表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2

「花梨〜!」


待ち合わせ場所である会場の最寄駅の前に立っていると、友人のカナエがやってきた。


基本的に彼女とばかり遊んでいる。いわゆる気の合う友人だ。


「はい、これお土産〜」

「お、私もお土産〜」


※これは腐女子同士で行われる儀式、お土産(同人誌)の交換である。即売会に行けなかった際には友人に購入を代行してもらうのだ。


「今日めっちゃ楽しみだよね…」

「だってリリッシュ様の過去編だもんね」


今回の舞台はゲーム中のストーリーの舞台化であり、ちょうどリリッシュの過去が明らかになる部分であった。

紆余曲折を経て、リリッシュは仲間に心を開くこととなるのだが。


「想像しただけでエモい」


これに尽きる。オタクに語彙力はない。


「あ、物販行くでしょ?」

「もちろん、もちろん」


トレカは絶対に欲しいし、新作グッズも絶対に欲しい。

あ、そういえば円盤の予約もできるんだっけか、特典があるからしておきたいけど、時間あるかな。


「あ、そういえば私彼氏できた」


不意に奏の声が花梨の思考を遮った。


「え、奏彼氏できたの?」

「うん、会社の人」


奏は、なんだかんだと顔が良いので(喋るとアレだが)

ちょっと彼氏が欲しくなればすぐにできるタイプなのだ。


「今彼氏に華ミュ布教中」


そう言ってニコニコする奏に、いい彼氏ができて良かったねと拍手をする。


一緒にオタクを楽しんでくれる彼氏は楽しそうだなあ。

まあ、自分には縁のないことだけれど。


だって、今までの人生で唯一付き合った人にはついに自分がオタクであることを言えずに、結局別れてしまったのだから。彼は、今はどこで何をしているのだろうか。


あの時、自分がオタクであることを話せていたら、まだ一緒にいたのだろうか。


そう思いを馳せながら奏の話を聞いているうちに会場へと着いた。

さあ、祭りだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