表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンデ  作者: 木村
7/7

雨宿り


「ハーヴスまでどのくらいで行けるんだ?」

「そうだな。ソーミャさんがくれた地図によると馬でも3日はかかんな。」


馬に乗りながら地図を開いたトヴォが頭をひねった。


「なんせ俺たちはあの小せえ村からほとんど出たことねーからな。なんとも言えねーよ。」

「まあ・・・そうだな。」


馬に付いたポーチに腕を伸ばし、リンゴを一つ取り出したノルが、自身の服でリンゴを拭い一齧りする。

しゃく、といい音を鳴らした。


「おい、レーカ。」

「なによ。」

「そのハーヴスに行ったら、ほかの精霊がいんだろ。どんな力持ってんだ。」


ノルの胸から飛び出た小さな光が、トヴォの周りを浮遊する。


「ちゃんと説明しろよ。」

「・・・まあ、アンタと気が合うんじゃない?」

「はあ?なんだよそれ。真面目に答えろよ。」

「い、や、よ!頼み方ってものがあるでしょ!」


いーっと歯をむき出し、トヴォに威嚇をする小さな精霊。

レーカがいうのも無理はない。

トヴォの口の悪さは、スコーグにとどまらず、ステーンにまで広まっている。


過去に一度、ノルとトヴォが授業をこっそり抜け出し、ステーンに遊びに行ったとき、その口の悪さが災いし、ステーンの悪ガキ連中に絡まれた。


「ごめんな、レーカ。トヴォ、悪気があるわけじゃないんだよ。トヴォの口の悪さをレーカの癒しで直してやってよ。」

「無理ね。お母さんのお腹からやり直しても無理だと思うわ!」

「俺には母親なんていねーからそれも無理だな。」


馬が進むにつれ、空が暗くなっていく。


スン、と鼻を鳴らしたノル。


「トヴォ!湿気が増えた!雨が降るぞ!」

「よし、デカい木を探せ。雨が止むまで野宿だ。」


大きい木の下にテントを張り、雨避けを作る。

木を拾い集め、火を起こした。


「雨、すぐに止むかな。」


空を見上げながら、鍋をかき回す。

鍋の中にはソーミャが作ったであろう、スープ。


「おいノル、食材は節約しろよ。どんくらいでハーヴスに着けるかわかったもんじゃねーからな。」

「うん、わかってる。」


二人分の食材を出し、ふと胸に手を当てたノル。


「レーカは?食べなくて平気なの?」


その呼びかけに応じるように、ノルの胸から飛び出したレーカ。


「私たち精霊は食事をしなくても平気よ。でも、精霊の中には人間の食べるものを、好んで食べる子もいるわ。」

「へえ、じゃあレーカも食べようよ。」

「いいわ。食事が限られているんでしょ?二人で食べなさいよ。」

「そうだノル。そんな小せえ精霊、食ったところで変わんねーだろ。」


馬を木の下に誘導させたトヴォが横目でレーカを見た。


「ほんっとむかつく!そんな言い方しなくてもいいじゃん!」

「そうだよトヴォ。レーカは村の人を救ってくれたんだから、そんな言い方しなくてもいいだろ。」


眉を下げ、レーカをたてるノルに対して、更に眉を顰めたトヴォ。


「大体、お前んところの精霊が村を守ってりゃ先生だって、村の人だって悪魔族にやられずに済んだんだ!テメーらばっかり先に隠れるようなことしたから、あの悪魔族が村を滅茶苦茶にしたんだ!元凶はテメーらだろが!」


ずっとため込んでいた感情が爆発したかのような叫びだった。

それを聞いたノルも、目を伏せてしまう。


心のどこかで思っていたからー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