第十話 無理な頼み
「大丈夫?エレーナさん。いつもより辛そうだけど」
「うん・・・平気だよ・・ちょっと、休めば・・・ゴホッ、ゴホッ」
やっと泣きやんだエレーナさんはひどく疲れている様子だった。
まあ無理もない。
泣きやんだと思って声を掛けると、エレーナさんは、声はからし、目のまわりを真っ赤に腫らしていたのだから。
色々聞こうと思っていた事があったけど、今エレーナさんを質問ぜめにすると、さすがにかわいそうなのでまた時間があるときに改めて聞くことにした。
あらから二時間弱・・・僕の知ってる中では長いな。
相変わらずすごいなー・・・今度記録ノートでも作ろうかな?。
そんなことを考えていると、ガルトが帰ってきた。
ガルトはちょっと前に、喉に効くという薬草を探しに行っていたのだが、何も持ってないところ見ると見つからなかったんだろう。
僕は念のために、薬草が見つかったかガルトに聞みてみると、ガルトは首を横に振った。
やっぱり見つからなかったのか。
「ガルト、どうするの?」
するとガルトは頭をガシガシかきながら言った。
「あ~、どうするかな~。ここから半日も歩けば“セガン”には着くんだが・・・今のエレーナに無理させるわけには・・・。かといって、薬が有るわけでもねーし、ほっとくと悪化するしな~。・・・う~~~ん」
ガルトも相当悩んでいる。
僕も何とかならないか考えてみることにした。
【ねえ、・・・聞こえる?】
「なにガルト?」「どうしたカエト?」
僕とガルトは同時にそう言った。
「いやどうしたって。ガルトが何か言ったんでしょ?」
「いや、俺は何も。カエトこそ俺になんか言っただろ。」
僕とガルトは何が起こったか分からず、「きっと気のせいだろう」というガルトの一言で片づいた。
すると、
【気のせいじゃないよ~。私だよ、私。】
またさっきの声が聞こえた。
僕はガルトの方を見た、ガルトも聞こえたのか、僕とほぼ同じタイミングでガルトも僕を見ていた。
僕は目で「聞こえた?」と伝えると、ガルトは頷いた。
【聞こえてるよね?、お~い!私だよ。こっち見て!ほら!。】
僕とガルトは辺りを見渡してみた。
しかし、エレーナさんが目の前の木に寄り掛かっているだけで、それらしい姿は見あたらない。
すると、ガルトが突然大声で言った。
「おい!姿を見せろ!、名前を言うだけでも良いぞ!」
すると謎の声はちょっと不機嫌そうに言った。
【ちょっと!、私だって!。ほら!、今思いっきり手を振ってるでしょ!】
僕はそう聞いて辺りを見た。
するとエレーナさんが何でか僕たちも方に手を振っている。
僕はガルトの服を引っ張ってガルトに合図した。
ガルトは僕の方を見た。
僕はエレーナさんの方を指差して言った。
「ガルト、ちょっとエレーナさんがすごい手を振ってるんだけど」
ガルトもエレーナさんの方を見た。
「・・・偶然じゃないか?。」
「そうかな~?」
「よし!、試すか。 おい!、もし俺の声が聞こえてるんだったら、両手を挙げろ!」
ガルトがそう言うと少し後にエレーナさんが両手を挙げた。
僕は小声で「間違いないよ!」と言ったがガルトはまた条件を言った。
「そのままゆらゆらと手を振れ!。」
するとエレーナさんはあげた両手をゆらゆらと揺らした。
するとガルトは体を震わせていた。
笑っているのが分かった。
すると、今度は、
「そのまま「わ~か~め~」って言え・・・プッ!・・・」
訳の分からない事を言っていた。
さすがのエレーナさんも変だと思ったのか、しばらく何も反応しなくなったが、ここからでも分かるくらい顔を真っ赤にさせて言った。
【わ、わ~か~め~】
ガルトはとうとう吹き出して、それでも必死に笑うのを堪えていた。
すでに手遅れだと思うが・・・。
すると、ガルトがまた何か言おうとした瞬間、
ドゴオオォォオン!
