読書家の引きこもりと遊ぶ話。
ラブコメ。
「こんにちは。メールがあったので来ました」
「ありがとうね、いつも。こんにちは。
部屋に行ったらどうかしら? 仲良しさんだから」
「部屋! いえ、僕は、玄関で待ちます」
「ふふふ、じゃあ呼んでくるね」
そして、僕は玄関で立って待つ。
手には、コンビニの袋。
『コンビニでこのスイーツ買ってきて』
と、スマホに入ったから。
幼なじみの、引きこもり。そして、読書家。なんと、ライトノベル作家でもある。
もっと本を読みたいから、という理由で高校には入っていない。
まあ、らしいといえば、らしいんだけど。
「体調はどう? ご飯食べてる?」
「そんなことはどうでもいいから早く食べさせて!」
幼なじみとしては、どうでもいいことじゃないんだけどな。
肌は白い、太陽に当たらないからだろう。荒れていなくて綺麗な肌のままだから、そこはホッとする。
体も、細い。心配になるなあ。
背は、相変わらず小さい、と。
「食べさせて、たーべーさーせーて」
「わかったわかった」
「わかったは1回!」
「わかった」
袋から取り出す。
「はい、どうぞ」
「だから、食べさせてって」
「? いや、どうぞ」
「アーンてして!」
「はあ!?」
そして、口を開けられる。
いや、待ってるよ!? この子!
そ、そんな関係だったかなあ、僕たち。
アーンって、恋人がするものじゃ。
友達だよね!? たまに遊ぶだけの。
「早くして!」
「え、えぇ」
どうやら、恥ずかしいのは僕だけらしい。
夕方の公園、知らない人からしたら放課後デートをしている高校生かもしれない。
少女の方は私服だし、そもそも高校生じゃないんだけど。
「ねーえー!」
…。
「わかった」
決心。
ケーキを、スプーンですくい、
「アーン」
「ン」
「美味しい」
笑顔の幼なじみ。
「よ、よかったよ」
僕だけ、顔が赤い。
「手が汚れたら読書に困るからね。うん、美味しい美味しい」
らしいといえば、らしいんだけど。
「なに、どしたの? 顔赤いよ?」
「何でもない、何でもないから…!」
僕は両手で顔を隠す。
読書は大切、でも読書以外の時間も大切、というこの子の考え。
たまに、僕はこの子の無理難題で、顔が赤くなる。
ライトノベル作家だし、幼なじみだし、遊び相手になりたい、とは思うんだけど、思うんだけど!
はあ。
読んで頂き、ありがとうございました。




