デスストーンの襲撃(起) 頑張ります!
3柱 同時刻
◇パール柱
「て、敵襲です!」
「『頭が2つ有り尻尾が蛇である 巨大な犬の様な生物』が 1体で来ます。黒く禍々しいオーラが凄さまじいです。かなりの巨大です」
砦に於いて 任務にあたっていた偵察騎士が 声を上げる。
「畜生ね! 全員後方に下がって 1体なら問題無いわ。私が出ます。私もあれから いろいろと強化しております。技術も知識も進歩しているのよ。剣だって あの当時とは比べ物にならないぐらい 切れるのよ」
騎士達に動揺させない様に。自分自身に言い聞かせる為に。王太后は大きな声で伝える。
『私は 右足が不自由だけど、、あれからもずっと鍛錬している。3代目の『終結』に助力する為に。剣の素材も良質になっている。あの時とは 違う。やれるはず。。』
王太后は 杖を付きながら 砦の外に出る。
畜生も砦に向かって来る。
王太后は 杖を地面に置くと 2本の剣を抜く。
「パール柱の神様 どうか御力をお貸し下さい」
「『ヴィラン カシェット』です」王太后は 周囲に聞こえ無い様に 小声で言う。
王太后は 白く輝く。畜生と相対する。
『時間はかけられ無い。右足が動く間に 片を付ける』
王太后は 2本の剣を構える。畜生が 爪と牙を剥き出しにして 飛びかかって来る。
最速一歩 二刀流の剣を 畜生目掛けて突く。
周囲の騎士達には 誰一人 王太后の動きが見えない。畜生の動きも。。王太后の姿が 騎士達の視界から消える。
王太后の踏み込み速度が 畜生の速度を大きく上回る。
2本の剣が 畜生の胸に 2本共深く刺さる。剣に沿って 血が流れて来る。畜生の身体から 黒い霧が霧散する。
騎士達が 次に見た光景は 2本の剣が 胸に深く刺さって 絶命している畜生と その剣を強く握り締めている王太后の姿であった。
「はぁはぁ やれましたわね」王太后は ほっと安心する。
「か、勝ったぞーー!! 王太后様が 勝ったぞーー!!」
騎士達が 喜びの声を上げる。騎士達は あんな巨大な生物を 人が一瞬で制圧した事に驚き 喜び合った。
◇ルビー柱
「て、敵襲!!」
「『頭が2つ有り尻尾が蛇である 巨大な犬の様な生物』が 1体で来ます。黒く禍々しいオーラが凄さまじいです。か、かなり 大きいです。驚きの巨体です」
砦に於いて 偵察任務にあたっていた騎士が声を上げる。
「王太后様から伺っております。それはおそらく 畜生ね。全員下がりなさい。私が行きます。私だって いつも鍛錬を怠った事はありません。シレンちゃん程では無いですが 1撃ですよ。任せなさい」
王妃の自信たっぷりな様子に 騎士達は安心感を覚える。
『まぁ 私は強い。余裕よ』自分に言い聞かせる。
王妃は 砦の外に出る。
畜生も砦に向かって来る。
王妃は 畜生と相対する。剣を左腰に沿わせる。右手で剣を強く握る。いつもの構えである。畜生が 爪と牙を剥き出しにして 飛びかかって来る。
最速一歩 左薙で切る。あまりの速さに 畜生の胸深くに 光と剣が一閃する。
この場に居る誰一人として 王妃の動きが見えない。ただ 光が走ったかと思ったら 畜生が飛び出しかけた位置で止まった!!
畜生の胸あたりから 大量の血が流れて出る。畜生の身体から 黒い霧が霧散する。
騎士達が 次に見た光景は 飛び出したままの姿勢で落ちる畜生と その前に右手を振り抜いた王妃の姿であった。
『一撃だったけど ヴィランちゃんみたく 真っ二つとはいかなー、、悔しい。。しょうがないか』
「勝ちましたぞ! 王妃様が 勝ちましたぞーー!!」
王妃の余裕に 騎士達は高揚した。あんな巨大な生物に人が勝つ事が可能だという事実に!
◇サファイア柱
「あーー 来た来た。畜生だね。はいはい」
ヴィランは 1人 砦の外で ずっーと ぼっーと 夜空を眺めて ゆっくりしていた。
立ち上がる。
畜生が ヴィラン目掛けて 爪と牙を剥き出しにして 飛びかかって来る。
ヴィランは畜生の胸に入ると 右手の素手 正拳突きで殴る。畜生の身体が弾け飛ぶ様に大きな穴が 畜生の身体に開く。畜生の身体から 黒い霧が霧散する。
この場には ヴィラン以外 誰一人居ない。全く居ない。ゼロである。
騎士達に披露していい力では無い。騎士どころか 誰にも見せてはいけない。
『結局 私は また1人。。孤独で孤高、、はぁ、なんだかなぁー』
あっ! でもちょっとスッキリしたかも、、
「はい 終了っと」
こうして 本日夜半過ぎに起こった デスストーンによる 3柱襲撃は 終わったのである。
◇デスストーン
「ほう。先日の餓鬼は どこも かなり手こずっていた様子だったが、、今回は 3柱に於いて 畜生を全て 1撃撃破とは。。それなりの騎士がシレン以外にも 他に2人は居るという事だな。だが 何処かの柱に シレンは必ず居る。しかし これではどの柱に シレンが居るのか まだ判断出来んな、、再度 整い次第 また仕掛けねばならんな」




