2代目様との会話 頑張ります!
この度は お読み頂きありがとうございます。桜が満開で 少し温かい日が続く様になった気が致します。
入学 入園 入社 等 年度始めのお忙しい時期かと存じます。
ちょっとした気晴らしに お読み頂けましたら 有難いです。
「少し落ち着きましたか?」王妃様が 優しく聞いて下さる。
「はい お見苦しいところをお見せしてしまい 失礼致しました」私は 泣き腫らした赤い目を少し伏せて言う。
「いいのですよ。あなたの大変さは知っているつもりです。ところで 私に何を聞いておきたいのかな? それと シレンちゃんのお話なら 何でも聞く事は出来ますよ」王妃様が 私の頭を撫でながら言って下さる。
私は いろんな事を聞きたい。話したい と思っていたが いざとなると胸がいっぱいで 詰まる。ゆーっくりと深呼吸をして 落ち着かせ様とするが 自分なのに制御出来ず なかなか落ち着かせられない。
私は結局 昂った感情のまま
「王妃様も ご家族やお名前を捨て去せられたのでしょうか? 悪役令嬢を演じさせられたのでしょうか? 王太子殿下をお守りして 周囲から畏怖されて。。その、、お嫌じゃなかったでしょうか? わ、私は 凄いストレスで! で、でも殿下に褒められて嬉しくて。昔 兄から 学園の話を聞いた時『学園に行く事』が とても楽しみだったのに、、学園に行く事自体が任務になってしまって 学園自体に 自分自身が行けなくなっちゃって。自分は死んだ扱いになって。。だから、その。えっと」また 涙が出てくる。
「ヴィラン。その物の言い方は 王妃様に対しても 陛下に対しても 失礼にあたる。王妃様に謝罪を行い 言い直した方が良い」お父様が 優しく私の不敬を指摘してくれる。
「あら。ちっとも失礼などでは無いわ。失礼なのは こちら側ですもの。シレンちゃんの言っている事は当然です。家族も名前も権力によって捨て去せられて 学園に行く楽しみも奪われて。シレンちゃんは死んだ事にされて 今までの自分を全て否定される。結果 シレンちゃんでは無く ヴィランとして学園に行き 周囲から畏怖されて。学園を楽しみたいのに行動と言動にすら制限されて。それも13歳の女の子ですよ!辛く無い訳ないわよ。ねぇ シレンちゃん!そうよね。その通りですよ。周囲にも あまり相談出来無い。大人の身勝手を押し付けられているのよ。このぐらいの物言い 大人しい方だわ」王妃様は 抱き締めたまま お父様を睨み言い返す。
王妃様は 私の目を見て話始める。
「私も 最初は意味がわからず。でも家族も名前も捨て去せられました。シレンちゃんも あの『悪役令嬢の本』読みました?あんなのに成れ! と言われて。ねぇ〜」王妃様は 笑いながら問う。
「はい。読みました! あんなのに成れるのは『私だ!』とか言われちゃいました」『王妃様のおかげで 少し落ち着きを取り戻したかな?』
「私も『剣を満足に奮ってはダメ』『威張り散らして畏怖されて孤立しろ』とか もう滅茶苦茶でね。それは それはストレスでしたよ」
「やっぱり そうだったのですね。私も凄いストレスなんです」
「でもね。家族も名前も捨て去せられて 無理やりやらされていたのですが。。どうしても投げ出す事が出来なくて。。どうしてかなぁ? お金? 断頭台?」ニヤっとした王妃様が問う。
「お金10億ジュエル!!欲しいです! 断頭台は やっぱり嫌です!」
「まぁー。今は10億ジュエルも頂けるの? 私の時は8億ジュエルでしたのに」王妃様が わざとらしく悔しそうにする。
『あー。。何だかとても楽しい! 私が 初代様 2代目様と お会いしたかったのは もしかしたら同じ境遇の方達と こういう事をしたかったのかなぁ。何だかとっても安心する。気持ちが安らぐ』
「王妃様 そろそろ 陛下とのお時間が」お父様が 王妃様に言う。