ガルトのすぐ隣の地面に雷が落ちた。
地面は真っ黒に焦げていて、煙が立ち上っている。
【いい加減にしないと、次は本当に当てるよ♪】
「「ごめんなさい」」
僕とガルトはエレーナさんの方に向かって土下座した。
この時僕とガルトは、エレーナさんは怒らせてはいけない人だと痛感した。
*****
あれからしばらくして、エレーナさんのご機嫌をとるのに成功し、今はとても機嫌がいい。
【ほら!、早く行こ~】
さっきまでぐったりしていた人とは思えない。
後でガルトから聞いて知ったんだが、エレーナさんが言葉を話さずに自分の意思を伝えているのは、どうやらとても珍しい魔法で“念話”と言うらしい。
さらにこの魔法は、とっても古くて高度な魔法だから今この世界で使える人はあまりいないともいっていた。
(神様ってすごいな~)
僕はそんなことを思いつつ、元気にはしゃいでるエレーナさんを見た。
【早くしないとおいてっちゃうぞ~!】
なんであんな性格してるんだろう・・・。
神様としての威厳も風格もないよ。
僕がため息を吐き、ガルトのほうを見た。
ガルトはそんな僕を見て、肩をすくめた。
「おーい!、あんま無理すると危ねーぞ」
ガルトがそういうとエレーナさんはこっちを見て、
【へーきへーき♪!・・・きゃっ!】
ダイナミックに転倒した。
僕とガルトは急いでエレーナさんの下へ駆けつけた。
「だ、大丈夫!?エレーナさん」
「ほら、いわんこっちゃない」
僕とガルトはエレーナさんにそう言って、起こしてあげた。
すると、膝を豪快に擦り剥いていた。
「あちゃー」
「こりゃ酷いな」
エレーナさんはあははと笑った後、【やっちゃった☆】とか言っていた。
僕はため息を吐きつつエレーナさんに肩を貸した。
ガルトも反対側に回り、肩を貸した。
【ありがとうカエト君、ガルト君。自分で立てるから】
エレーナさんはそう言って、自分で立とうとしていたが、やっぱり辛いのか少しフラフラしている。
僕とガルトはさっきと同じように肩を貸した。
「無理しないで、エレーナさん」
「そうだ、無理してまた怪我すると大変だろ」
僕たちはそう言ってゆっくり進み始めた。
【ごめんなさい、私が変にはしゃいだせいで・・・】
「いいんだよ、気にしないで」
すると、ガルトもエレーナさんを励ますように言った。
「おう、カエトの言う通りだ。“困ったときは助け合い”って言うだろ」
「ガルト、意味的には近いけど・・・全然違うよ。」
ガルトは、笑いながら「まあ、間違いは誰にでもある!」と言いながら笑っていた。
僕もそれにつられて笑ってしまった。
その後も僕とガルトとエレーナさんでたわいもない話をしながら“セガン”に向かった。
*****
「・・・おい、覚悟は出来てるか?」
【ええ!、いつでも良いわよ】
エレーナさんとガルトは向かい合って、ジリジリと近づいていき、そしてガルトの「いくぞっ!」というかけ声とともに拳を出した。
【「さいしょはグー!!、じゃんけんポンッ!!!!」】
元気なかけ声とともに、エレーナさんはグーを出した。
一方ガルトは・・・チョキを出して固まっていた。
【やったー!!、私の勝ち!!】
エレーナさんはピョンピョン飛び上がって喜んだ。
一方ガルトは、
「クソ~、パーを出してりゃ・・・パーを出してりゃ・・・」
結構落ち込んでいた。
だが、ジャンケンばかりはどうしようもない。
【じゃあガルト君、コレ私がもらうね!】
エレーナさんはそう言って、お皿の上にある“草原ウサギ”の肉をほおばった。
【う~ん、おいしい~♪】
エレーナさんがそう言うと、ガルトは地面を何度も殴りつけて悔しがっていた。
僕はそんな二人を見ながらため息を吐いた。
なぜ、僕たちがこんな事をしてるかというと少々時をさかのぼらなければいけない。
===30分前===
僕たちは順調に“セガン”を目指していた。
しかし、それはある少年の一言で覆ってしまった。
そう、それはほんの些細な事、普通だったら気にしない位の事。
そんなことを聞いてしまった僕が悪かった。
「ねえ、そう言えばさ。こんな遅い時間から国に入れるの?」
そう、僕がこの時こんな事を言わなかったら。
当然、エレーナさんとガルトは僕の質問に答えてくれた。
「そりゃもちろん・・・」
ガルトが続きを言おうとしたら、エレーナさんも同時に言った。
