第二話 色々あった忙しい日
今回、結構長めになってしまってますが、よろしくお願いします。
次の日、僕は、エレーナさんに言われたとおりにいつもの場所にむかった。
ちなみに今は1:30で、街の通りには沢山の人がお昼を食べるために飲食店に行列を作っていた。
そう、この何気ない光景が僕は大好きだ。
そんな事を考えながら僕はいつもの場所にむかって走った。
*****
暫くして、やっと草原についた。息を切らしながらも僕はエレーナさんの姿を探した。しかし、いくら草原を見渡してみてもエレーナさんの姿はなかった。
「あれ~?おかしいな~」
そう言うとまたあたりを見回してみた。
「昨日、エレーナさんが確かにここに来るって言ってたはずなのに・・・」
僕は、そう言うとエレーナさんが来ない理由を考えた。
「あ・・・」
僕は、昨日エレーナさんが帰ろうとしていた時に言ってたことを思い出した。
そう・・・・じゃあ今日はもう遅いから、また明日、この場所に来るから、その時続きを話してあげるね。
「確かに“来る”とは言ってたけど、“いつ”来るとは言ってなかった・・・」
僕は、大きなため息をついてその場でうなだれた。暫くしてから、僕は昨日エレーナさんが座っていた岩
に寝転がった。
「しょうがない・・・エレーナさんが来るまで待ってるか。」
そう言って僕は、岩の上で昼寝を始めた。
*****
結局、エレーナさんが到着したのは昼寝を始めてから1時間も後だった。
「ごめーん、私としたことが一番大事なことを伝え忘れるなんて・・・・」
エレーナさんは、そう言いながらペコペコと僕に謝ってきた。
「いや・・良いんだよエレーナさん。僕もあの時ちゃんと確認して無かったから」
僕がそう言うと、エレーナさんは謝るのをやめて笑顔でこう言い放った。
「そお、じゃあ気にしないわね☆」
僕は、すぐ許すんじゃなかったと心の底から思った。そんなことなど露知らずエレーナさんは話を続けた。
「それじゃあ昨日の続き話しましょうか、どこから話そうかな。」
「ちょっと待って」
意気揚々と話始めようとするエレーナさんに僕は制止を呼びかけた。
「何?」
「まず、どうゆう設定なのか説明してよ。」
「設定とかじゃなくて、本当にあった話なんだけど・・・まあいいや、それじゃあ説明するね。」
設定じゃない? 本当の話? 僕は不思議に思いながらもエレーナさんの説明に耳を傾けた。
***
エレーナさんが言うに、その世界には、どうやら“魔法”と言う物があって人々の生活に馴染んでいたらしい。
人々には魔法を使う時に消費する“魔力”と言うのがあり、魔力の量は人それぞれ違い、訓練などをすれば増えるそうだ。
魔法は大きく分けて二種類存在して。普通の人にも扱える安全な魔法が“基本魔法”と言って、相手にダメージを与えたり 相手の攻撃を防いだりする魔法が“戦闘魔法”と言う。
特に多くの種類があったのが“戦闘魔法”で、なかには一つの惑星を丸ごと消し去る事ができるほど強力な魔法もあるらしい。
そんな物騒な物がある世界だったが、戦いなどまったく無くとても平和だった。
しかし
ある時巨大な魔力を持った“魔王”と名のる者が“魔物”という生き物を連れて殺しや掠奪など破戒の限りを尽くし、人々を恐怖のどん底に突き落とした。
そして魔王は気に入った場所に“扉”と呼ばれる物を作り、魔王が住む“魔界”と人間の住む“人間界”を自由に行き来して人間界を次々と侵略していった。
そんな中
ある日突然“勇者”と名のる青年が現れて、魔王を倒して平和な世界取り戻してくれた。
人々は、勇者をたたえ、魔王が死んだ事を祝ってどんちゃん騒ぎを何日も続け気付いた時には、もう勇者の姿はどこにも無かったという。
そして、時が経つにつれ勇者の存在はただの伝説になったという。
***
「なんだか・・・とても信じられないな~」
僕は自分なりにエレーナさんの話しをまとめて、自分の考えを素直にいった。
「でも、本当のことなのよ。」
エレーナさんは、楽しそうにそういった。それを聞いた僕は、渋い顔をして考え込んだ。
(エレーナさんが言ってること、いまいち信用できないんだよな~ 魔法とか魔物とか・・・)
そんなこと考えていたらエレーナさんがいった。
「そうだよね・・・・・信じられないのも・・・むりないわよね」
エレ-ナさんは苦笑いをしながらそう言うと、額に手をあてて「う~ん」と唸りながら考え込んでしまった。
僕はなんだかとても申し訳ない気持ちになってしまって、謝ろうと思って口を開きかけた瞬間
「そうだわ!」
エレーナさんが手を ポン と打ち鳴らして大きな声でそういった。僕はびっくりして、ビクッ!と体を飛び跳ねさせながら後ろにさがった。
