに向かって走った。

だが、ふとあることに気がついた。


「あの光・・・動いてる?」


もしやと思ったがやっぱり動いている。

出口ではなかったがこの際助かれば何でも良い。


「助けてー、化け物に食われるー」


僕はその光に向けて大声でそう言った。

すると光が返事した。


「お~い、その化け物毛むくじゃらで腕が六本あるか~」


「え?」


いきなり聞かれて少し驚いたがすぐ答えた。


「うん!」


すると光の人は言った。


「あ~、そいつはきついな~・・・仕方ない、俺についてこい」


「え、助けてくれないの~」


「ここじゃ戦えない、広くて明るい所でそいつを迎え撃つ、とにかくついてこい」


そう言うと、光の人は右上の方に向かって動き出した。


「ま、待って~」


僕は必死に光の人を追いかけた、化け物も僕の後を追ってついてくる。


「全く、なんていう執念なんだ」


僕は、そううんざりしながら言い光の後を追った。




*****




暫く走っていたら、光の人の前にもっと大きな光の塊が見えた。

すると、光の人は言った。


「よ~し出口が見えてきた!おい!あんた!外に出たらすぐ出口から離れろ!」


「わ、わかった」


光の人はそう言うと、今までとは比べものにならないスピードで外に出た。


「急げ!」


光の人は僕にそう言うと、出口の外で剣を抜き何かを呟いている。

光が強くてシルエットしか確認できなかったが、今はそんなこと気にしてる余裕は無い。

あの化け物は、もうすぐ後ろまで近づいてきている。

さっきから化け物が、僕を追っかけながらすぐ後ろで雄叫びを上げている。

どうやら、もう捕まえられると確信して勝利の雄叫びを上げているようだ。


このままじゃ拙い


僕は、心の中でそんなことを呟きながらどうにかならないか考えていると


「下向いて眼を瞑れ!」


突然、光の人が叫んだ。

僕は言われた通りに下を向いて眼を瞑った。


「これでも食らえ!」


そう光の人が叫ぶや否や、眼を瞑っていても分かる程強烈な光が発生した。


「グギャャァァアアァァアアアァァ」


後ろから化け物の苦しがる声が聞こえる。

どうやらモロに光りを見て眼が眩んだようだ。


「今のうちだ!速く!」


僕はこのチャンスを逃さず、急いで森の外に出た。


「そのまま離れてくれ、怪我するぞ!」


僕は言われた通り光の人から離れた。

すると、光の人がすごい速さで口を動かし訳の分からない言葉を言っている。

どうやら、また何かするらしい。


噴き上げる炎ブーストファイヤ


光の人がそう叫ぶと、持っていた剣からすごい勢いで炎が上がった。

突然剣から炎が上がったので僕はその場で尻餅をついてしまった。


「グギャァァアァァアアア」


ようやく眼が見えるようになった化け物が雄叫びを上げ、一番下にある腕で自分の胸を叩いている。

どうやら相当怒っているようだ。

化け物は脇目もふらず出口の前にいる光の人に向かって突進した。


「おっと!あぶねー」


光の人は化け物の突進をよけると、隙だらけになった化け物に向かって飛んだ。


「これで終わりだー!」


そう叫ぶと、化け物に向かって炎を噴き上げている剣を振り下ろした。

化け物はギリギリで腕で守ろうとしたが、剣は腕ごと化け物を一刀両断した。

化け物は、ピクピクと痙攣しながらゴシャッと嫌な音を立てて倒れ、絶命した。


「ふう、終わったー。おい!大丈夫か」


光の人はそう言って僕に近づいてきた。

僕は、あまりにすごい迫力に腰を抜かして、座ったまま口をパクパクさせている。


「おい、ほんとに大丈夫か?」


光の人は心配そうに僕に聞いた。

僕は我に帰って、少し眼をパチパチさせてから立ち上がった。


「あ、ありがとうございます。助かりました。」


すると、光の人は照れくさそうに言った。


「い、いや~良いんだよ、当然のことをしたまでさ~」


そう言うと光の人は頭をかきながら笑っている。

どうやら感謝されるのになれてない人らしい。

僕は改めて光の人の姿を見た。

身長は大体176㎝位で、全体的に少し細く、顔立ちは整っていて、髪は赤、瞳は綺麗な黒、服装は茶色いマントに動きやすそうな服やズボンを着ている。

ベルトには、さっき持っていた剣に、何かの皮で出来ている巾着袋をつけている。

第一印象から言うと、“旅人のような格好をした美形の剣士”といった感じだ。


(随分美形だな~)