「入れるにきまってるだろ。」【入れないでしょ】
そう、二人が全く逆の事を言ったのだ。
ここからしばらく言い争いになった。
「おい、何言ってるんだ。“セガン”は一日中開門してて、入るのは夜も朝も関係ないだろう」
【そっちこそ、夜は盗賊や魔物の動きが活発になるから門は閉まってて国には入れないはずよ】
その後も、ガルトとエレーナさんは言い争いを続けた。
僕はそんな二人を見て、ちょっと焦っていた。
僕のせいで・・・。
「ちょ、ちょっと二人とも!、ケンカはよしてよ!」
僕がそう言うと二人は僕の方をすごい形相で見てきた。
僕は身を縮こませ、少し震えながら言った。
「な、何も、け、ケンカしなくてもいいでしょ?、もっとおお落ち着いて、は、話し合おうよ。」
僕がそう言うと、二人はお互いを見て、僕を見た。
「じゃあどうする、このまま街まで行くか?、それとも野宿でもするか?」
すると、エレーナさんは目をキラキラさせながら言った。
【野宿!?。わたし野宿してみたい!!】
エレーナさんはそう言うとガルトの腕に抱きついた。
【ねえ、お願い。わたし野宿とかしたこと無いの。】
エレーナさんはガルトに甘える様に言った。
ガルトは腕にくっついているエレーナさんを見据えて、少し間をおいてから言った。
「・・・分かった。そこまで言うなら仕方ない」
【やったー!】
エレーナさん飛び跳ねて喜んだ。
ガルトはちょっとイヤそうな顔をしてエレーナさんを見ていた。
僕は、「速くセガンに行った方がよくない?」とガルトにいったが、ガルトは首を横に振った。
「俺も始めはそう思ってたが、エレーナの言ってることにも一理ある。今からセガンに向かったら間違いなく夜になる、セガンに入るのは日があるうちの方が良い。」
ガルトはそう言ってバックを地面に下ろし、ガサガサと中身をあさり始めた。
「それに、急ぐ旅でもないしな」
ガルトは二カッと笑うと鞄からテントの部品を取り出した。
「なにやってんだ、手伝え!」
僕はガルトの方に駆け寄り、野宿の準備を進めていった。
===僕たちナウ===
と言うわけで、今に至っている。
【さ~て、お腹もいっぱいになったし、私そろそろ寝るね。おやすみ~】
エレーナさんは大きく伸びをしながらテントに入っていった。
僕は空を見上げた。
(まだ結構明るいのに・・・)
明るさ的におそらく6;00位だろう。
いくら何でも寝るには速すぎると思うんだけど・・・。
「よいしょっと。」
僕がそんなことを考えていると、後ろからガルトの声が聞こえた。
振り返ってみるとガルトは後片付けを始めていた。
「手伝うよ、ガルト」
僕はそう言って、ガルトと一緒に片付けをした。
ガルトは「休んでていい」と言ってくれたが、僕は首を横に振った。
「ずっとガルトに頼りっぱなしだったんだ。このくらいは手伝わないと・・・。」
そう言って僕はガルトと一緒に後片付けをした。
「そう言えばさ、ガルト」
僕はお皿をガルトに渡しながら言った。
「なんだ?」
これって何処で洗うの?、と聞こうと思ってガルトを見た。
すると、ガルトの目の前に大きな“青い玉”が浮かんでいた。
「・・・・・・なにそれ」
僕は青い玉を指差しながら言った。
ガルトはお皿をポイポイ玉の中に放り込んみながらいった。
「何って・・・・・皿洗い」
ガルトは「何言ってんだ?」とでも言いたげの顔で僕に言った。
確かに、放り込まれたお皿は青い玉の中でグルグルと回っているが・・・。
それがどうしたと言うんだ。
僕がそう思っていると、青い玉の中がすごい勢いで回転し始めた。
「あ、回り出した・・・」
お皿は青い玉の中で上へ、下へ、右へ、左へ、とにかくすごい勢いで回っている。
しかも、お皿同士がぶつかることなく。
しばらくすると、回転が弱くなっていき、お皿は青い玉の中で見事に積み重なってガルトの近くに出てきた。
「おし!、綺麗になったな。おいカエト!、突っ立ってないで皿しまうの手伝ってくれよ。」
そう言ってガルトは、山の様に積まれたお皿を鞄に詰め始めた。
僕はお皿を鞄にしまうのを手伝いながら、さっきの青い玉の事をガルトに聞くと、「魔法の一種だ」と言っていた。
(魔法って何でもありなんだろうか・・・。今度ガルトかエレーナさんに聞いてみよかな?。)
僕はそんなことを考えながら、ガルトと一緒に片付けを終わらせて、テントに戻った。
*****
「・・・・・・」
