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23.俺の弱さ

真吾の後をついて行くと屋上だった。


最後だった俺が、屋上のドアを閉めて振り向いた瞬間とき


バシッ!!


真吾は平手で俺の顔を叩いた。


「馬鹿っ!!」


突然のことで分からない俺は、ただ呆然と真吾を見ることしかできなかった。


「お前今、本気で有泉のこと諦めようとしただろうっ!!」


本当のことを言われたから反論できる言葉なんかなくて、黙っていた。


それを肯定と受け取った真吾は、さっき俺をたたいた手をぐぐっと力を込めた。


今度はその拳で俺の顔を殴るのだろうか?


俺はギュッと目を瞑った。


だが、真吾が俺を殴る気配がなかった。ゆっくりと目を開けると淋しそうな顔をした顔の真吾がいた。


平井はそれを辛そうに見ている。


「なぁ。お前は本当にそれでいいのか?有泉、今少し混乱しているんだと思う。だからゆっくり話してみろよ」


真吾は一度深呼吸して、俺の目を射抜くように、鋭いを目を向けた。


「今もし、お前が有泉への気持ちを諦めようと考える。だけど本当に諦めることができるのか?」


―――俊也のことを好きになっちゃいけなかったかもしれないな


よく考えてみれば、俺に俊也への気持ちを諦めることはできるのだろうか?


そんなこと考えてなかった。


『本当に諦めることができるのか?』


そう問われれば、俺は首を横に振ることしかできない。


「諦めるより、当たって行った方がいいだろ?なぁ?」


真吾の目は涙が落ちてきそうなほど潤んでいた。


こんな真吾は見たことがない。



―――俺はどうしてだろうか?


いつも不安になって。困った時はいつも真吾に訊いていた。


でも、それじゃいけないんだ。


分かってる、て言ってても、全然頭では理解していなかった。


真吾にばかり頼って、甘えていた。真吾は俺の保護者じゃない。頼ってばかりじゃいけないんだ。


俺は自分から何かしようとしていたか?――自分から何かをしようとしていなかった。


俊也に気持ちを伝えようとしたが自分の過去が知られるのが怖くて、結局言うことができなかった。


―――自分の気持ちを伝えるなら今かもしれない。


怖いって気持ちはやっぱり消えない。でも、言わなきゃ何も伝わらない。



俺の弱さ

『それは怖い気持ちに負けて、何も踏み出せなかったこと』



今度こそ俺は伝えなきゃいけない。たとえ駄目だったとしても。



二度目の決意をした健斗。

俊也に自分の気持ちを伝えることができるのでしょうか?

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