『ノネム ストーン』 頑張ります!
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よろしくお願い致します。
さてさて『夏のランク戦』も決勝戦となりました。
ちなみに 3位決定戦では『ヘマタイト アクアマリン』が勝ったらしい。。
決勝戦
『ゴブキ バースストーン』vs『フローライト ダイヤモンド』
中央で握手を交わす2人。
「フローライト。手加減は出来ない。そなたの先程の試合を見た。そなたも最初から全力で来い」
「殿下こそ 女性だからと侮らず 実力でご判断頂けますとは 光栄ですわ」
「頑張れー」「お2人共 素敵ー」なんて声が聞こえてくる。
『あれ? なんか 胸がモサモサするなぁ。でもフローライト様 まぁまぁやるから。いい勝負になるよね。きっと』
一旦 後ろに下がる2人。殿下がこちらを見る。目が合う。手を振る。嬉しそうに笑う。『はいはい。殿下の応援してますよー』『ってか あなたを見守るのが 私の任務。見てない訳無いでしょう』
「では 構えて」
2人は 互いに剣を握り 構える。殿下は上段の構え。フローライトは下段の構え。
審判が石を上に投げる。投げた石が地面に落ちる。『ゴロ』
2人とも 動かない。互いに間合いを測っている様子。殿下が仕掛ける。上段から間合いを詰めて袈裟斬りにいく。フローライトが体ごと横に躱す。殿下が横薙。フローライトが剣で受け止める。直後剣で押し勝ったフローライトが唐竹。殿下が体を回転させ避ける。
再度 2人共 正面に構える。今度はフローライトが仕掛ける。準決勝で見せた速い踏み込みで殿下を突きにいく。殿下は素早い動きで体ごと横に躱す。
息をもつかせぬ攻防である。見ているこっちが緊張して手に汗が出る。
「おぉー」「2人共 すげぇー」大歓声が上がる。会場中からも拍手喝采である。
三度 正面に向かい合う。今度はどちらとも無く 剣の打ち合いである。剣撃の応酬である。しかし 体力の差か?力の差か? 不明だが 打ち合いが長引く程に フローライトが押し負けていく。
最終的には フローライトが唐竹を狙い振り落ろした剣を 殿下が逆袈裟で弾き飛ばす。フローライトには剣を握る力が もう残って無かった様だ。飛ばされた剣が地面に落ちる。
「勝者『ゴブキ バースストーン』」大歓声が上がる。皆んなが中央を見ている。
『いい勝負だったなぁ』と関心していた。
『はっ!』私は殺気に気付く。何か来る。
『誰も見てない筈!!』
私は 急いで制服をリバースして『忍者』『へーんしーん』素早くする。
「きゃあー。何あれ?」歓声が悲鳴に変わる。
試合を終えた2人を 取り囲む様に 30数人の黒装束の賊が居る。『おや?忍者?』
「『ゴブキ バースストーン』殿下とお見受け致します。試合にて もはやお疲れのご様子。その様な状態で 我々の攻撃を躱せますかな?」賊のリーダーらしき男が前に出て言う。
「あなた様を殺しは致しませんが お越し頂きたい場所がございます。大人しく付いて来て頂けるのであれば 周囲には手を出しませんが?」もう1人サブリーダーらしき男が言う。
殿下とフローライト様 審判が賊共に 取り囲まれている。
「教師 学生で腕に自信のある者は迎撃を」誰かが言う。しかし円形の闘技場であり
観客席と中央までは 距離がある。おそらく 私以外は戦力にならないだろう。
私は 観客席から飛び上がると 賊の後方に静かに着地。背後から左右両手に気を入れて右手で1人 左手でもう1人の賊の脇腹に打撃を打ち込む。同様に3回行って ちゃかり6人を無力化しておく。彼らは立っているものの 意識が無い。