「そうだ!“あの手”があったんだ。」
そう言うとエレーナさんは、勢いよく立ち上がって僕の方に歩み寄ってきた。
エレーナさんが足早に僕に近づいてきた、なんだかとてもいやな予感がしたから僕も足早に後ろに後ずさった。
僕とエレーナさんは、大体10メートルくらい一連の動きを続けて
「なんで逃げるのよ?」
ようやくエレーナさんは立ち止まって、不思議そうに言った。
できれば、もっと早くその言葉を聞きたかったがとりあえず僕はエレーナさんの質問に答えた。
「なんか・・いやな予感がしたから」
僕がそう言うと、エレーナさんは驚いたようで「えっ」と言って固まってしまった。
エレーナさんはフリーズから立ち直っても何やらブツブツと小声で言っていた。
「私って・・・そんなに怖くて危ない感じの雰囲気の女なの?・・・あっ、だから彼氏も・・・ブツブツ・・・ブツブツ・・・」
黒いオーラが見える・・・
どうやら僕はとてつもない地雷を踏んでしまったらしい。
(どうしよう・・・ほんとにどうしよう、どうにかして機嫌を直してもらわないと。)
僕は何かいい案はないかと頭をフルに使って考えた。
すると、僕はエレーナさんが言っていた、あることを思い出した。
今聞くのもどうかと思ったが。
今の状況を打開できればそれで良いと思って、僕は意を決してエレーナさんに聞いた。
「エレ-ナさん、“あの手”って何?」
すると
エレーナさんは立ち上がって、真面目な顔をして話し始めた。
「“あの手”って言うより“あの方法”って言った方が正しいかもしれないわね、カエト君に私の話を信じてもらえる一番良い方法。」
僕にエレーナさんの話を信じさせる方法?
いったい何だろう?僕は気になってそのまま質問した。
「その方法ってどういう事をするの?」
エレーナさんは少し俯きながら言った。
「そ、それは・・・その・・・ひ、秘密よ」
エレーナさんは言葉を濁していった。
なぜ、はっきり言わないのか疑問に思ったけどあえて聞かないことにした。
「まあ、方法は聞かないとして、僕は何をすれば良いの?」
僕がそう言うと、エレーナさんは慌てて言った。
「あ、ちょっと待って、今“儀式”の準備をするから」
え、儀式?・・・あの方法って儀式?
(なんだかとんでもない事になっちゃったな~)と思いつつも、準備が終わるのを待った。
すると、エレーナさんはブツブツと何か言っていた、少し気になって耳を傾けていると。
「我の呼びかけに答えよ、汝、我の命により呼び出されし精霊よ、・・・・・・ブツブツ・・・・・・・・・ブツブツ」
何だかよくわからないけど、どうやら何かと“話”をしているようだ。
僕は、ボーとその姿を眺めていた。
すると、エレーナさんが手を地面に向けて叫んだ。
《円を形どる炎》
すると
エレーナさんが手を向けていた地面が炎に包まれて、草原の一部が丸い砂地に変わった。
「よし!こんなもんかな。」
そう言うとエレーナさんは、その辺に落ちていた尖った石を手にとって何かを書き始めた。
*****
1時間くらい経った。
どうやら、何かのマークを書いているようだった。
エレーナさんはいまだに、何かのマークを描いる。
「エレーナさん、このマーク何?」
エレーナさんは、一旦描く手を止めて僕の質問に答えてくれた。
「これは、《五芒星》と言って、“儀式魔法”をする時に必ず描くものだよ。」
また、聞き慣れない言葉が出てきたがあえてスルーした。
「それで、あとどの位掛かるの?その儀式の準備。」
「あと・・・40分くらいで終わると思うわ」
そう言うとエレーナさんは、儀式の絵をせっせと描き始めた。
===40分後===
「ふぅ~、完成!」
やっと儀式の準備が終わり、エレーナさんは岩の上で休んでいる。
僕はというと、エレーナさんが休んでいる間に、儀式の観察をしている。
何も無かった草原に、大きな星型(五芒星)があり、それを丸く囲むように、ミミズのような文字が三行程度書かれている。
・・・なんだか、とても不安になってきた。
僕はあえて口には出さなかったが、本当に無事でいられるのか不安でならなかった。
「よし!それじゃあ、そろそろ始めましょう。」
エレーナさんはそう言うと立ち上がって、準備運動をしながらマークから2、3メートル程離れた場所で立ち止まった。
「それじゃあカエト君、五芒星の中心に立って。」
そう言われ僕は、恐る恐る五芒星の丁度真ん中にある五角形の上に立った。
「そうそう、そこ、それじゃあ始めるね。」
そう言うとエレーナさん、ブツブツと何かをすごい早さで言い始めた。
今度は、何を言っているのか全く聞き取れなかった。
(なんだ?いったい何を言ってるんだ?)
