想い3
今回は誰の想いなのでしょうか?
「会いたい……」
口に出すと余計に会いたくなると分かっているけど、言わずにはいられなかった。
僕がフランスに来て数ヶ月。健斗は元気にやっているのかな?
──勉強中。僕は机に向かっていた。
こっちには慣れてきたし、ここの生活も楽しい。それでもやっぱり足りない。
健斗がここにいないということが、何よりも寂しかった。
「健斗」
名前を言えば、少し恥ずかしそうに振り向いてくれた。
その彼がここにはいない。毎日メールをするけど、やっぱり足りない。健斗が足りない。
健斗の笑顔が見たい。健斗の照れた顔が見たい。
そして、僕に「好き」と言ってほしい。
健斗は今、僕のことどう思っているのかな?
あの時、僕が好きって行ったとき、健斗も僕への気持ちを言ってくれようとした。俺も…って顔で訴えてきた。
でも僕は健斗にその言葉を言わせなかった。
だって、人の気持ちは変わりやすい。
もしかして、僕が引っ越した後、健斗が好きな人ができたら?
「やっぱ無理」なんて言われたら、僕が壊れてしまいそうで……
怖かったんだ。
何年も離れてしまえば、健斗の気持ちはもしかして、違う人にいってしまうかもしれない。拒絶されるかもしれない。
それは違うと気付いたのは、フランスに来てからのことだ。
毎日交換しているメール。
健斗が僕のことを心配にしてることがよく分かった。
気持ちが伝えようとしているのか、わざわざ回りくどい言葉を使って…。
なんで僕は、全部信じてあげられなかったのだろう?と思うのだ。
あの時は僕は信じている。と言ったのに、どこかそれを信じていない僕がいた。
信じていれば、あの時に気持ちを言ってもらえばよかったのに、それをしなかった僕はやっぱり、健斗をどこか信じ切れていなかった。
「健斗、大好きだよ」
僕は健斗が好き。じゃあ健斗は?
きっと「好き」って言ってくれる。
僕はそれを待つことしかできないけど、きっと大丈夫っ。
健斗を信じているから……。
健斗のメールを待ちながら、力強く携帯電話を握りしめた。
今回は俊也でした!!
俊也の気持ちを書くの、すごく楽しかったです。
えっと次回で番外編、最後となります。
最終話の後のお話を書く予定です。
更新はできるだけ早めにしたいと思います。