2話
僕の前には豪華な料理が並べられてある。
名前は分からないがどれもおいしそうな匂いをだし食欲がそそられる。
「どう?ユウおいしそうでしょ?」
僕が料理を眺めていると上機嫌なミナが話しかけてきた。
「どうしてこんなに豪華なんだ?」
「ふふふ、だって今日は私たちの記念日じゃない」
これもまた上機嫌にミナが答える。
が、僕は何の記念日か全く分からないし、思い当たる節もなかった。
だから僕は素直にミナに聞いた。
「なんの記念日だ?」
「もーう、わかってるくせにぃユウったらー。今日は同棲し始めて1年たった記念日でしょー。私とユウの愛しあってもう1年が経ったと思うとあっという間だったなー、幸せだなー」
体をクネクネさせながら満面の笑みで言った。正直気持ち悪い。
しかし同棲し始めて1年経ったのか、と思うと思わず苦い顔になる。
「?どうしたユウ?嬉しいでしょ、楽しいでしょ、幸せでしょ。今日を楽しまないと」
僕に抱きつき頬と何度かキスをしたあと、唇にも濃いキスをしてきた。
「ふふふ、あははははは、嬉しくて私おかしくなっちゃいそう」
もう十分おかしいだろうと内心思いつつ僕はミナを体から引き離し、食卓についた。
しゃべっているうちに料理はすっかり冷めてしまった。
僕が食卓についたあとミナも食卓についた。
「嬉しすぎて、食事の事をすっかり忘れてたわ、ふふふ。すっかりさめてしまったけど食事にしましょ」
これもまたミナは嬉しいそうに、幸せそうに、食事をとり始めた。
■ ■ ■
食事を終えミナが台所で食器を洗っている。
後姿からも機嫌が言いのが伝わってくる。
「ん…?」
僕が席から立ち上がろうとすると足に何か当たった。
足元を見ると先ほど食事に使っていたナイフが落ちていた。
「…」
僕はそのままナイフを拾いミナのほうへ近づいた。
まだミナは僕が近づいていることにミナは気づいていない。
呼吸を軽く整え僕はナイフをミナに向かって突き刺した。
「そうゆう、ところも大好きよユウ」
しかし、ミナはいとも簡単にナイフを受け止めていた。
ナイフを受け止めたミナの顔はやはり嬉しそうだった。
僕はそのままナイフをミナに押し付け自分の部屋に戻った。
今日もこのままミナと過ごすのだろう。
特に意味はないです、ただそれだけの話です。