デスストーンの襲撃(承) 頑張ります!
3柱 同時刻
◇パール柱
「て、敵襲です!」
「敵は『龍の頭が2つ 手が4本 その手の全てに剣を持っています。足が2本 長い尻尾がある生物』が1体で来ます」
砦に於いて 任務にあたっていた偵察騎士が 声を上げる。
「それは おそらく修羅だわ。。王妃から聞いています。よいですか。騎士達は皆下がっていなさい。私とカシェット達で行きます。カシェットの方達は よろしく頼みます」
「は!」カシェット30名が 片膝を付いて臣下の礼をとる。
「修羅といえど 1体ならいけるはずです。私が出ます。なんとか 1撃を与えて動きを止めます。皆もその後に続いて下さい。但し 気を付けて。決して 死ぬ事は許しません。傷付いた時点で下がりなさい。よいですね。それと王妃からの情報です。龍の口からは 炎が出るそうです。そちらにも注意を。では参りましょう」
「は!」 カシェット全員が 立ち上がり 王太后に付いていく。
騎士達は 先日の王太后が畜生を倒した光景が 記憶に焼き付いている。
『王太后様が いらっしゃる。大丈夫だ』騎士達全員が そう信じている。
『私は 右足が不自由、、だが あれからもずっと鍛錬している。3代目の『終結』に助力する為に。カシェット達も居る。必ずやれるはず。。不安になっては駄目』王太后は自身に言い聞かせる。
王太后は 杖を付きながら 不安を見せない様に毅然とした態度で 砦の外に出る。カシェット達も王太后の後ろから付いて出て 王太后の横に並ぶ。
修羅も砦に向かって来る。
王太后は 杖を地面に置くと 2本の剣を抜く。
「パール柱の神様 どうか御力をお貸し下さい」
「『ヴィラン カシェット』です」王太后は カシェット以外 周囲に聞こえ無い様に 小声で言う。
王太后は 白く輝く。修羅と相対する。
『時間はかけられ無い。右足が動く間に 何としても一撃を入れる。仕留めれ無いまでも 必ず修羅の動きを止める』
王太后は 強い決意と共に2本の剣を構える。修羅が 4本の剣を振り翳して 踏み込んで来た。畜生と同じぐらいの速度。
最速一歩 二刀流の剣を 修羅目掛けて突く。
周囲の騎士達には 誰一人 王太后の動きが見えない。修羅も消えた。王太后の姿も消える。カシェットの数名には 踏み出しだけは視えた者が居た。
王太后の踏み込み速度は 修羅を上回っている。
修羅が 王太后の左手の剣を 2本の剣で上方に弾く。修羅がもう2本の剣で 袈裟斬りに来る。王太后は下から 2本の剣を上に弾く。互いが互いの左の剣を上 右の剣が下になった。王太后は 身体を左に僅かに回転させ 修羅の右手2本を下から斬り上げる。2本の腕が飛ぶ。だが硬さのあまり 左手の剣が折れる。そこに僅かに 王太后より速度が遅れた修羅の右手2本の剣が斬り下ろされる。王太后の背中に傷を付ける。『うっ、、だが!』
王太后は そのまま 回転して回ると 修羅の正面に右手の剣を両手に持ち 全ての力を込めて 右手の剣を修羅に刺し込む。修羅の腹部に剣が 途中まで刺さったが 剣がそこで折れる。修羅が口から炎を出す。王太后は身体をずらして 何とか避けて 前のめりになりながら 修羅の腹部に両手で掌底の打撃を打ち込む。しかし先程傷付いた背中に 炎が掠る。
「ぐはっ、、」
修羅は 後方に尻餅を突く様に倒れる。
王太后も その場に前向きに倒れる。
騎士達が 次に見た光景は 王太后が前のめりに倒れて 修羅が後手に倒れている姿であった。よく見ると修羅は左手2本が無く 腹部に折れた剣が刺さっている。王太后は背中に 火傷と斬り傷がある。
カシェット達が この機とばかりに逃さず 修羅に全員一斉攻撃を加え続ける。修羅は腹部に折れた剣が刺さっており 左手2本が無い。出血も著しく 王太后のおかげで 動きがかなり緩慢である。カシェット達の動きは 『人』としては凄まじいのだが 修羅の身体は硬く なかなか斬る事が出来無ない。決定的な致命傷や ダメージを与える事は難しい。それでも 本当に少しずつ 徐々に徐々に 修羅は弱っていき 遂に その身体から 黒い霧が霧散する。