すると
僕の立っている五芒星が紫色の淡い光を出し始めた。
僕は、暫くエレーナさんを見ていたら、不意にエレーナさんが僕に言った。
「そうそう、言い忘れてたけど、光が出ている間にちょっとでも動いたり喋ったりしたら、カエト君の“体がバラバラ”になるから気おつけてね~ あ、目を開けているのも厳禁ね。」
そうか~ 体がバラバラ になるのか~・・・
って、えええええぇぇぇぇぇぇぇ?!
何それ?! どういうこと?! なんで始めに言ってくれなかったの?!
僕は思わずそう言ってしまいそうになったけど、すんでのところで踏みとどまった。
(儀式が終わったら、絶対のしてやる)
僕は心の中でそう思いつつ、両目をギュッとつぶって儀式が終わるのをじっと待った。
そのまま10分くらいジッと耐えていたら、儀式が済んだのかエレーナさんのつぶやく声も聞こえなくなっていた。
「OK 目を開けて、もう動いても平気だから」
そう言われるや否や、僕はエレーナさんに突進した。
「え、どうしたの?ちょっ、お、落ち着いて、話せばわかr」「問答むぅよぉぉぉぉう!!」
エレーナさんの言葉を遮るようにそう叫ぶと、すかさず飛び上がりドロップキックをお見舞いした。
「きゃーー」
エレーナさんは、ゆうに6,7メートルくらい吹っ飛んで、ズザザーと滑るようにさらに2メートルほど飛んでいった。
あまりに綺麗に飛んだので結構スカッとした。
すると
エレーナさんは、体を起こして体についた草などを落としながら言った。
「いったぁぁい、も~う!なんてことするのよ~」
エレーナさんはほぼ半泣き状態でそう訴えてきた。
「なにが 「なんてことするのよ~」 だ、こっちは危うく殺される所だったよ!。なんで一番大切な事を言い忘れるの!」
エレーナさんは顎の手を当て、少し考えてから言った。
「・・・てへ☆」
僕はプルプルと怒りに震えながら、なんとか怒りを押さえようと地面を殴りつけている。
ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、 ガン ガン ポス
・・・・・・・・・あれ?
僕は地面を殴りながら不自然な事に気がついた。
痛く・・・・・・無い
僕は自分の手をじろじろ見ながら、何故こうなったのか考えた。
「それが儀式の効果だよ。」
エレーナさんがそう言いながら僕に近づいてきた。
僕は警戒したが、そんなのお構いなしに僕の体を観察してきた。
「まず、頑丈さはOK、スピードも力も・・・大丈夫そうね」
エレーナさんはそう言いながら、僕の体をペタペタと触ってきた。
「いったい、何をしたの?」
僕はエレ-ナさんに質問した。
すると、エレーナさんは笑顔で説明してくれた。
「さっきした儀式の“おまけ”の効果って言うと解るかしら。あの儀式は“ある種の魔法”で、後で困らないように、身体のあらゆる機能を強化する効果があるのよ」
「へ~そうなんだ」
僕は納得した、いや、納得せざる終えない、僕はそう思った。
しかし、どうしても気になった事を聞いた。
「でも、これがおまけなら、本当はどういう魔法なの?」
「それは・・・秘密!今言うと楽しみが無くなるから。」
エレーナさんはそう言うとさらに僕に近づいた。
何で近づいてきたか僕には解らなかったけど、僕がエレーナさんに手を伸ばせば触れるくらいの距離まで近づいてきていた。
「そして、まだ最後の仕上げが残ってるの」
そう言うとエレーナさんはさらに距離を詰めた、あまりに近いので僕は3歩後ろに下がった。
しかし、エレーナさんも負けじと僕に近づいてくる。
(え?何これ?どうしたのいきなり。)
僕はパニック状態になっていたせいかもしれないが、足が絡まって盛大に尻餅をついてしまった。
すると、エレーナさんは、僕のえりを持って、そのまま僕を引っ張ってキスをした。
「!!!!!」
僕は、顔を真っ赤にさせて悲鳴のような唸り声を上げた。
3秒ほど経ってからエレーナさんが離れていった。
「これで儀式はお終い。」
僕は顔を真っ赤にしたまま僕は反論した。
「なんでキスしなきゃならないの!」