正直僕はあまり顔がいい訳でもないので若干羨ましくなった。


「何だよ、顔にゴミでもついてるか?」


あんまりジロジロ見てたので勘違いされてしまった。


「い、いや、何でもないです」


僕は手を前に突き出してぶんぶんと揺らしてごまかした。

その後、僕は一番気になっている事を聞こうと光の人に聞いた。


「そう言えばさ、光の人、ここって・・・」「光の人?!俺そんな風に思われてたのか?!」


しまった、つい口が滑ってしまった。


「す、すいません!森の中で光りを持ってたから・・・」


急いで僕はペコペコと頭を下げて謝った。

すると光の人は言った。


「いや、俺も自分の名前をさきに言わなかったからな。こちらこそすまなかった」


そう言うと光の人は頭を下げた。


「そんな、僕の方こそすぐに名前を聞かなかったから・・・」


「いや、俺の方にも非はある・・・」


「いや、僕が・・・」


「いや、俺が・・・」


そんなやりとりを暫く続けていると、光の人が提案した。


「よし!こうしよう、お互いに自分の名を名告ってチャラにしよう」


僕も頷いて了承した。

すると、光の人が先に言った。


「俺の名はガルト、よろしく!」


そう言うとガルトは、チョップを前に突き出して言った。

僕もすぐ自分の名前を言った。


「僕はカエト、こちらこそよろしく」


そう言うとガルトは、手を僕の前に差し出して来た。

どうやら、握手を求めて来ているようだ。

僕はニコッと笑ってガルトの手を強く握って握手した。


「そう言えばよ、何か俺に聞きたかった事があったんじゃないのか?」


そう言われて僕は「はっ!」とガルトに聞きたいことを思い出した。


「そ、そうだった。ねえガルト、ここって一体何処なの?」


僕がそう言うとガルトは不思議そうな顔をして言った。


「何言ってんだ?ここは“暗黒の森 ブラックフォレスト”だろ」


「え?・・・ぶらっくふぉれすと?、何それ?」


僕はガルトの言ってる事が理解できず、首を傾げた。


「カエト、おまえ何にも知らずにこの森に入ったのか?。ここは“人間界”でも危険区域になってる所だぞ、それくらい子供だって知ってるは・・・」


「ちょっと待って!」


僕はガルトの話を遮った。

途中で気になった単語があったのに気がついた。


「い、今、人間界って言った?」


僕は恐る恐るガルトに聞いた。


「ああ、確かに言ったが、それがどうかしたか?」


僕はガルトの言葉に唖然として固まってしまった。



人間界?! エレーナさんが言ってた話の?!

そんな馬鹿な!



僕は心の中でそう叫んだ。


(なんで?、なんでそんなとこに僕が?・・・・・)


僕は暫く考えてある結論に至った。


「そうだ、これは夢だ、夢に違いない。」


僕はそう言うと自分の顔を軽くつまんで引っ張った。


「いてててて・・・」


僕は自分で引っ張った頬を手でさすりながら周りを見た。

しかし、そこにはさっきと変わらない風景とガルトの心配な顔があるだけだった。


「おい、大丈夫か?」


ガルトはそう言いながら僕の顔の前で手をユラユラと揺らしている。

僕はそんなガルトを無視してフルで頭を使っていた。



ここが人間界?

なら、魔法とか魔物とかもあったりするのか?

エレーナさんの言ってた事は本当だったのか?



僕はそんなことを永遠と考えていたら、不意にガルトが僕の体を揺すり始めた。


「おい!、ほんとに大丈夫か?、しっかりしろ!」


ガルトは僕を激しく揺らしてきた。


「ちょ・・ガ・ル・ト・・・揺ら・・し・・・すぎ・・」


僕は激しく揺らされていて、言葉が切れ切れになってしまったが、ガルトは聞き取ったのか、揺らすのをやめてくれた。


「わりぃわりぃ、あんまり動かないもんだから、心配しちまって」


ガルトは右手を顔の前に持ってきて謝ってきた。


「加減してよ、首が飛んでくかと思ったよ。」


僕は文句を言いながらも、ガルトに感謝もしていた。

あのままだったら、僕は永遠に固まったままだっただろう。

僕は深呼吸をして、頭を冷やした。


(さっきは色々考えすぎてた、一つずつガルトに聞いて解決すればいい)


僕はそう思い、ガルトに質問することにした。

まず、この世界がほんとにエレーナさんが話していた世界なのか、それを確認しようと思った。

それを証明するためにまず聞かなければならない事は二つ。


「ねえガルト、この世界に魔法ってある?」


すると、ガルトは首を傾げて言った。


「何言ってるんだ?、あるに決まってるだろ」


ここまでは想像通り、僕は次の質問をした。


「じゃあガルト、魔王っている?」


「いるに決まってるだろ。おまえ本当に大丈夫か?」


ガルトは即答して心配もしてくれたが、僕は気にもとめず自分の考えをまとめた。



間違いない。

この世界は、エレーナさんが話していた世界だ。



今回もグダグダな展開でしかもオチが全くさえなかったですけど、

また読んでくれれば嬉しいです。


PS.誤字脱字があったので少し修正しました。

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