ダイヤモンド領での戦い(結) 頑張ります!
黒い霧が 辺り一面を覆い尽くす。
私は 一旦かなり後方へ下がって 安全そうな場所にフローライトを降ろす。
黒い霧が 集約し始めて 4体に形作られていく。
1体目は『龍の頭を2つ持ち 手が4本 足が2本 長い尻尾がある生物』
2体目は『頭が2つ有り尻尾が蛇である 巨大な犬の様な生物』
3体目 4体目は『腹が異常に出て長い爪を持ち 大きな牙が左右に2本生えている人間の様な生物』
霧が無くなり 4体の生物の姿が現れる。そこに ダイヤモンド柱爵の姿は既に無かった。
私は 何故か? 1体目が『修羅』 2体目が『畜生』 3体目 4体目が『餓鬼』だと直感的にわかった。
とりあえず 抜剣して 修羅目掛けて突っ込んでみる。
修羅が 4本の剣を上段から振り下ろして来る。身体を右にずらし躱して 割と力を込めて修羅の腹部に左手の掌底で打撃する。修羅が後方に吹き飛ぶ。そこへ右横から畜生が噛みつきに来る。私は身体を半回転させて 剣で畜生の頭を左薙で側方に叩く。畜生が側方に吹き飛ばされる。餓鬼は動きが遅過ぎて 現状は放置しておく。
『先ずは 1番動きの速い畜生からだな』
私は 畜生を後方に吹き飛ばした後 直ぐに身体を畜生正面に置く。左腰に剣を沿わせて 右手で剣を握り直す。畜生が頭をブルっと振って起き上がり 体勢を立て直した。畜生と向き合う。畜生が私目掛けて最速で来る 私も最速一歩 居合。
スパーッと 畜生の身体が 胸の高さで 上下に真っ二つに分かれる。畜生の身体から 黒い霧が霧散する。
「ドテ ドテ」畜生の身体が 地面に落ちる。
私は 着地後 直ぐに振り向き 修羅を正面に捉える。修羅も体勢を立て直しており 私を見据える。修羅目掛けて 突っ込む。
修羅は 双頭の口から炎を吐き出す。私は 素手で払うと 飛び上がり 両手で唐竹に剣を振り下ろす。修羅は4本の剣で受け止める。私の剣は 修羅の4本の剣を砕き 双頭の真ん中から 修羅の身体を 縦に真っ二つに斬り裂く。修羅の身体から 黒い霧が霧散する。
「ドテ ドテ」修羅の身体は 左右に分かれて倒れる。
後は 動きの遅い餓鬼だけである。私は剣を餓鬼の方に目掛けて 振り下ろす。剣撃が地面を走って 餓鬼を縦に真っ二つに斬る。餓鬼の身体から 黒い霧が霧散する。もう一体にも同様 剣撃を走らせる。餓鬼が縦に真っ二つに分かれて倒れる。餓鬼の身体から 黒い霧が霧散する。
周囲を見渡す。多数の騎士達が倒れているが 死んでいる者は居ない。敵の気配も感じない。
私は フローライトの所まで行き フローライトを拾い上げ 肩に乗せる。
『ひとまず 片付いたかな。殿下は無事逃げ切っているはず。なんてったって アイオライト様が居る。おそらく 待ち伏せは無いと思うが 急いで 殿下の元に向かおう』
フローライトを肩に乗せたまま 馬に乗る。私は王都の方向 殿下達を目指して 駆け出す。
しばらく 馬で走り続けると 殿下達の集団が休息していた。馬が走り疲れたのであろう。馬も 8時間続けてずっとは走れない。
「おーー! ヴィラン様 ご無事で何よりです」
館の騎士達が 出迎えてくれる。
「何? ヴィラン 戻ったのか。それは良かった。本当に良かった。して事の次第は?」
「はい ひとまず安全かと思います。騎士団は壊滅してます。追撃も しばらくは無いはずです。ですが 念の為 王都までは油断してはいけません。ダイヤモンド柱爵は 侮れません」
「お嬢様 よくお戻りで さすがは お嬢様です」
「さすがでございますな。柱爵家の近衛騎士団を壊滅させるとは! やはり「ヴィラン カシェット』は最強でございますな」
その後 周囲に注意を払いながら 私達一行は ダイヤモンド領を抜けて 無事王都に着いたのである。