「・・・・・・」
僕とガルトは今テントの中に入って絶句していた。
・・・正確には、テントの入り口にだが・・・。
【あはは、お帰り】
エレーナさんはテントの中央にちょこんと座っている。
「・・・エレーナさん、一体どういう事・・・これ」
僕がそう言うと、エレーナさんは頭の後ろをかきながら言いづらそうに言った。
【いや~、なんて言うか・・・修羅場を無事に抜けた・・・みたいな】
・・・・確かに修羅場だったのはこの現状を見れば分かる。
でも、僕が言いたいのはそういうことじゃなくて・・・。
すると、僕の代わりにガルトが叫んだ。
「なんでテントの中が“ゴミだらけ”になってるんだ!!」
そう、僕とガルトがテントの中に入ってみると、テントの中は足の踏み場も無い位ゴミが散らかしてあり、テントの床が見えなくなっていた。
そして、唯一無事な中央にエレーナさんが正座してこっちを向いているのだ。
【なんか・・・気付いたらこんな感じに】
エレーナさんは笑いながらそう言った。
(何をどうしたらここまで汚く出来るんだ?。しかもこんな短時間で・・・)
僕はテントの中を見渡しながらそう思った。
改めてみると、ホントに汚い。
と言うより、何処にこんなに散らかせるほどの物が合ったんだろう・・・。
「エレーナ、お前、何をどうしたらここまで散らかすことが出来るんだ?」
ガルトは怒りを通り越して呆れていた。
まあ無理もない、誰が見てもコレはヒドイというだろう。
【いや・・・その・・・あはははは】
もう言い訳も思いつかないらしい。
そんなエレーナさんをみて、僕とガルトはほとんど同時にため息を吐いた。
そして、僕とガルトは散らかってるゴミを片付け始めた。
【がんばれー!、カエト君、ガルト君】
僕たちががんばって片付けている間、エレーナさんはとうとう片付けを手伝う事はなかった。
そして、今日も夜は更けて行った。
===次の日===
僕は突然目が覚めた。
周りを見ると、ガルトもエレーナさんもまだぐっすり眠っていた。
僕は二人の頭の上をとおり、テントの外に出てみた。
外はまだ暗く、薄っすらと地平線のむこうが明るくなっている。
温度はまだ少し肌寒いくらい。
僕は大きく深呼吸した。
「すぅー、はぁー」
朝一番の空気はやっぱり良いな。
このなんともいえない感じ。
僕は、もう一度軽く深呼吸をした。
「さーて、ガルト達が起きるまで何してようかな」
「ガルト君の寝顔でも見にいく?」
「いや、そんなのつまらないよ」
僕は即答した。
当然だ、人の寝顔を見ても何も面白く・・・
あれ?、誰がそんなこといったんだっけ?。
僕は声がした方を見た。
すると、そこにはエレーナさんが立っていた。
「え、エレーナさん!?。起きてたんだ・・・。」
エレーナさんはニコッと笑って「おはよう」と言ってくれた。
僕も挨拶を返すと、エレーナさんは近くにある石の上に腰を下ろした。
僕もエレーナさんの近くにある石に座った。
すると、エレーナさんは空を見上げて言った。
「カエト君、私と初めて会った時の事覚えてる?」
僕は少し間をおいてから言った。
「うん、覚えてるよ・・・。」
僕がそう言うとエレーナさんは風でなびく髪を押さえながら言った。
「そう、よかった。」
するとエレーナさんは、寂びそうにもホッとしているようにも聞こえる様な感じで言った。
僕はちょっと心配になって、声を掛けようとしたら、突然エレーナさんがいつもの笑顔を浮かべて言った。
「もう一度話す手間が省けたわ♪、もし、覚えていなかったら説明するのがめんど・・・大変だったわ」
・・・ちょっとでもこの人を心配した僕が馬鹿だった。
しかも、今あからさまにメンドクサイって言いかけていたし。
ちょっと前にも考えていたけど、エレーナさんは僕の反応をみて楽しんでないだろうか。
エレーナさんの言動からそのような意図が読み取れる。
僕はそんな事を考えていたが、エレーナさんにそのまま言うとまた落ち込みそうだから話を進めてもらおう。
「なんで突然そんなことを?」
「それなんだけれど・・・ちょっとまってね」
するとエレーナさんはかぶっていた帽子を脱ぎ、帽子の中をガサガサとあさり始めた。
そして、お目当ての物を見つけたのか顔をパッと明るくして言った。
「これこれ!、カエト君、これ見せたことある?」
そう言って、僕に差し出されたのは、分厚い古ぼけた本。
