令嬢のドレスに飲み物をかける 頑張ります!
いざ 交流会!
1年生から2年生 多数でごった返している。皆煌びやかで眩しい。当然 私『ヴィラン カシェット』が1番煌びやかで眩しくて美しい!!『はず』当然『ローズストーン』である。
ホールに入室して ざっと見渡す。
『あー! いたいた。黒髪』 殿下を見付ける。
私は尊大な態度で 取り巻きを多数連れて 殿下の近くに移動する。
「あなた方 私に道を開けなさい。そんな所に居られては 邪魔よ」
「もう 愚図ね。さっさと移動なさい」
そう言うだけで 道が開ける。
『いやー 悪役令嬢って もう大変』
一歩で間合いを詰めれる距離まで 殿下に近付く。
殿下は 多数のご令嬢に取り囲まれている。
『いやー しかしモテモテですなー。本気かどうかは別として 羨ま。羨ま。ですぜ』
何故か?私も それなりに取り囲まれる。
「あなたが ローズストーンのヴィラン様でしたか?」「この様な お綺麗な方とは」とか聞こえてくる。
「この私に 気安く話掛けて来ないで頂けます!!当然!」
私は 悪役令嬢らしく 軽く扇子であしらう。
「ちっ。お高くとまりやがって」「噂通りだなぁ」とか聞こえる。
無視しておく。
「それでは 学園恒例行事 交流会を開催致します。先ず 開会のご挨拶を ゴブキ王太子殿下より頂きます。殿下 よろしくお願い致します」
殿下は 取り囲んでいる令嬢達に丁寧に断りを入れながら 歩いて壇上に向かう。
「2年生の先輩もいらっしゃる中 王族という理由で 私がご挨拶をさせて頂きます事 申し訳無く思います。私は・・・」殿下が挨拶している間 私は周囲を観察する。
『あそこに 食べ物。飲み物。殺意は感じない! オドオドした怪しい奴も居ない』
殿下が 割と長い挨拶を終えて 戻って来る。直ぐに周囲を令嬢達が取り囲む。
「それでは ご自由に ご飲食頂き ご歓談下さい」
大きな卓上に 沢山の食べ物 飲み物が並ぶ。
また 給仕達が 皿に食べ物を乗せて コップに飲料を入れて カートで運んで来る。
皆 それぞれに カートや卓上から 食べ物 飲み物を取る。
『今のところ 怪しい動き無いなぁ』
「さあさあ ヴィラン様もどうぞ」
私も 食べたり 飲んだり 怪しまれ無い様それなりにするつもりだが 多く食べたり 飲んだりすると動きに支障が出る。
「ありがとう。でもあなた達で頂きなさい。私は ここにある様な普通の物は 高貴な身体が受け付け無くて。おほほほほ」
『嫌味さくれーつ。悪役令嬢』
周囲の取り巻き達も やや怪訝な表情。『いたたまれなーい。確かに美味しそうよ。でも動けなくなるんだよ!!食べたいんだよ。皆んなと もっと打ち解けたいんだよ』
「また ヴィラン様が あんな事を」「ヴィラン様 何様よ」なんて声が聞こえてくる。
『かなしーい。涙が出ます。耐えろ シレン』
ふと 怪しい動きをする給仕が 目に止まる。右手に 手持ちの円型トレイを持ち トレイ上に2個のガラスコップ。皆に給仕をするつもりは無く。直接的に殿下に向かっている。
「あらー。皆様 私 殿下にご挨拶をして来ますわ」
私はそう言って 周囲を観察しつつ 殿下に向かってゆっくり歩く。
先程の給仕が 殿下に2個のガラスコップを渡す姿を見届ける。
『やはり。間違い無かったな。コイツの顔は覚えた。コイツをマークしたいとこだけど。。まずは殿下の護衛っと』
「ゴブキ王太子殿下 ご挨拶が遅れまして。ですがモテモテのご様子でしたので。でもまぁ この程度の令嬢達では 数に入らないでしょうけど」
殿下「ヴィラン。言いたい事はわかるが。。今日ぐらいは 身分の格差無く楽しむ行事。その物言いはいかが かと思う」
『あなたは 今日ぐらいは! でしょうけど 私は 今日の方が大変なのよー』
