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殿下へのごまかし 頑張ります!

『はっ!』目が覚める。『あちゃー。フリだったのに 本当に意識失くすなんて。。殿下への緊張からって なんてやら』

『あら! お手手が! ぎゃー で、殿下。。』

気が付くと ベッドに寝かされていた。殿下が 右に座っており 私の右手を握っている。


「あぁ ヴィラン 目が覚めたか。良かった。とても心配したんだ」

「で、殿下。なぜ此処に?」

「君が心配だったからな。目覚めないかと思ったら ここから離れる気には なれなかったよ」


殿下が 私の右手を更に強く握る。

「右上腕からの出血は まっーたく無い。頭部をぶつけた様子も無い。意識を失った理由は不明だが 目覚めて 本当に良かったよ」なんとなく 勘繰る様に殿下が言う。


『あちゃー。私に矢が刺さって無い事は バレてる。ど、どうしよ。しかも 意識失った理由って。。殿下がーー』

「えーっと。あのー。そのー」私は 返答に困る。


「とりあえず 寝たままで良いから聞いてくれ。報告しておく。君が令嬢のドレスにかけた飲み物から 毒物の匂いがした。その為調べさせたのだが ドレスからは 毒物が出なかった」


「えっ? それはおかしいので・・」

私は 驚きのあまり 上半身を起こして 反論しようとして 気付く。急ぎ 両手で口を塞ぐ。『しまったー。毒の件 知らんぷりがーー』


「うん? 矢が刺さった割には 右手が動くなぁ?」ニヤニヤ冷たい視線。

『更に やってもうたー! 右手普通に動かしてもうたー』


「令嬢のドレスから 毒物が検出されなくて『何』が おかしいのか? それに『偶然矢が刺さらなかった』なんて事は無いよなー?。君が『握ってた』矢からは 毒物が見つかった。おかしいなぁ?君は 毒矢が来る事がわかってたのかなぁ?」

殿下は 更にニヤニヤした顔で 私を見つめてくる。


『あかん。どうしよ? どうしたら? もうバレてる気がする。完全にバレてるよね? で、でもバレたら 断頭台だし』私は 返答に更に困り 目を逸らし俯く。背中には冷や汗が。た、大量に。。『ど、どない答えたら』


だが 殿下は 更に追い討ちをかけてくる。

「しかも 私を守る為 自ら身体を盾にして。毒矢を『素手』で受け止める自信があったのかなぁ? 普段運動音痴の君が?」

『コイツ サディストか? 私がオロオロしているのが そんなに面白いのか!ほとんどわかっとるくせに! ちぐしょー』


「だけど 芝居にしては 本当に気を失ってたよね?」

『し、芝居って!!って言った? 言ったよね。もう あんた確信しとるやん。しかも『あんたに充てられて』なんて言えない!様々な訓練したけど。。男性耐性の訓練無かったからなー』


私は 殿下からの精神削減攻撃に ヘロヘロである。

「あのー。そのー。えっとー」返答出来ずに困り果てる。


「ゴブキ そこまでだ」

突然 扉が開くと 陛下と宰相が 入室して来た。陛下と宰相は 私がいるベッドの隣まで来る。

私は 急ぎベッドから降りると 立ち上がって 頭を下げる。


「ヴィラン 良くやった。やはり無事な様子。お前が倒れたと聞いたが。。まぁそういう事だろう。とは察していた」

「ありがとうございます。お父様。私は どうも有りません。それより・・・」私は 隣の殿下を見る。


「うむ。状況は理解しておる」そう言いながら 私の方を向き ニヤニヤして 右手で首を切る仕草をする。

『ち、ちぐしょー』


「ゴブキよ。それ以上は止めておけ。それ以上の詮索は ヴィランを追い込む事になる。それはお前も望むまい。今ならまだ!なんとか 世と宰相との胸に仕舞っておける。だが ここから先は難しい。だから 宰相と改めて相談してからだ。わかるな?」


「・・・真実を明かそうとすれば ヴィランが不利だという事でしょうか?」

「ヴィランと 2度会えなくなる」


「わかりました」

「それとヴィランとの事 お前が感じた事は 一切他言無用だ。よいな?」キツく言う。


「わかりました。ですが父上 私からも ご質問がございます。お答え頂ける範囲で構いません。ご質問の許可を」

「わかった」


「私は命を狙われていると?」

「そうだ」


「ヴィランは 私の味方ですね? あっ! こちらの質問にはお答え頂がなくて大丈夫です。母上からも『疑うな』と言われていましたからね」ニヤニヤしながら言う。


陛下も宰相も 何やら居心地の悪そうな顔をしている。


「殿下。ヴィランも 報告をしておきます。まず矢を放った者は 身柄を拘束しております。平民の猟手でした。病弱な母親を人質に取られていた様で。母親の身柄も確保しましたが 手掛かりは無かったですね。なかなかに巧妙です」


「手掛かりならある。私は毒物の付着したドレスを 確かに渡したのだ。だが ドレスからは毒物が出なかった。あの時 毒物の存在に気付いたのは おそらく『訓練を沢山した』私と 何故かなぁ? ヴィラン! お前ぐらいだったはず」ニヤニヤして言う。

『うわー 陛下に釘を刺されたのに! お前って奴は。そんなに 私の首を胴体から切り離したいのかー』


「殿下 つまりは?」

「つまり 私の渡したドレスが『入れ替えられた』という事だ。飲み物は あの量だ。検出が難しい微量とは訳が違う。おそらく 誰も気付いていないと思い 隠そうとした者が居る。なおかつ その者はドレスを触れる立場に有った。という事だ」

宰相・私「なるほど」納得する。


「では ヴィラン。後程な! 私が居ては この先の会話が難しいだろう。お前をいじる事は 楽しいがな」そう言いながら 小さな舌を出して 悪戯っぽい顔をすると 殿下は部屋を出て行った。


「では 殿下のご厚意を無駄にしない様 報告を続ける。ラズライト家に探りを入れてみたが やはり害獣駆除剤として購入した。との事だった。それ以上の追求は難しい。購入が認められている物だからな。また アウイン商会主も身柄を拘束されている訳では無い。おそらく 何者かが 娘に 父親の命の危険をちらつかせて 強要したのであろう。ただアウイン商会の娘も ヴィランの働きによって 未遂に終わっている。加えて対象の殿下が ご存知無い事。未遂な上 何も起こっていない。誰も被害者が居ない。つまり 王太子を学園で害そうとする事件は無かった。との結論になる。そして アウイン商会も法に則って 毒物を販売しただけなのだから 罪に問う事は出来無い。結果 娘には キツくお灸を据えて他言無用との事で 家に帰している。当然アウイン商会本体と 娘にはオブシディアンを投入している。周囲にも怪しまれ無い様 娘には学園にも引き続き通ってもらう」


「わかりました。ところで 私は矢で撃たれて 意識を失った。という事になっております。明日から 学園はいかが致しましょうか?」


「明日は 臨時休学とする。明後日から また頼む」

「ヴィラン。殿下が抱き上げた際 矢が落ちた事は 皆が知っている。なので運良く 扇子に当たって傷1つ無かった事 射られた事によるショックで倒れた事にしています。明後日から 通常通り通学して下さい」


「わかりました」


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