「そうだな。俺は確かにフローライトとの試合で疲れている。今の俺では勝てないだろうな。まぁ その人数。疲れて無くてもどうだったかわからないがな。だが そもそも俺が戦う必要があるのか?よくわからないが付いて行くのは ごめんだな」殿下が揶揄う様に言う。
『私の事 えらく信用してるなぁー。まぁ嬉しいけどね』
「外の護衛なら 既に制圧済みだ。それに 我々だけでは無い。外にも経路確保の人員が多数居る。我々が無策で 此処に来たとでも思っているのであれば 笑止!」リーダーがドヤ顔で言う。『外の護衛を制圧しているって事は 凄腕か?』
「はい 後ろ」殿下がリーダーに後ろを指差す。
私は 殿下とリーダーのやり取りの間に 更にもう6人を無力化していた。
「後ろを向かせて 隙を作るつもりとは。王族とは情け無い」リーダーか吐き捨てる様に言う。
「はい」私はそう言って 12人を1人ずつ押していく。すると全員意識が無いので そのまま前のめりに倒れ込む。
「ドテ」「ドテ」と倒れ込む音に 異常を感じたリーダーが 後ろを向く。
「はいはーい」私は手を振る。
リーダーが驚愕の表情で「お前は・・」私はリーダーが言い切る前に今度は抜刀して 逆袈裟で仕留める。リーダーが後ろに倒れる。意識は無い。
「残り20人くらい?」私は サブリーダーらしき男にそう言うと ストレス発散も兼ねて 斬り込む。サブリーダーも私の攻撃を防ぐ事が出来ず そのまま倒れる。
周囲の賊は 全員剣を抜いた。応戦してくるが 動きは遅いし 連携も取れて無い。リーダーとサブリーダーが居なくなったからか? 不明だが 後は洗練された賊では無く 数だけの烏合の衆だ。
『剣躱すまでも無いなぁ』
私は 左手で相手の剣を捌くと 右手の剣で腹部に打撃を加える。今度は 右手の剣で躱して 左手の掌底で打撃を与える。同じ攻撃ばかりだと 芸が無いので 飛び上がって 顎下なんかも蹴っておく。1対19とは言え 私の敵では無い。おそらく 一瞬とは言わないが 短時間の出来事だった筈だ。『あぁー。スッキリした。ストレス発散は殴る事だね!』
周囲というか 教師 学生達が驚愕の表情で こちらを見ている。声が出ない様子。
3人だけ。。陛下と殿下とお父様は 満足気にニコニコしている。
私は 懐から紙を取り出して『この人達は 罪人です。どなたか衛兵をよろしくお願いします』と書いて リーダーに貼ってやった。やっぱりゴミ掃除はこうでなくちゃ!
殿下が 私の 唯一出ている目を見つめて 嬉しそうにしてくれる。
『やったね!殿下は無事!任務完了かな』
ここに来て ようやく 教師 生徒達が 中央に来て 無力化されている賊達を縛り上げていく。
周囲にも 衛兵達が到着したのか 経路確保の賊達も制圧された様だ。
「あなた様は?」突然フローライトから聞かれる。
『な、名前か? 考えて無かったなぁー。えっーと。名前名乗ったら バレるし』
『な、名無し。そか 名前が無いので』
「ノネム ストーン。そう! 私は『ノネム ストーン』」私は図太く声を変えて そう言い残して会場を後にした。
急いで トイレに駆け込む。『へーんしーん』服を再度リバースして 制服に戻して着る。私とて 一端の女の子。身だしなみを気にして 鏡の前に立つ。
『うん! 今日も可愛いぜ。シレン。やっぱり 私って美少女』
しかし 何か違和感を感じる。
『うん? えっ? 無い! ローズストーンが無い!!』
鏡を見ていて 違和感の原因に気付いた。よーく見てみると 右胸に付けていたはずのローズストーンが無い。
『えっ? 落とした? いつ? 何処で?』
『『ヘーんしーん』前はあったから。。げっ? 賊と戦った時?』
焦った私は『なんて ドジ子さん』反省しながら トイレを出て 会場に戻ったのである。
だが 騒動終結後も ローズストーンは見つからなかったのである。




