番外編.想い1
番外編、第一弾。
俊也がフランスに行っている間の気持ち。
今回は一体、誰の気持ちなのでしょうか?
俊也がフランスに行ってから数ヶ月が経つ。
なにもかも空っぽだ。
俺の気持ちも、俊也への気持ちも。
俊也は俺の気持ちを言わないで、って言っていた。帰ってきたときに行って欲しいと……。
俊也の気持ちが分からなくもない。
でも俺は言いたかった。あの時「好き」と伝えたかった。
俊也を好きになって1年間、言うことができなかったのは俺がいけない。
分かってるんだけど、何か心の中がすっぽりと抜けた感覚が残る。
「おい!!しっかりしろよっっ!!健斗。今の有泉がお前を見たらどうする!?カッコわりーぞっ」
分かってる。そんなの分かってる。
でもやっぱり、いつもメールはしているけど、寂しいのだ。
メールだけじゃ、文字だけじゃ全然足りない。
顔が見たい。声が聞きたい。
可愛い笑顔が見たい。健斗って名前を呼んでもらいたい。
我儘だ。我儘なことを言っている。
俺が俊也のもとへ行けば……と思ったこともあるけど、やっぱり俺は小心者だから、俊也の元へ行く勇気がない。
だから、早く俊也が帰ってきてほしい。
俺の元へ。
そしてあの言葉を言いたい。
「好き」
言えないのが辛くて、何度も何度もメールで伝えてしまおうかと思ったけど、俊也に直接言いたいと思い直し、言いとどまってきた。
〜〜♪〜♪
いつもの着信音が流れる。
俊也からのメールだ。
携帯を開くと、今日の出来事などが、ずらずらっと書いてあった。
自然と胸の奥がドキドキっと速くなっていくのを感じる。
俊也がいなくなってから、その気持ちはますます大きくなるばかりで、頭の中がパンクしそうだ。
早く帰ってきて。
きっと再会したら、好きって伝えるから……。
今回は健斗の気持ちを書きました。
次回は誰でしょうか?
次の更新は、6月9日の予定です。