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ブラスターハンターズ ヤチママタタSAGA  作者: えのしぃ
第2章 仲間
9/30

路地での出来事、京平と少年

丈夫以外の視点で書くの初めて。

 ヤチママタタ地区 イババラ住宅街

 パトロールの一番の目的は犯罪の抑制であると、網楽あみらさんは話していた。こうして警備をする事によって、そもそも事が起きないようにする。確かにそれが一番だ。


「恐ろしいねぇ本当に。」

「夜も眠れやしないよ。」

 犬をの散歩をしているお爺さんとその知り合いらしきお婆さんがチラシを見ながら話している。

「どうしたんですか?」

 気になった俺は、二人に話しかけた。

「今朝、ポストにこんなチラシが入っていてね。」

 おじいさんが手に持っていたチラシを俺に見せてくれた。

 チラシには、ブラストは神により罰として与えられた苦しみです。ブラストを持つ者を撲滅する事が、神への罪滅ぼしとなるのです。と言った見出しが大きく書かれている。


「先週のキーリンタウンでのテロは、このブラスト撲滅教の仕業なんじゃないかなと思ってね。」

 お爺さんが頭を掻きながら話す。

「あの事件で重症を負った人はブラストを持った人間だけらしいねぇ。現場に警察とブラスターハンターが駆けつけた時も、ブラスターハンターとブラストを持っている警察だけが身体から突然血を吹き出してやられちまったそうだよ。」

 

 お爺さんの話を聞いて、俺は十年前のあの日を思い出した。突然血を吹き出してやられた......母さんと同じだ。

「お爺さん、その話もっと詳しく教えて貰っても良いですか?」

 衝動的にお爺さんに聞いてしまったが......

「いや、そんな事を言われても私もニュースで見ただけだから詳しくは知らんよ。」

 つい勢いで聞いてしまったが、やはりそうであろう。俺は今日の任務が終わったら、支部の皆に聞くことにした。





 同刻 ヤチママタタ地区 ガーラタウン

 八百屋や雑貨屋などが並ぶ商店街を、仰扇ぎょうせんとスティルステラ医療班長兼、研究委員長のピキタン=アロセウスは歩いていた。


「僕に監視がつくって言うのは聞いてましたけど、貴方がついてくるんですね。」

「なんだい?嫌かネ?」

「いや、そう言うわけでは無いです。」

 二人の間に微妙な空気が流れる。

「ただ、キミの事が少し気になってネ。妹さんの事や、キミ自身のブラストの事とかネ。」

「そうですか......」

 ピキタンから距離を置くように歩きながら話す仰扇。離れた距離をつめようと近寄るピキタン。


「ねぇ、今夜仕事が終わったら飲まないかネ?」

「なんですか急に......」

 突然の飲みの誘いに困惑する仰扇。

「キャトラちゃんから聞いたのネ。キミはお酒を飲むと性格が豹変するらしいネ。ハイテンションで丈夫ますらおくんとキャトラちゃんをボコボコにしていたらしいネェ!?」

「やめて下さい、なんなんですか。」

 飛び跳ねながら話すピキタンに対して引き気味の姿勢になる仰扇。

「お酒飲んだらもっと色々教えてくれると思っただけネ。この状態だと何も話してくれそうにないネ......」

 少しがっかりするピキタン。





 夕方 ヤチマタタ地区 ライドットシティ

「なーんか喉乾いたわ。」

 京平きょうへいは自動販売機で、スポーツドリンクを購入し、すぐに蓋を開けて中身がペットボトルの半分になるくらいまで一気に飲む。


「やめて!返してよ!」

 自動販売機の横にある路地の方から男の子の声が聞こえてくる。

「ん?なんだぁ?」

 声の方へと向かって歩いてく京平。

「やーだよ!これは俺のもんだ!返して欲しけりゃ土下座しろー!」

「違うよ!僕のだもん!」

 

