25.行方
学校を出て走り出した俺。
一刻も早く俊也は探しださなければならないという時なのに、俺は一旦足を止めた。
ふと思ったのだが……。
───どこに行けばいいんだ?
俊也がいる場所が全く分からない。
1年半一緒にいたのに、俊也が絶対行く場所が思いつかないのだ。
……。
駅前のアイスクリーム屋さん?俊也の家?
なんとか考えて、思いついたのがそれだった。
早速行ってみることにした。
駅前のアイスクリーム屋さん。
幼稚園児は沢山はいたけど、俊也の姿はない。
俊也の家。
ピンポンを押したが、誰もでなかった。
もしかして家にいるけど出ない?とか考えてみたが、俊也の部屋の部屋を覗くとカーテンを引いてなくて、誰もいないがはっきり分かった。
本当にどこにいるのだろう?
とにかく俺は学校の近くや、俊也の家の近くを走りまわった。
―――俊也……一体どこに行ったんだ?
焦りながらも、俺は走り続けた。
俺は息を切らせながら、俊也が行きそうな場所を考える。
そんな時だ。
ブルブルブル……ブルブル…
ズボンのポケットに入れておいた、携帯が震えた。授業中になってはいけないと思って、バイブ設定なっている。
携帯を開いてみると、そこには真吾の名前が書いてあった。
着信だ。
急いで俺は電話に出た。
「もしもし」
「もしもし!?」
真吾の慌てた声が聞こえる。
「どうしたんだ?」
俺の冷静な声が気に食わなかったのか、真吾は怒鳴った。
「お前っ、今どこにいるんだよっっ!?学校大変なことになってるぞ?!」
気持ちは分かる。でも今の俺はそれどころではなかった。
「学校の近く。俊也を探してる」
「有泉を?どうゆうことだ?」
表情は見えないが、とても心配しているのが声で分かった。
「俊也、勝手に学校を飛び出したみたいなんだ」
「なんだって!?サボりとかじゃないんだな?」
真吾はすごい勢いで、話してくる。
真吾の話によると――どうやら俺達はサボり扱いされたらしく、先生が一斉に俺達を探しているみたいだ。
「あぁ。サボりじゃない。まだ俊也が見つからないから探す。もしかしたら俺のせいかもしれない。もしかしてなくてもな」
「分かった。お前はそのまま有泉を探し続けろ。こっちはどうにかしとくから」
「ありがとな。真吾」
優しい言葉に素直にお礼を言う。俺はそうすることが大事だと学んだ。
意地を張ってばかりじゃ、人に気持ちを伝えることはできない。
今の気持ちもそうだ。
真吾に、今の俺のこの気持ちを分かってもらうために。
「俊也にいってくる」
俊也の所へ行ってくる。俊也にこの気持ちを言ってくる。
両方の気持ちを込めてそう言った。
「あぁ。じゃあ、頑張れよ」
何回か分からないほど言われた言葉。
その言葉を聞いて、俺は携帯を切った。
『頑張る』
俺は必至に俊也がいそうな場所を考えた。
俊也が行きそうな場所、俊也が好きな場所、俊也と一緒に行ったことがある場所……
「あれ?」
俺は1つだけ思いだした。
まだ行っていない場所があったということを。
その場所はとても思い出深くって―――
俊也への気持ちを言いたかった場所でもある。
「そこに俊也がいるはず」
口でそう言ったが、本当にそこにいるなんて確信はない。
最後の望みをかけて、俺はその場所へと走り出した。
こんにちは、彩瀬姫です。
実は今日24日、健斗君の誕生日です!!
健斗君、お誕生日おめでとう☆
この日に更新できるように何とか頑張りました。
さて、このお話も終わりに近づいてきました。
目標は30話!!
終われるか心配ですが、「好き」と言ってもいいですか?をよろしくお願いします!!