「あら。もうそんな時間? 時間は直ぐに過ぎますね。シレンちゃん まだまだ お話したい事はありますが また いつでもいらっしゃい。あなたなら大歓迎よ。お父様にお伝えしたら 私といつでも会える様に手配しておきます。なんと言っても 私も元『ヴィラン カシェット』!あなたのお父様の義姉ですからね」王妃様が わざとらしくドヤ顔でお父様に言う。
『そっかー。『カシェット』だもんね。姉弟なのかー。私と一緒だ』
王妃様が 私を離して立ち上がって 背筋を伸ばす。
「『シレン ターコイズ』いえ『3代目ヴィラン カシェット』! よく私のところに到達致しました。あなたなら すぐに 私を『2代目ヴィラン カシェット』と判断するとわかっておりました。イブキ様とのお約束に従い あなたに『これ』をお渡しします」
王妃様は そう言うと ご自身の首に掛けておられた『ハート型のルビートップのネックレス』を外して 私の首に掛けて下さる。
「弟くん。私は彼女を認めました。と言いますか。私は初めて『シレンちゃん』とお会いした時から 大好きなのです。今までの 頑張りを間近で見ているあなたなら もうお分かりですよね」王妃様は お父様にそう言って 私から離れると何かを促す。
「分かりました」お父様は納得した感じでそう言うと 自分の右手に付けておられた『剣型のサファイアラインのブレスレット』を外して 私の側に来る。
「シレンちゃん 立ち上がって」私は 王妃様に促されて 立ち上がる。
すると お父様が 私の前に片膝を付き 臣下の礼をとる。『えっ!?何?何?』
「『ヴィラン カシェット』様 今までの非礼をお許し下さい。私共『カシェット』は 今後あなた様を『主』と仰ぎ 王家では無く『あなた様だけに』忠誠をお誓い申し上げます」
『な、何これ? 状況がわからない!』
目の前で臣下の礼をとるお父様を前に 困惑する私を見て 王妃様が言う。
「『ヴィラン カシェット』! これからも あなたが気付く事が出来れば また1歩前に進むでしょう。詳しくはお伝え出来ませんが。あなたなら近い将来 わかる時が来ます」
「我々『カシェット家』は 代々宰相職に着きます。ですが それは表の当主です。本当の当主は 『カシェット』自らが選び 認めた『ヴィラン カシェット』なのです。そして『カシェット家』が忠誠を尽くすのは 陛下でも殿下でも王族でも無く。『ヴィラン カシェット』あなたにだけに忠誠を尽くします」
「私も イブキ様とのお約束に従い『こちら』をあなた様に」
お父様はそう言って 臣下の礼をとったまま 両手の掌の上に ブレスレットを乗せて 私の前に差し出す。
「受け取りなさい。『3代目ヴィラン カシェット』! それは『終結のヴィラン カシェット』たるあなたの役割なのです」
『うーん。状況がよくわからない。私は『カシェット家』本当の当主なの? でも裏の当主っほいなぁ。。それと はい出ました『終結のヴィラン カシェット』って何? 聞いた事無い言葉出ましたー。。しかも『終結の』って何? 『終結』って、、私で『最後』って事なの? うーん?』
私の状況理解不能を 見て悟ったのか 王妃様が言う。
「さぁ 右手に付けなさい」
私は 王妃様に促されるまま ブレスレットを受け取り 右手に付ける。サイズが自然とピッタリになる。
私が ブレスレットを右手に付けるのを確認すると
「ではでは シレンちゃん 後程お会いしましょうね。弟くんも」
そのまま 王妃様は出て行ってしまわれた。『あー! 王妃さまー』
お父様は 臣下の礼を崩して 立ち上がると
「主様。先程 王妃様がおっしゃいました様に 表向きは 私が当主です。大変申し訳ございませんが 人前での対応は今まで通りで お願い致します」
頭を下げて 私に頼む。
「と、とんでもございません。私は まだまだ未熟です。今後とも よろしくお願い致します」
そう言って 私も頭を下げる。
「当然です。まだまだ未熟ですよ ヴィラン」
お父様は 意地悪そうに 揶揄う様に いつも通りに 私に言った。