その本は、表紙に・・・何かの皮(?)を使っていて、そこには真っ白なインクで“勇者”と僕にも読める字が書いてあった。
しかし、僕はこんな本を見るのは初めてだ。
「僕は見たこと無いけど・・・何の本?」
「あら?、そうだったかしら。まあ、どのみち今から詳しい事を教えるつもりだったからいいわ」
すると、エレーナさんは本を開きながら言った。
「この本は、これから貴方がすること・・・するべき仕事が書かれた本よ」
僕は首をかしげて言った。
「それって、どういう事?」
するとエレーナさんはさらに続けた。
「違う言い方をすると、この世界について書かれている本よ。」
それを聞いた僕は、エレーナさんが何を言いたいのか瞬時に理解できてしまった。
「エレーナさん、もしかして・・・」
すると、エレーナさんは本をペラペラめくりながら言った。
「さすがね、カエト君。勘が鋭い。」
僕自信も、なぜ、さっきの一言でこの考えに至ったのか分からない。とにかく、僕は事の真実を聞くためにエレーナさんに言った。
「もし、僕の勘が正しかったら・・・一体どうやって・・なぜ僕を!?」
エレーナさんは何も答えず、淡々と本のペ-ジを捲っていく。
僕は石から立ち上がって、エレーナさんの真横に行った。
(もし、“これ”が本当なら)
僕が“これ”を言おうとしたら、エレーナさんは本をこちらに見せてきた。
「このペ-ジ、続きを見て」
僕は言われた通り、本を受け取ってあらかじめ開いていたページから本を読み進めた。
本の中身を見た僕は驚いて目を丸くさせた。
「・・・字が・・消えてる?」
そう、文字が書かれているページの一番下の行から徐々に文字が消えているのだ。
僕は今見ているペ-ジから一気に最後のページまで飛ばして読んだ。
しかし、一番最後のページには何も書かれていなかった。
いや、消えてしまったの方が正しいのかもしれない。
それから7、8ページほど戻ってみたがどのページも白紙だった。
「どお?分かってくれた?」
僕は本をエレーナさんに返した。
あの本を見てしまった事で僕の勘が徐々に真実みをましてしまった。
わかりきって居ることだが、自分の考えが間違っている事を願ってエレーナさんに質問した。
「一体何?この本」
「この本は、この世界の未来を書き記した本、これから起こるであろう全ての出来事が書き記された本よ。もっとも、今は何らかの影響でおかしくなっちゃってるけどね」
エレーナさんはそう言って本を帽子の中にしまって、帽子を深く被り直した。
ますます、真実みが増してしまった。
コレは・・・不味い!!
「で、でもほら!エレーナさん神様だし、何とかしてその原因を何とか出来るんじゃ・・・」
するとエレーナさんは首を横に振った。
「ダメなの、いくら私でも、そこまで強大になってしまった力を消し去ることは出来ないの。」
「そ、そんなぁ・・・」
ホントに不味い!、このまま行ったら、本当に僕の勘通りになってしまう。
しかも、今の話じゃ、たとえ僕が“それ”を引き受けても失敗する。
僕は何とかならないかと考えていると、エレーナさんが僕の正面に立っていた。
「だから、もう分かってると思うけど・・・」
不味い!、このままじゃ・・・このままじゃ!
「カエト君・・・」
言わないで!、頼むから続きを言わないで!。
僕には無理だから!!
「お願い!・・・」
ダメだ!、頼まないでお願いしないで頼らないで期待しないで~~~~~~!!!
僕には、僕には・・・
「この世界の救世主“勇者”になって!!」
勇者なんて出来ないよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
すいません。
街に入る予定でしたが、テストが終わっってみたら、何をどう書くか全く分からなくなり、またややこしい話になってしまいました。
貴重な時間を割いて、この小説を読んでくださっている皆様。
何度かこの小説を見てくださっている皆様。
本当にすいません。
次回はちゃんと話しをまとめてから投稿しますので、どうか見捨てないでください。
私も全身全霊でがんばりますので、感想・意見、要望などドンドンお書きください。
返すことは出来ないかもしれませんが、これからの参考にしますのでよろしくお願いします。
それでは皆さん、またこの小説を読んでくださいね。