4.スキル【融合】発動
やっとタイトル通りの展開になりました。
自分もこれから同じ末路を辿るのだと悟った瞬間、変異種の本能が目覚め魔物が生まれつき持っているスキルが発動した。
すると、自分の魔石(魂)から青色の光が溢れ出しその光がやがてゆっくり回転する丸鋸のような空間を作り出した。
その空間からオレンジ色をした2本の帯が伸びて来た。
変異種は囁きかけてきた何かに導かれるようにして1本の帯を最初に魔石を喰われたキーメックスの死骸に、もう1本の帯をうさぎの死骸に伸ばした。
空間から伸びたオレンジ色の帯はそれぞれの死骸を包み込みやがてその死骸は帯と同じ色へと変化してオレンジ色のうさぎと生前の綺麗な状態のキーメックスがそこに佇んでいた。
それぞれ身体は生前の毛で覆われた姿でもなく、甲殻に覆われた姿でも無かった。
その姿は微かに揺らめいておりを魂そのものを現していた。
その魂たちは変異種を中心とした青色の空間に引き寄せられその身体がかき混ぜたコーヒーにミルクを入れた時の如く空間の中心に向かいながらゆっくりと魂同士が混ざり合っていった。
魔石を喰らい終えたキーメックスは突然起きた怪現象に警戒してかその場を動くことが出来なかった。
青色の空間内で魂同士が混ざり終わった瞬間、変異種の身体にも変化が起きた。
変異種の身体が実体から魂に変換されていき、再び実体へと変換された姿は黒い球体状の魔石を盾状の両前脚で抱え込んいた。
なんと切り飛ばされたはずの左前脚と1本の脚が復元されていた。
変異種は周囲を観察しようと身体を動かそうとしたが身体が動かないことに気が付いた。
変異種は自らが魔石になったと感覚的に理解していたので動揺は無かった。
空間内の魂の光が魔石と化した自分の周りを取り囲み、青色の輝きが増していき一際強く光が辺りを照らし出した。
洞窟内の天井付近に空いている小さな黒い空間以外は。
『ほぅ、これはまた…』
そんな関心した声が黒い空間から聞こえた。
光が収まった時警戒していたキーメックスの目の前には瀕死寸前の変異種の姿は無く、代わりに目の前に現れたのはこの世界には存在しない未知の魔獣が存在していた。
合成魔獣 『ファルクスラプス』
うさぎの体に鎌状の部位を纏った魔物
身体能力はうさぎだが、跳躍力・脚力に凶刃の攻撃力がプラスされた魔物
ファルクスラプスは閉ざしていた瞼をゆっくりと開き意識が完全に覚醒した。
閑話で少しギャグ要素足します。