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【短編】無為に過ごす日々に

作者: Sugar

それは、透き通った柔肌のように眩しい季節のこと。私は齢14歳にして、身体は鉛のように重くなり、赤子のように泣きじゃくる毎日を送っていた。世に言うところのうつ病というやつだ。


その辛さは明文化などできず、他者にも理解されない。甘えだ、最近の若いやつは、と心ない言葉をかけられ、さらに落ち込む日々を送る。なぜ他者を攻撃するのか?なぜ寄り添えないのか?それは単純。


自分はその辛さを乗り越えたという自負があるからだ。しかし、その辛さは私と同等なのだろうか?本当にあなたの辛さの方が上だと、そう言い切れるのだろうか?言い切れると断言するあの人はきっとエスパーなのだろう。


辛さは人によって違う。そんな当たり前のことも忘れて、自分の価値観を押し付ける。それは、社会で仕方ないと諦められていることのひとつだ。SDGsなどと耳障りの良い言葉に耳を傾け始めた昨今より昔からある問題だ。


しかし、その古い問題には触れられない。なぜか?それは達成されたと、私たちはこんなに頑張って結果を勝ち得たという証明ができないからだ。


ヒトは誰かに誇りたいという感情を誰しも持っている。だから、価値観など目に見えない、誇りにくいものには蓋をするのだ。


私の毎日に、私たちの毎日に救いはない。だが、生きなければならないと、逝ってはならないと、今日も無意味にこの世界へつなぎとめられる。


生きたくないが逝くこともできない私は、今日もその言葉を飲み込んで無為に過ごす。誰にも理解されず、救ってももらえない心を抱いて。


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