キャトラの思い、新しい道
建物内を探索!
「それじゃあ早速、明日から任務についてもらう!それまではまぁゆっくりしていてくれ!建物内の把握をしたり、支部のメンバーに挨拶をしたり、色々してくるが良い!解散!」
え、解散!?
スーツ野郎......仰扇が網楽に問う。
「なぁ、なんか免許の登録とか、戦闘訓練とか、そう言うのはしなくていいのかい?」
「それらに関する話は、明日任務の説明と一緒にするから、やっぱり解散してヨシ!」
網楽さんが部屋を去る。
「行っちまったな......」
「網楽さん、放任主義というかなんと言うか、こう言う所は適当なんですよね。」
「雑なのネ。」
二人の様子を見ていた高身長ポニテの姉さんとチビハゲおじさんがコチラへと歩いて来る。
「丈夫さん、仰扇さん、この後どうされますか?網楽さんの言ったとおりに建物内を周るなら、案内しますよ。」
この部屋に着くまでも、かなり道が複雑だったから、案内してくれる人がいるのは正直助かる。
「ああ、よろしく頼む。」
「よろしくお願いします。」
「それでは、この階の部屋から案内しますね。そうだ、自己紹介がまだでした。私の名前は仙道薺。よろしくお願いします。」
「ボクの名前はピキタン=アロセウス、ネ。」
「薺さん、ピキタンさん、改めてよろしく!!」
「うん、よろしくネ!おっとぉ、ボクはちょっとこれから用事があるから、行くネ。」
ピキタンさんが部屋を去る。
こうして俺と仰扇は、薺さんに建物内を案内して貰うこと担った。
5階
「ここ、スティルステラ・ヤチマ支部は8階建てで、今いるのは5階。先ほど貴方たちが網楽さんと話していた署長室に加えて、ブリーフィングルーム、管制室はこの階にあります。」
「なあ、薺さん。」
説明をする薺さんに仰扇が声をかける。
「さっきいたところが署長室って事は......」
「網楽さんは署長です。」
見た目は幼いが、やっぱりそうなんだよな。
薺さんが話を続ける。
「網楽さんの見た目に関しては、後に本人が教えてくれるでしょう。次の階に行きましょう。」
6階
「この階の半分は資料室、半分は研究室になります。私やピキタンはここの研究員兼医療班をしています。ちなみにピキタンさんはヤチマ支部の研究員長、私は副研究員長です。」
薺さんが、ややドヤ顔に!?
少し面白かった。
「副研究員長!?だったんですか!?」
「そんなに畏まらなくても良いですよ。先程と同じ様に、話して頂ければ。それに、ヤチマ支部の研究員は25人で、そこまで大きいチームと言うわけでも無いですし、大した事ではないですよ。」
とは言いつつも、ドヤ顔を隠しきれていない!
資料室を訪れる。
「ここが、資料室です。主にブラストや過去に逮捕されたブラスターの情報資料が置かれています。」
研究員らしき人が数人、資料を読んでいる。
その中に一人、見覚えのある姿が。
「キャトラ!」
「にゃにゃ!?おっちゃん!」
「キャトラ!?無事だったのか!」
「無事だったのか!じゃないにゃ!それはこっちのセリフにゃ!」
キャトラ......無事でよかった......
俺はあの夜、俺が倒れた後に何があったのか聞いた。
「おっちゃんが倒れた後、シルクハットの、えーっと佐川さんが来たんだにゃ。佐川さんにおっちゃんを助けてほしいって頼んだらここに連れて来てもらったんだにゃ!その時スーツのあの人も一緒に運んで......ってあー!」
キャトラが遠くで俺たちの事を気まずそうに見る仰扇に気づく。
「えーっと実はだなー。」
キャトラに俺が目覚めてからの事と仰扇について話す。
「と言う事があったんだ。」
「ふーん、どうしても必要なお金の為に仕方なく......にゃかぁー。だからってレディの顔をボロボロに傷つけるのは最低にゃ!あとおっちゃんをボコボコにしたのも許せねえにゃああああああああああ!」
キャトラが仰扇を睨みつける。
「本当に、すまなかった!」
仰扇が涙ぐみながら、土下座をする。
「あーもう分かったにゃ、分かったにゃあ。」
気持ちを感じ取り、怒るのをやめ、話を切り替えるキャトラ。
「それにしても、おっちゃんがブラスターハンターねえ......」
「なんだよ、そんなに意外だったか?」
「そりゃあ意外!意外過ぎるにゃ!昨日までフリーターでテキトーに遊んでたおっちゃんが、ブラスターハンターになるにゃんて!」
「まあ、それもそうか。正直、俺自身も俺自身の行動にビックリしてるけどな。」
「本当ビックリにゃ!」
お互いの無事を喜び合いながら話すキャトラと俺。
「実は、にゃーからもサプライズがあるにゃ!にゃーは今日からここの支部の研究員のメンバーになる事になったにゃ!」
衝撃の発表である。
「本当か!?すごいじゃないか!」
「おっちゃんみたいにスカウトされたわけじゃないけどにゃ。ここの医療班におっちゃんとにゃーの傷を癒して貰って、私も傷ついた誰かを助けたいと思って。網楽さんにお願いしたんだにゃ!そしたら、私自身が私のテレパシーのブラストの研究の被験者になる事を条件にメンバー入りの許可をもらったんだにゃ!」
キャトラのブラストは希少だ。
人の心を読む、相手の脳内に直接語り掛けるキャトラのブラストは、俺が今まで見てきたブラストの中でも特殊なものだと思っていたが、実際かなり希少、と言うか前例がないレベルらしい。
「と言うわけでおっちゃん!一緒にここで頑張ろうねー!」
「ああ。」
お互い微笑むキャトラと俺。
次回、バトル回!