『ふう、、なんとか やれましたわね、、でも 正直今回が限界ね。次は難しいでしょう。次が来てしまったら カシェット達であれですからね。撤退しましょう。無駄に死ぬ事は 私が認めていないものね』王太后はここまでが限界と悟る。
「か、勝ったぞーー!! 王太后様とカシェット達が 勝ったぞーー!!」
騎士達は 今回も王太后の勇姿に感動する。カシェット達も凄いと感動した。涙を出して喜んでいた。
◇ルビー柱
「て、敵襲!!」
「敵は『龍の頭が2つ 手が4本 その手の全てに剣を持っています。足が2本 長い尻尾がある生物』が 1体で来ます」
砦に於いて 偵察任務にあたっていた騎士が声を上げる。
「それは 修羅ね。全員下がりなさい。私が行きます。先程の様にいかないまでも 前回とは違う。私は日々精進している。 1撃とはいかないまでも 任せなさい」
王妃の自信たっぷりで 変わらない様子に 騎士達は安心感を覚える。
『まぁ 私は強い。余裕よ』自分に言い聞かせる。
王妃は 1人砦の外に出る。
修羅も砦に向かって来る。
「ルビー柱の『神様』 どうか御力添えを!」
「『ヴィラン カシェット』です」王妃は小声で言う。
王妃は 赤く輝く。修羅と相対する。剣を左腰に沿わせる。右手で剣を強く握る。いつもの構えだ。修羅も 4本の剣を振り翳して 踏み出して来た。
最速一歩 左薙で切る。あまりの速さに 修羅も王妃の動きを捉えきれずに 剣が一閃したかと思うと 修羅の4本の腕が空中を飛ぶ。
修羅は 口から炎を出す。
『その手には 2度と引っかかってあげませんからねーー』
王妃は 炎を避けると 一旦後方に下がる。修羅も下がる。
この場に居る誰一人として 王妃の動きが見えない。ただ 光が走ったかと思ったら 騎士達が 次に見た光景は 互いに間合いを取る王妃と修羅。修羅にはあったはずの4本の腕が無く。地面に4本の腕が落ちている。
『ヴィランちゃんみたく 一撃で真っ二つとはいかなーい、、あんなに硬いのに どうやったら 一撃で撃破出来るのよ、、ヴィランちゃんがおかしいのよ。もう悔しいーーー』王妃には かなり余裕がある。
再び 王妃と修羅が消える。
次に 騎士達が目にした光景は 王妃が修羅を背に 右手を振り抜いた状態で 修羅の腹部に斬り込まれた後があり 修羅の身体から 黒い霧が霧散する姿だった。
「硬ったーー、、あいたた。どうやったら あんなの真っ二つに出来るのよ。ほんとっにもう!柱の御力まで借りてるって言うのに」
「勝ちましたぞ! 王妃様が 勝ちましたぞーー!!」
騎士達は 王妃が味方である事に喜びを感じていた。あんなに凄い修羅を倒せる事に驚愕もしていた。
◇サファイア柱
「あーー 来た来た。今度は修羅だね。はいはい」
ヴィランは 1人 砦の外で ずっーと ぼっーと 夜空を眺めて 鼻歌を歌っていた。夜空は星が綺麗だ。星はあんなに沢山あって 輝いている。
立ち上がる。
修羅が ヴィラン目掛けて 4本の剣を振り翳して 踏み出して来た。
ヴィランは 4本の剣が振り下ろされる前に 修羅の正面に入ると 右手の素手 正拳突きで殴る。修羅の身体が弾け飛ぶ様に大きな穴が 修羅の身体に開く。
修羅の身体から 黒い霧が霧散する。
この場には ヴィラン以外 誰一人居ない。全く居ない。ゼロである。
騎士達に披露していい力では無い。騎士どころか 誰にも見せてはいけない。
『ああ。結局 今日も 私は また1人。。孤独で孤高、、慣れないなーー』
王太后様や 王妃様 元気なのかなぁーー
「はい 本日も終了っと」
こうして 本日夜半過ぎに起こった デスストーンによる 3度目の3柱襲撃は 終わったのである。
◇デスストーン
「ほう、パール柱は 手こずってますね。この度は 2柱は余裕がありそうですが、ルビー柱は 1撃撃破とはいかなかったご様子。サファイア柱は 一撃ですね。という事は シレンはサファイア柱に居ると考えるのが妥当だな。では いよいよ本格的に行きますか」




