3.チャンス到来
次の日。
俺、藤堂健斗。
わけが分からず混乱中。
「藤堂君、おはよう。今日の勉強会、楽しみだね」
朝一番。
有泉から俺に、話しかけてきた。
驚きすぎてまともな言葉が出ない。
「えっあぅ……えぇっとぉ……」
有泉が不思議そうな顔をする。
「あれ?宮沢君から聞かなかった?勉強会のこと」
勉強会?
有泉から話しかけてきたことに驚きすぎて、話をしっかり聞いていなかった。
「えぇっと。き、聞いてないけど」
俺、緊張しすぎだろ…。男なのに、おどおどして。情けない。
有泉はそんなことを気にしていないのか、話を続ける。
「えっそうなの?じゃあ僕から話しとくね」
有泉の話によると――
真吾が平井に勉強会をしないかと頼んだそうだ。
それじゃあ俺と有泉も一緒に……って。
というか。
明らかに俺のためっていうか、有泉と話す機会をくれたのだろうか?
嬉しいのやら、自分から話す機会を作れなくて情けないのやら。
……真吾がくれたせっかくくれた機会。無駄にできない。
「わかった。俺も勉強会、参加する」
「はぁ……。よかった。そう言ってくれて」
なぜかホッとしたように言う有泉。
もしかして俺、なんか怖がられているのか?
チャンスはきたものの、自分の考えに傷ついた健斗。
嬉しさ半分、悲しさ半分。
複雑の気持ちだった。