ダイヤモンド柱爵家の状況報告 頑張ります!
◇フローライト ダイヤモンド
「あなた様は?」私は 全身黒づくめの人物に聞く。
「ノネム ストーン。そう! 私は『ノネム ストーン』」そう答えると飛び上がって去っていく。敵を制圧した能力。ここから飛び上がって観客席に到達する飛躍力。どれを取っても 驚愕で 驚異的である。
『私の計画が、、』
『そう。私は殿下が疲労し切るまで 最後は打ち合いをさせてわざと負ける。そして試合後 疲れ切っている殿下と 私ごと誘拐させて。薬で殿下を朦朧とさせ 契りを交わして婚約 王太子妃になる予定でしたのに。。あの『ノネム ストーン』のせいで!!計画が全て台無しですわ』
腹立たしさと悔しさで 意識無く倒れているバカ共を殺してやろうかと 近付いて行くと
何やら 光る物が! 側まで行き 拾い上げてみると 本の形をした『ローズストーン』である。
『ロ、ローズストーンだわ。私にこそ相応しいから 天から私の手に。なんて事は無いわね。でもおそらく ヴィランの物なはず。なんでこんな所に?』とりあえずポケットに仕舞う。
『それにしても あのバカヴィランの奴。交流会の時もそう。殿下が毒を盛られて 意識朦朧とする中 私がお助けして介抱する。そして契りを交わして婚約 王太子妃になる予定でしたのに。。あのバカヴィランが!!』思い返して まただんだん腹が立ってくる。
私の計画は 完璧な筈! だけど 偶然居合わせた者によって 必ず邪魔される。うん? 偶然??
そこへ 父親『ジェイド ダイヤモンド』柱爵が部屋に入って来た。
「フローライトよ。事はあまり上手く運んでいない様子だな」
「その様な事はありませんわ。お父様 ご安心ください。必ず 私が王太子妃になってみせますわ」
「うむ。期待しておるぞ。そなたが王太子妃 そして後に王妃となる。私は私で ダイヤモンド柱の力を 上手く使役出来る様になれば この国は 我等ダイヤモンド柱爵家の物! なんとしても ゴブキ王太子殿下を手中に!」
「はい。お父様 お任せ下さい」
「よろしい。では 私もダイヤモンド柱の調査を続ける。また 何かあれば 情報を教える。頼むぞ」
「かしこまりました」
ジェイドが フローライトの部屋から退室する。
フローライトは 鏡の前で『ローズストーン』を右胸に付けてみる。
『とても似合っている。私の胸にこそ相応しいわ』
そこで ある考えに行き着く。あの場に居たのは 殿下 私 審判 バカ賊ども。。と『ノネム ストーン』!!
そして『ローズストーン』が落ちていた。そんなに偶然が重なる? ヴィランは1回戦敗退後 ずっーと観客席に居たはず。となると。。その時に右胸に『ローズストーン』があった事が調べられたら。。『ノネム ストーン』は『ヴィラン』
うふふ! 決定的だわ。そうなると ヴィランがずっと王太子殿下の側に? 偶然??
ひとまず 今度本人にお返しして それとなく探りを入れてみましょう。
「あははははははははは」
屋敷内に フローライトの大きな笑い声がこだました。
◇ジェイド ダイヤモンド
ジェイド ダイヤモンドは 自室に戻って来た。
どうも 娘の計画は上手く進展していない様子。自分自身もダイヤモンド柱の力の調査が 今一つ進展していない。
『我がダイヤモンド家が この国を、、なんとしても 力が、、欲しい』
「そなたは『力』を欲するか?」
急に 何処からか 声が聞こえて来る。
「そなたの様な者を この100年ずっと探しておった。柱に近く 野心に溢れた者を。そなたが望み 我を受け入れるならば 我が『力』を授けてやろう」
ジェイドの目の前に 黒い霧が発生して 集合したかと思うと 突然男性が現れる。
ジェイドは立っている事が出来なくなり その場に跪く。
『この威圧感!! この圧倒的な力は!! な、何者?』
「何者とは 失礼な。我は そなたらが『神』と呼ぶ者だ。どうだ!『バースストーンの『力』』を 手に入れたいのであろう。ならば この国などと 小さな事は言わず。この世界を手に入れたいとは思わぬか。我が『デスストーンの『力』』も くれてやろう。受け取るが良い」
そう言うと その男は黒い霧となり ジェイドの中に入り込んでいく。
「うぐ、、うがぁ!! うがーー!! ぐふ!」
ジェイドは 黒い霧が体内に入った瞬間 突然苦しみ始める。倒れ込み のたうち回っている。口から血を吐き 身体が 関節が 無理な方向に曲がっていく。
「うが、、う、、うがーーーーーーー」
大きな悲鳴が 屋敷内にこだまする。
「うははははは! 遂に!! 遂に 肉体を手に入れたぞ!!」
ジェイドが 立ち上がる。
立ち上がったジェイドは 腕を振ったり 手を握り締めたり 首を振ったりして 何かを確認している様子である。
「なるほど。なるほど。肉体を手に入れたとはいえ 溺弱極まりないな。これは気をつけて使わねばならんな」
そこへ 悲鳴を聞きつけて フローライトが急ぎ 走って来た。
「はぁはぁ お、お父様 大丈夫でしょうか? 今 悲鳴が!」
「はしたないぞ。フローライト 柱爵令嬢が走って来るなど」
「あっ! こ、これは 失礼致しました。で、でも お父様がご心配で」
「私なら この通り 大丈夫だ。大きな声を出して悪かったな。フローライトよ。安心してお休みなさい」
『この身体の扱いに慣れる必要がある。誰にも知られず 動いておくしか有るまいな。100年振りに得た大事な肉体だ。しばらくは 慎重に考えるとしよう。100年経っている。状況把握からせねばならん。さすがに『バースストーン』はもうおるまい』
「わかりました。お父様 ご無事で何よりです。はしたない姿をお見せして 失礼致しました。お休みなさいませ」
「ああ! ゆっくりと お休み。フローライト」
フローライトが 退室していく。
「ふはははははははは」
屋敷内に ジェイドの大きな笑い声がこだました。




