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ブラスターハンターズ ヤチママタタSAGA  作者: えのしぃ
第1章 日出
3/30

蘇る記憶、導き出した答え

過去回想シーンから!!

 加星歴3078年 珊瑚の月。

 大丈夫(だいもんじますらお)10才、幼き日の記憶。


「えっいがー、えっいがー!父さん!もう少しで到着だね!」

「後、15分くらいでつくぞ!ー?楽しみだな、丈夫!」

 今日は父さんが休みの日!父さん、母さん、俺で、車に乗って映画館に向かっている所だ!

「フフフ、楽しそうね、丈夫。」

 母さんが騒ぐ俺を見て、笑ってる。

「だって、エルフィンの映画だよ!エルフィンが、宇宙からの侵略者と戦うんだよ!新しい技も見れるんだよ!」

アニメ「ブラスト戦士エルフィン」

 正義のヒーローエルフィンが、突然加星に現れた怪物達を、平和の為にブラストを使って倒す物語だ!


「ついたぞー。」

 父が映画館のあるショッピングモール「ガオン」の駐車場に車を停めながら、俺と母さんに伝える。

「よーっし、行くぞー!」

 車から飛びだし、建物の方へと走って行く。


 ボゴーン!

 俺が建物の方に向おううとしたその時、建物の2階が爆発する!

「え!?」

 父さんが、爆発のあった方へ走り出す。

(かなで)、丈夫を安全な所へ連れて行ってくれ。」

母さんにそう伝えて建物の中へと入って行った。

「待って!」

 父さんについて行こうとする俺を、母さんが止める。

「大丈夫だよ。お父さんは強いから、向こうで待ってようね!」

 父さんは、ブラスターハンターだ。

 今年で12年目のベテランで、電撃を放つブラストを使って、数多くのブラスター達を逮捕してきた。

 今回もすぐに犯罪者を捕まえ、俺と母さんの元に笑顔で帰って来るだろう。


 母さんと一緒に、ガオンから3キロメートルほど離れたコンビニで父さんを待つ。

「アイスでも買って、待ってようか!」

「うん!」


 一時間が経った、父さんから連絡が来ない。

「父さん、無事かな?」

「うん、強いから、父さんは......」

 母さんの表情が、曇り出す。

「きっと、色々あって本部に戻ってるんだわ。お父さんは組織の中でも偉い人だから、犯人を捕まえた後も、何か仕事を任されてるだけね。一応今、連絡をしてみるわね。」

 母さんが電話をかける。

(まもる)、聞こえる?」

「護さんは、死んだよ!」

 母さんの携帯電話からわずかに、何者かの声が聞こえた。

 母さんの顔がぐちゃぐちゃに歪む。

「え、どう言う......こと?」

「あーもう面倒くさいな、言葉通りだよ。そして今から、あなたもそうなる。」

「え?」


 ブシャアアアアアアアアアアアアアア!!

 母さんの背中から突然大量の血が吹き出る。

そして、地面に倒れ込む。

「え?母さん!かあさん!!」

 倒れた母さんに、俺は叫ぶ。


 どうしたんだ?なんでいきなり......血!?

 分からない分からない分からない

 どうしてどうしてどうしてどうして???


 プー プー プー

 母の携帯の通話が切れた。


 掠れた声で母さんが俺に告げる。

丈夫(ますらお)、貴方は誰よりも優しく、誰よりも強くなりなさい......それが母さんと、父さんの願い......だから......」

 母さんの呼吸が  止まった。

 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!

「母さん!母さあああああああああああん!!」


 大丈夫(だいもんじますらお)10才、幼き日の記憶。


 この後俺は、母方の祖母の家に引き取られた。

 一ヶ月程は、事件のトラウマで学校にも行くことが出来ず、引きこもっていたが、毎日祖母が励ましてくれたり、友達がお見舞いに来てくれたりして、なんとか立ち上がる事が出来た。


 この後はごく一般的な日常。

 中学に入学し卒業。

 アルバイトをしながら高校に通い、それで稼いだお金と、父さんと母さんの残してくれたお金を使って、ヤチママタタで一人暮らしをし、自分がやりたい事を探しながらフリーターをしていた。

 育ててくれた祖母の家にお金や仕送りをしながら過ごしていた。


 復讐しようとは、考えなかった。


 逃げようとも、思わなかった。


 そんな事、きっと父さんと母さんは望んでいないから。


 大切な者を守れる強さが欲しいと、願った。


 誰かを笑顔に出来る、そんな人間になりたいと思った。


 それが俺に託された願いだと聞いたから。


 これはチャンスなのかもしれない。

 ブラスターハンターになればきっと目指している自分に近づけるし、少しでも皆が笑っていられる社会を作る事が出来るだろう。


 だけど、あの日を思い出すと、復讐心と恐怖が俺の心を揺るがしてくる。


 守りたい。

 死にたく無い。

 強くなりたい。

 傷つくのが怖い。

 戦いたい。

 逃げたい。


 父さん、母さん。


 俺、どうすればいい?


 ......分かったよ。


「俺も!」


 声を上げる。


「俺も!ブラスターハンターになるよ!」


 網楽あみらさんは、その言葉を待っていたよと言うような表情でこちらに向かって歩いてくる。


「あぁ、よろしくな大丈夫だいもんじますらお!!」

忘れられない過去を背負って......

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