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ダイヤモンド領での戦い(起) 頑張ります!

「ダイヤモンド領で 2日間 宿泊する必要がある。ジェイド ダイヤモンド柱爵には 通達を出している。サードストーンの館に向かう旅程で 宿泊は必須だからな。ダイヤモンド領ではあるが 領内に王家所有の館がある。本日はそちらに宿泊する。明日は ダイヤモンド柱爵から 屋敷に招待されている。なので明日はダイヤモンドの屋敷に宿泊する。ヴィランが同行している事も 既に通達済みだ」


たった今! たった今!! 初めて 旅行の行程を教えられる。


朝食後 王都を出発して 途中昼休憩をして どのくらい経ったのだろう。馬車の窓からの景色がやや赤くなって来て 夕日が差し込んで来る。

馬車が止まる。


「殿下。無事到着致しました」護衛の騎士が 声をかけて来る。

「うむ 大義であったな。さぁ 降りようか」

殿下は 立ち上がると 騎士が開けてくれた扉から馬車を降りる。そして 振り返ると右手を差し出す。

「さぁ ヴィラン」


私は 馬車によるお尻へのダメージを隠しつつ お淑やかに立ち上がる。『お、おしり。も、もげてない?』

「殿下 ありがとうございます」作り令嬢笑顔。

なんとか 殿下の右手に手を乗せると 殿下がエスコートして下さり お尻を庇いつつ馬車を無事降りる。

目の前に とても大きな館があった。『館?? ターコイズ屋敷よりデカい』


「わぁーー。大きい! 凄い綺麗! ここに泊まるのですね。楽しみです」


「そうか。ヴィラン 喜んでもらえて 私も嬉しいよ。さぁ マリーも」殿下は マリーもエスコートして下さる。

「凄いですねー。本当にお綺麗です。殿下 ありがとうございます」

マリーも降りて来て 感嘆した。


「お待ちしておりました。ゴブキ殿下」

老齢ながら ビシッとした佇まいの男性が 右手を胸に当て 頭を下げている。


「おおー アイオライト。久しぶりだな 健在な様子 本日は世話になる。よろしく頼む。こちらが『ヴィラン カシェット』カシェット宰相家令嬢だ。こちらが侍女のマリーだ」


「お初にお目に掛かります。カシェット宰相家が長女『ヴィラン カシェット』と申します。本日はお世話になります。よろしくお願いします」

「ヴィラン様の侍女をしております『マリー』と申します。よろしくお願い致します」


「ご丁寧にありがとうございます。私は『アイオライト』と申します。この館の執事長をしております。何がございましたら いつでも御用命下さい」

何故か? アイオライトは 私をジロジロと見る。『私の魅力を見抜くとは おぬし やるな!!』


「さぁ 挨拶はそのくらいで 中に入ろう。ヴィランに 早く中を案内したいんだ! ほら ヴィラン行くぞ」

殿下はとても嬉しそうで 私達は 殿下に連れられて 館内を案内してもらう。


館に入ると直ぐに ホールが開けている。真ん中に階段がある。広くて本当に綺麗だ。


「2階に客間と客用のお風呂場がある。1階は食堂とホールだな。どうだ ヴィラン」

「はい とても綺麗です。凄いです」


先ず階段を上がって 客間に案内される。

扉を開けると それはそれは大きな部屋である。中央に天蓋の付いた大きなベッドが2台置いてある。私とマリーのベッドだろう。

中に入る。大きな窓が6つある。外からの夕日が差し込む。『二重ガラス。窓鍵は2箇所』 壁は厚そうである。

私は 念の為周囲を確認して回る。窓の鍵を開けて 窓を開けてみる。『窓から外に出て 万が一の場合 殿下の護衛に出れるな』


奥にもう1枚扉がある。殿下に目で訴える。

「あー。奥の扉は 客用のお風呂場に繋がっている」


「ちなみに 殿下のお部屋はどちらでしょうか?」

「うん? ま、まさか ヴィラン! それは早過ぎる。私達はまだ学生だぞ、、」

「な、なにを、、はあ!! で、殿下ーー」私は顔が真っ赤になる。自分でもわかる。


「じょ、冗談だ、、ヴィラン つい嬉しくてな」揶揄って来たはずの殿下も顔が赤い。


「ほほ、仲睦まじいですな。若いというのは良いですな」アイオライトが揶揄う様に言う。

「なんだかんだと お嬢様は 殿下の事がね?」マリーも揶揄う様に言う。

『ちぐしょーー』


「殿下のお部屋は この部屋のお隣です。ご覧になりますかな?」

「は、はい、、」何故か照れる。。殿下のせいで。。、くそーーー


殿下と私は 互いに顔が真っ赤である。『違うからね!違うからね! 護衛だからね!護衛なんだからね!!』


隣の部屋を見せてもらう。気持ちを切り替える。

構造は客間とほぼ変わらない。同じく大きな窓が6つ 中央に天蓋の付いた大きなベッドが1台。奥に扉。『二重ガラス。窓鍵は2箇所 奥の扉はお風呂場 入口の扉は頑丈だ。鍵穴は外側には無い。内側から鍵が2箇所』

私は 確認の為 歩きながら周囲を見回る。奥の扉を開ける。浴槽があり 窓は無い。天井 壁 床全て分厚そうだ。


『風呂場への襲撃は無いな。外部と繋がっていない。部屋に侵入する為には、、建物に入って動線的にはこの部屋が一番遠い。窓の外 部屋の入口に護衛が張り付くと想定して、、』私はいろいろと思案を巡らせていた。


「この部屋の中への襲撃は難しいかと思います。窓には特殊なガラスを使用しております。人の力で割る事はまず出来ますまい。窓鍵は見せかけです。要は鍵は飾りですな。窓は開閉出来ません。庭と扉の入口には護衛が張り付きます。殿下が入口扉の内鍵を閉め忘れない限りは おそらく大丈夫かと」

急に横に居たアイオライトに説明される。


私は顔を上げて アイオライトを見る。『この人 なかなかやる人だ!』


「さすがでございますな。ヴィラン様であれば それでも突破可能ですかな?」

「な、なにを、、」

「超一流でございますな。ですが いささかお若い。歳を重ねるというのも悪くはございませんな」

「あ、あのーー」

「それでも ご心配でございましたなら 殿下とご一緒のお部屋に致しますかな?」

『ぼふん』顔が真っ赤になって 火が出る。


「はははは これは初々しいですな。では ヴィラン様にご心配をおかけする訳にもまいりませんな。ぐっすりとお休み頂く為に 私が殿下のお部屋におりましょう。いかがですかな?」

「は、、はい」

「ヴィラン様に ご納得頂いたところで 夕食に致しましょう」


「はははははは」

アイオライトの笑い声が 部屋中にこだました。

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