「しかたないじゃない、そういう儀式なんだし。」
エレーナさんは少し照れくさそうにいった。
そして、何かを思いついたのかニコッと笑って言った。
「でも、私が女でよかったわね。」
なんとなく予想はついてるけど一様聞いてみた。
「なんで?」
「だって、もし私が男だったら、男同士でキスしなきゃいけなかったのよ」
予想は的中した、どうしていやな予想ほど良く当たるのだろう。
「それはさておき、ねえ、何か変わった感じある?たとえば気持ち悪いとか、頭痛いとか」
エレーナさんにそう言われ自分の体を見てみたが特に変わったところや調子の悪い所は無い。
「全然無いよ」
すると、エレーナさんは安心したのかホッと胸をなで下ろしていった。
「それなら良いのよ。ふぅ~失敗しなくてよかった~」
「失敗ってどういう事?」
「い、いや、何でもない何でもない」
慌ててエレーナさんは訂正した。
(絶対何かヤバイ事になってたな)
僕はそう思いつつ、儀式について聞くことにした。
「そう言えばさ、さっきの儀式って身体能力強化以外に何が起こるの?」
そう言うと、エレーナさんは言った。
「明日になったら嫌でも解るよ。」
そう言うとエレ-ナさんは昨日と同じく空を見上げた、僕もつられて上を見ると空はあかね色になっていた。
「もう夕方か・・・」
時間にして、大体5:50くらいだろう。
「時間も遅いし私は帰るね、それじゃ頑張ってね」
エレーナさんはそう言うと、昨日と同じく、森の方に向かって歩き始めた。
僕も帰ろうと街の方を向いたとき、ふとエレーナさんの言っていた事が頭の中に引っかかった。
(頑張って? 一体何を?)
「エレーナさん、 頑張って っていったい何を・・・」
僕がそう言った時には、すでにエレーナさんは、僕の声が届かない所まで行ってしまっていた。
(まあいっか、明日また聞けばいいし)
そう思って僕は、向きを変えて、家に帰るために歩き始めた。
*****
街にはまだ人がたくさん残っていた。
現在時刻はたぶん7:00~7:30くらいで、この時間どこの家も夕食を食べていて、外に出ている人は少ないと思っていたがそうでもないらしい。
「よう、カエト、こんな時間までどうしたんだ?」
突然、声をかけられて少し驚いたけど、声を聞いたらすぐに誰か解った。
「やあ、ガルト」
するとガルトは、僕に近づいてきた。
ガルトは、僕の家の隣に住んでいて、よく話をしたり一緒に遊んだりと俗に言う幼なじみと言った存在だ。
僕とガルトといつものように話をして、一段落ついたらガルトが「用事があるから帰る」といって帰って行った。
僕も帰ろうと思ったが買い物当番が僕だったのを思い出した。
「ヤバイ、実にヤバイ」
僕はそう思いつつも買い物を済ませてダッシュで家に帰った。
家に帰ったらまず母に雷を落とされた、少し落ち込みながらもご飯を食べ終えたら、父に「部屋に来い」と言われたから部屋に行ったら「今日のカエトは昔のわたしにそっくりだ!」とか言って、父の青春時代の武勇伝を永遠と聞かされた。
結局、僕が解放されたのは、10:30だった。
「全く、父さんの話はいっつも長いんだから、今日は母さんに感謝だな」
あのまま母さんが来なかったら、明日の朝まで話しを聞かされる所だった。
「しっかし、今日は色々な事があったな~・・・魔法とか、儀式とか」
(でも、本当に何の事だったのだろう、何を頑張ればいいんだろう?)
「とりあえず寝よう。」
エレーナさんも明日になれば解るっていてたし、何より今日はもう精神的に疲れていたから寝たかった。
「明日が楽しみだ」
そう言って僕は深い眠りについた。
これから、とんでもない事に巻き込まれるというのに。
どうもー蛇炉です。今回投稿するのにとっても間が空いてしまいました。本当にごめんなさい。こんなひどい内容の小説読んでくださっている人は、もういないかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。
わかりずらい表現、など多くあったかもしれませんが、多めに見てやってください。