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才色メイドと完璧主人  作者: 赤染 ルカ
6/8

何か、照れるな。



「ふあぁぁあ…よく寝た」


眩しい朝の光に俺は気持ちよく目が覚める。


春も過ぎ、少し蒸し暑さがある。


今日は、3連休の初日だった。


6月になり、今日は久しぶりの晴天だった。



「今日は、気持ちの良い晴れですね」


琴音はカーテンを開けて、俺に微笑みかける。


俺も少し照れながら微笑み返す。


あーなんか、幸せだ。


一応彼氏と彼女が同居してるようなもんだもんな。


付き合ってからというもの、順調に幸せライフが送れている。


琴音も、前よりも随分と明るくなった。


相変わらずのメイド姿だけは、琴音のプライドとして、どうしようもないけど、


俺は、琴音と付き合っているという現実が嬉しくてたまらなかった。


琴音の背中に俺は抱きつく。


「言い忘れてた。おはよ」


琴音は耳までも赤くして、俺の手を握った。


「おはようございます。竜輝」


「丁寧語と呼び捨ては何か合わないぞ」


俺はフッと小さく笑う。


「これだけは、どうしようもないです。呼び捨てでも頑張ってるんですから。まあ、癖みたいなものなので」


琴音は、前までは毎回のように、竜輝様…と呼ぼうとしては竜輝と呼び捨てに言いなおす事が多かった。


学校では必ず竜輝様って言えとは言ってあるから大丈夫だけれど。


「何か、今日はどっかに行きたい気分だな。昨日までずっと雨降ってたからなー」


俺は、琴音の顔を覗きこんだ。


「デ、デートですか!?」


琴音の反応は思った以上で俺までも驚いた。


「い、いやか?」


すると琴音は目尻に涙を浮かべる。


「え!?えぇぇ!?そ、そんなに嫌なら良いんだ」


俺は、きゅーっと心が痛くなった。


初めて、断られた…。


「ち、違います!!!あ、あまりにも嬉しくて…」


琴音は両手で顔を覆う。


何だ。うれし涙か。


俺はホッと胸を撫で下ろす。


「よし、じゃあ、そうだなー。映画館でも行くか?」


琴音の髪を撫でながら呟く。


「え、映画館ですか?初めてです…」


「俺も初めてだ。大体、家のシアタールームで見てたからな」


「で、でも!行きたいです!」


琴音は俺に振り返り、必死に言う。


その必死な姿があまりにも可愛くて、俺は琴音の額に少しキスをする。


「よし、じゃあ、行くか!!」


琴音は頷いて、自分の部屋に向かった。


テーブルには既にパンが置いてあった。


俺は少しかじって、洋服棚を見る。


「一応、デートだもんな…」


俺は、少し渇を入れて、良い服を探した。









「琴音ーまだかー」


俺は玄関で叫ぶ。


女子って何で、こう準備に時間がかかるんだろうか?


「お待たせしまし…たぁぁぁっ」


琴音はドアのところでつまずく。


「な、何してんだよ…」


俺は嘆息した。


「え、えへ。すみません…」


「大丈夫か?」


俺は琴音に手を差し出す。


琴音も笑顔で手を握る。


立ち上がらせると琴音の私服に見入ってしまった。


雑誌に載ってる、モデルみたいだ。


ふわふわのワンピースに白いもこもこしたポンチョ。


可愛らしくて俺は、頬を熱くする。


「その服どうしたんだ?買ったのか?」


俺は、目を逸らしながらも尋ねた。


「いや…柴崎様から頂きました」


「あー…柴崎ね…」


柴崎がやりそうな事だ。


柴崎はもう、俺と琴音が付き合ってる事に感づいてるっぽいからな。


「さーて、電車で、どこまで行けば良いんだ?」


「え、近くにあるじゃないですか。わざわざ遠いところに行かなくても」


「わざわざじゃないとダメなんだよ。付き合ってるって世間にバレたらヤバいだろ」


「それもそうですね」


いまさらかのように、琴音は頷いた。


「んー、三原駅ってとこにショッピングセンターがあるみたいだな。そこなら映画館あるだろ」


「はい!」


俺たちは近場の駅から電車に乗った。


すると、後ろから、ひそひそ声が聞こえた。


俺はバッと後ろを振り返る。


すると、琴音の事を見ていたのか、男たちがバッと俺から目を逸らした。


俺たちの学校ではないみたいだが、やっぱりこんな可愛い琴音を世間の男たちが放っておくわけがない。


俺は、ワザとらしく琴音の手を握った。


琴音はいきなりの事に驚いているみたいだけど、少し顔を赤くして微笑んでいるのが分かった。


俺が守らないとな…。


俺はもう一度後ろの奴らに視線を送る。


すると、俺の内心を感づいたのか、男たちはさっとバラついた。


電車に乗り、一息つくと、また地獄だった。


次から次へと人が電車へ乗り込んでくる。


な、何で、土曜日の朝にこんなに人が?