「ヴィラン様 王太子殿下に対して」「また 殿下に諌められてるわ」とか聞こえる。
「殿下 2個もお飲み物をお持ちのご様子。私 喉が渇きましてよ」
「殿下に対して 失礼過ぎる」「偉そうに 殿下に飲み物を強請るなんて」とか聞こえる。
「そうか。ならば 1つ渡そう」
殿下は そう言って 私に左手に持っていたガラスコップを 手渡してくれた。明らかに 毒物の匂いがする。『間違い無い』
私は 手渡されたガラスコップの中身を 殿下の側に居た令嬢のドレスにかける。『ごめんねー。あなたに罪は無いのよ。だけど 悪役令嬢は『パーティーで 令嬢のドレスに飲み物をかける』だもん』
「あらー 手が滑ってしまったわ」
かけられた令嬢は怒る「ヴィラン様 いくら何でも これは」
私はすかさず よろめいた風を装い殿下にもたれ掛かる。なんてったって運動音痴。右手のガラスコップを叩き落とす。ガラスコップは見事に床に落ち 砕ける。
「殿下 すいません。ちょっと目眩が。あらごめんなさい。あなたにも飲み物をかける気なんて これっぽっちも無かったのよ」
令嬢のドレスからと 床から 毒物の匂いが漂う。『あー。殿下が飲まなくて良かった』
「ヴィラン様 酷すぎる」「ドレスが汚れて可哀想」「誰か給仕を呼んでくれ」とか聞こえる。
私は もたれかかっていた殿下から 身体を起こして「ちょっと気分が優れませんわ。あちらで休憩致しますわ」そう言って 少し離れた場所にある椅子に向かおうとした。
直後 殿下が 私の右手を握る「ヴィラン。お前 まさか?」
『きゃー!! 顔が近い!! 手握られてるー!!』『ドキっ ドキっドキっ』『は、拍動がー』
「で、殿下 な、何かしら?」『冷静よ 令嬢』
「いや まさかな。。偶然か? 君の奇行も 時には役立つ様だな」殿下が 私の手を離す。
「すまない。フローライト。こちらのご令嬢に 着替えのドレスを。それと そのドレスは会場外に居る私の護衛に渡してくれる様に指示してくれ」
殿下は 周囲に居た令嬢の中で 私の次に身分が高い 4大柱爵家の『フローライト ダイヤモンド』に頼み事をする。おそらく 身分が高い方が 物事の処理が進めやすい。との判断からだろう。
「かしこまりました。殿下」
そう言うと フローライトは ドレスの汚れたご令嬢を連れてホールの扉を出て行く。
私は 手に殿下の温もりを感じつつ 冷静を装い椅子に座る。だが 何か違和感を感じる。妙に胸騒ぎがする。『何だろう。おかしい』『もしかしたら 先程の給仕』
私は椅子から立ち上がって 再度 一歩で間合いを詰めれる距離まで 殿下に近付く為に歩いて行く。その時 ホールの扉から殺気を感じる。『やはり!』
先程の給仕が 弓を引いているのが 視界に入った。
『あー。殿下を狙ってるなぁ。矢を素手で払う事も可能だし 一歩で間合いを詰めて殿下を 矢から守る事も可能なんだけど。。そんな事したら 身バレするよなぁ。どうしょっかな? 大抵の毒でも死なない身体だし。当たる? 当たったら 痛いだろうなぁー。それに もしかしたら 万が一に 毒で死ぬかも。。やっぱり当たったフリをして 直前で受け取めて 倒れ込もっか』
「ところで こちらのご令嬢は どなたなのですか? 殿下・・」
私は殿下に話掛ける風を装い 殿下と矢の射線上に入り 右の上腕の辺り 直前で左手で受け止める。
『やるなー。この射線 心臓の位置。素人では無いな』
私は 右上腕に矢が当たる直前に左手で矢を押さえ 当たったフリをして 倒れ込む。「きゃー」「誰かー」とか聞こえる。会場が騒然となる。
『ここは 意識を無くしたフリを。っと』
殿下が私に駆け寄って 私の顔を覗き込み「ヴィラン。ヴィラン」と叫びながら 力強く抱き締める。
『きゃー。顔ちかーい。温もりがー』私は 過緊張から 意識を失った。