 必死に叫ぶ小さい男の子と、それを囲って笑う3人の子供。丸坊主の少年、ピンクの服とスカートを履いた少女、眼鏡をしていて少し太っている少年。

 3人が小さい子の財布を奪いとって、返さずにおちょくっている。


「お前ら、何やってんの?」

 京平が4人に話しかける。

「何もしてないよ、ただ遊んでるだけ。」

 丸坊主の少年が答える。

「本当か?なぁ本当はどうなんだ?」

 京平は少年たちの身長に合わせるようにしゃがみ、今度は財布を取られた男の子に向かって問う。

 京平は少年たちに話しかける前に様子を見ていたので、彼らが財布を奪い取ったと言うことを知っているが、敢えて聞いた。

「ヒロ君たちにおさいふ取られたの。」

 丸坊主の少年の方を指さして答える。

「ボウズ、お前はこの子から財布を取ったのか......人のものを取ったらいけないってのは知ってるよな。」

 少年ら3人に京平がそう話すと3人が揃って頷く。

「じゃあさ、何で人のものを取ったらいけないか知ってるかな?」

「怒られるから?」

 京平の問いに少し間を空けてから答える丸坊主の少年。

「違う、取られた相手が悲しい気持ちになるからだ。他の悪い事って言われる事も大体そうだ。悪い事をされた相手が嫌な気持ちになる。」

 京平の言葉に少年たちが頷く。

「お前らだって、悲しい気持ちになるのは嫌だろう?だからさ、この子に財布返してあげてな。」

 それを聞いた少年が財布を男の子に返す。

「キョウスケくん、悲しかった?」

「うん、ちょっと悲しかった。」

「ごめんね。」

 そう言って、少年達は帰っていく。


「お兄さんありがとう。」

 一人残った、キョウスケと呼ばれていた小さな男の子が京平にお礼を言う。

「お、どういたしまして。」

 京平はニコッと笑った。

「ヒロくん達があーやって帰って行ったの初めて。いつも大人達が怒鳴るとどっか逃げてっちゃうのに。お兄さんすごいね。」

 キョウスケは微笑みながら京平を褒める。

「いやー照れるなぁー!......あいつらはさ、きっとキョウスケ君がこういう事されてどんな気持ちになっちまうか分からなかったんだろうな。」

 京平はボトルに残ったスポーツドリンクを全て飲みほして、話しを続ける。

「悪い事をする奴の半分は、それが何で悪い事かちゃんと分かってない奴で、もう半分は分かっていてもそれをしなきゃどうしようもない状態の奴なんじゃないかなって思うんだ。」


「だからさ、しっかり教えてやれば半分はなんとかなるんじゃ無いかな。怒鳴ったり怖がらせたりするんじゃなくて、しっかり教えてやるんだ。」

 キョウスケと目を合わせながら話す京平。

「残りの半分は?」

「逆に教えて貰うのさ、悪いって分かっていながら、どうしてそこまでしなきゃいけなかったのかをな。」

「うーん、良く分からないや。」

 首を傾げるキョウスケ。

「オレもキッパリとは言えないけど、そのどうしようも無い状態の奴を助けてやる為かな?」

「悪い事しようとしてる人を助けるの?」

「ああ、そう言う奴って本当は、助けを求めてるんじゃねぇかなって思うんだ。」

 京平が立ち上がり、キョウスケと共に路地を歩き大通りに出る。

「そうだキョウスケ君、最後にいい事教えてやるよ。名前にキョウが入ってる奴は、将来絶対強くなる。本当だぜ。それじゃ、またな!」

 そう言い残し、京平はこの場を去って行った。






 同じく夕方 ヤチママタタ地区 トルナタウン

 この街はゲームセンターや家電販売店が多く、ヤチマの電気街と呼ばれている。

「この街、いつみても賑やかだねー。」

 鈴音すずねは穏やかな表情でパトロールとの仕事をしつつ、街の風景を眺めて楽しんでいた。

 

 歩いていると、少し先にあるパソコン専門店で何か騒ぎが起こっているのを発見する。

 駆け付けると店員とボサボサの髪の毛をした客らしき男が喧嘩をしていた。

「おい、この野郎!不良品売りやがって!ふざけんじゃねえ、返品させろ!返品!」

「申し訳ありません、当店では商品の返品は受け付けておりません。」

 ノートパソコンを持った男が、店員に対して怒鳴りつけ、その店員がペコペコと頭を下げている。

「ごめんですんだら暴力はいらねえんだよ!」

 そう言って手に持っていたノートパソコンを3倍ほどの大きさに巨大化させ、それで店員を殴ろうとする。


「ちょっと待ちなさいな!」

 鈴音は大声で男を止め、通信機をつなぐ。

「トルナタウン2番街のパソコン専門店にてブラスター発見!対処します!」

夜桜鈴音、行きます!!

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