琴音は、上に飾られているポスターを指差す。


「このせいみたいですね…」


そこには、かっこいいイケメンたちが3人移っていて、東京ドームでコンサートって書いてあった。


日付を見ると、今日だった。


「なるほどねー…ここからドームまで近いからな」


「運悪いですね…でも、次の次の駅になったら、空くと思いますよ。ドームはその駅が一番近いと書いてありますから」


「しばらくは、手を上げてないとダメみたいだ…」


俺は、溜息をついた。


電車の中はほとんどが若い女性で、他の男子たちも頑張って手を上げていた。


「え、何でですか?」


琴音のキツい質問に俺は、首を横に振った。


「ココでは言えない言葉だな」


俺がそういうと、琴音は首を傾げた。


こういう初なとこも魅力的…なんて、俺は馬鹿か。


少し、幸せに浸り過ぎてるわ…俺…。


少し自分の頬をつねってみる。


すると、琴音がくすっと笑う。


「何してるんですか」


「いや…少しな」


「はい?」


「何でもない」


琴音は不思議そうな顔をして俺を見つめる。


ま、良いのかもな。


こういうのも。


俺は、琴音の頭に手を乗せた。


「うっ…私の頭は手置きじゃないです」


少し膨れっ面になって、呟いた。


「可愛い可愛い」


俺は、子供のように頭を撫でた。


「子供みたいな扱いしないでくださいよっ」


ぷいっと目を背ける仕草が可愛くてたまらない。


俺は琴音でしばらく遊んでいると、いきなり人がなだれのように電車から降りていった。


「ふう…やっとか」


「なんかいきなり人が少なくなったら変な感じです」


「スカーッってした」


「ですね」


俺たちは席に座って、他愛のない話ばっかりしていた。


普通の恋人どうしみたいで、不思議な気分だ。


こそばゆいような…嬉しい気持ち。


『三原駅~三原駅です。お降りの方は…』


「着きましたぁっ」


琴音はいきなり立ち上がって、走り出す。


見たことも無い無邪気な顔に俺は、少し驚く。


「楽しみですっ!何見ますか?」


「ん。そうだなー」


テンションの高い琴音を見てると俺までもがテンションが上がってくる。


「あ、あれ良さそうじゃないか?ホラー系だけど」


「かかってこいです!」


琴音は自身満々に拳を上げる。


「…大丈夫か?」


俺は心配しながらも、映画館へ入った。


そこはカップルばっかりで、少し緊張する。


俺は、チケット売り場へ向かう。


「えっと、ホラーミッション…」


この次どういえば言いんだ?


すると、従業員の人は、パソコンのようなものの画面を指差した。


「1時からで、よろしいでしょうか?」


「あ、はい」


俺は咄嗟に頷いた。


「かしこまりました。何名ですか?」


「2人です」


「はい。席はどこが良いでしょうか?この中だと真ん中の12、13が空いていますが」


「じゃ、じゃあ、そこで」


「かしこまりました」


カチカチとパソコンに入力すると、チケットがレシートが出てくるようなところから出てくる。


俺はビクッと驚いた。


どうなってるんだ…?


「3000円ですね」


「は、はい」


俺は鞄から財布を急いで出して、5000円を出した。


「はい。2000円のお釣りです。チケットどうぞ」


チケットを手渡されて、やっと心が落ち着いた。


「琴音。はい。」


俺はチケットを琴音に渡した。


「わぁ…。これで見れるんですね。」


「おう。で、どうすれば良いんだ?」


「あ、あのモニターにホラーミッション1時開場って書いてありますよ!!」


琴音は、モニターを指差す。


そこには11シアターとも書いてあった。


「11シアターって何だ?」


「あ、あの人に聞いてみましょう」


琴音は、駆け足で従業員の人に聞いた。


すると、駆け足で戻ってきた。


「えっと、そこの入り口から、入れば良いみたいです」


「お、おお、そうか。ありがと」


「いえ…」


琴音は少し照れて、入り口に向かった。


ドアを開けると、俺の家にあったようなシアタールームがあった。


「席は…ここか」


席に座り、一息つく。


何もかもが初めてで緊張しまくりだ。


俺は、そっと琴音を見つめると、琴音が微笑みかけてくれた。


そのおかげか、スッと緊張が抜けていった。
















中途半端ですみません。


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