7.静けさ
――相談する日は、明日の土曜日。
二人っきりになれると思うと楽しみだ。
有泉のことを思っていたら、無性に有泉のことが気になった。
有泉の席の方に耳を傾けてみると、有泉と平井の声が聞こえる。
「ねぇ。タツ。また勉強教えてよ〜」
「あぁ。わかってる。…お前、本当に馬鹿だよな」
「なにそれ、タツの教え方が悪いだけじゃないの?」
「ほほう。そんなこと言うなら、もう教えてやらない」
「ごめんごめん。教えてってば!!」
二人の笑い声が聞こえてくる。
いいな……平井。
楽しそうだな。
……でも、明日は二人で会うことができるし。
まぁ、いっか!!
明日のことをいろいろ考えていると、不意に真吾が話しかけてきた。
「……お前。なんかこのところ楽しそうだな」
「……!?」
そういえば今、真吾と弁当食っていたんだっけ。有泉のことばかり考えていたから真吾のこと、すっかり忘れていた。
「今の反応、何?有泉とお前、この頃仲いいし、なんかあった?」
ありました!!と言いたいところだが、素直に言えないのが残念。
本当は言いたいけど、駄目って言われてるし。
曖昧に誤魔化すことしかできない。
「特にないけど」
ふ〜んと信用してないように頷く真吾。
「言いたくないならいいけど。……まぁよかったじゃん。有泉と仲良くなれて」
俺は頷いた。
本当によかった。
有泉と仲良くなれて。
話すことができるようになった。有泉からも話しかけてくれる。
他の人からは、平凡な幸せに見えるかもしれない。
でも俺にとっては、とても幸せなことだった。
次回、急展開!?