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18.二人の過去―後編―

―――話した後、俺達は別々に屋上を出た。

 

俊也にいろいろ聞かれないためにだ。俺は嘘が下手だから悪いと思ったが、全部平井に任せた。



どうすればいいのだろう……。


俺の過去が思い浮かぶ。


俊也には聞かれたくない過去が。


―――沢山ありすぎる。それなのに、俊也が輪姦で男性恐怖症だなんて………。


俺は階段を降りる足を止め、そこに座りこんで頭を抱えた。



俺の過去、それは悲惨なものだった。やってることは俊也を輪姦した奴らと同じようなことだ。


あれは、5年も前、俺が中学2年の時のこと―――俺には彼女がいたんだ。綺麗で大人しい子だった……









「付き合って下さい」


「あぁ、いいよ」


告白されたのは、もう何人目だろう。


俺は、告白を断るのがめんどくさくなったので、しょうがなくOKしたのだ。


それに一回付き合えば、他の女から告白されることもないだろうし。


そんな簡単な気持ちで付き合った。



「ねぇ?藤堂君」


「何?曜子ようこさん」


今、学校から彼女、北村曜子きたむらようこと一緒に下校中。


クラスは一回も同じになったことはないのだが、なぜか好きになったのだという。


「藤堂君は、抹茶とか好き?」


「あぁ。まぁまぁ……」


曜子さんはその答えに満足したかのようにうんうんと頷く。


「やっぱり!!私のイメージ通り。渋いものが好きそうだもんねぇ…」


どこが?イメージ通りだよ?俺、本当は渋いものが大嫌いだし。甘い物の方が好きだ。


これだから嫌だったのだ。


「こうじゃないと駄目」「こんなの藤堂君じゃない」と勝手に俺のイメージを作り上げようとする。


俺はうんざりしていた。



そんなある日……。


「おい、藤堂…この頃、曜子さんと付き合ってるんだって?」


いつも話しかけてこない奴が、突然話しかけてきたのだ。


確か……篠原だっけ?


「あぁ……そうだが」


「何で付き合ってるんだよ?」


「なんとなく……だけど」


実際なんとなく付き合っていたので、そう言った。別に付き合いたかったわけじゃないし。


すると、篠原は俺の机をバンッと叩いた。


「俺の女、とってんじゃねーよ!!」


篠原は俺をギッと睨めつけてから、ここを去った。



この時の俺は知らなかったのだ。


人の心をこんなにも傷つけてしまうことが恐ろしいということを。恋の力はとても強く激しいものだということを。


まだ知らなかった。










次の日……。


「おい健斗、大変だ!!曜子さんがっ!!」


「えぇ?」


「とにかく来いよ!!」


俺は真吾に引っ張られるまま、後をついて行った。


「曜子さんがどうしたんだ?」


「………」


訊いてみるが、真吾は口を開こうとしない。不審に思ったが、真吾の顔がとてもつらそうなものだったので俺は口を出さなかった。


それにしても曜子さんがどうしたんだろう?


不安がよぎる。


「おい。ついた」


そこは保健室。トントンッとドアを叩いた。


保健室に入った瞬間、俺は驚いた。


「曜子さん?」


曜子さんは保健室の端で蹲りながら、泣きじゃくっていたのだ。


「曜子さん、どうしたんだ?」


近寄ってみると、陽子さんは怯えるように俺を見た。


「……ぁい…」


「えぇ……?」


言葉が聞き取れなかったので、もう一度訊ねた。


すると、曜子さんの中の何かが壊れたかのように大声を出した。


「怖いっ怖いっ怖いっ!!!」


曜子さんはしゃがんだまま首をふり、ずっと「怖い」と叫んでいる。


隣にいた先生は曜子さんを落ち着かせようとしている。この様子はおかしいと真吾の方に目を向けと、来いっ!と俺の方に手を向けた。



保健室をいったん出て、真吾はゆっくりと語り始めた。


「曜子さんは篠原に強姦されたんだよ」


その言葉に俺は絶句した。


「強姦……?」


真吾はうんっと頷く。


「お前と付き合ってる前、篠原と曜子さん付き合ってたみたいなんだ。篠原は納得していなかったみたいだけど、陽子さんが健斗と付き合うことにしたから別れたそうだ」


「………俺のせいだと言いたいのか?」


俺は真吾に怪訝の目を向ける。


これを聞いていると俺のせいだと言ってるようだ。俺が二人を別れさせたって。


「別にそう言ってるわけじゃない。ただお前がはっきりしなかったからいけないんじゃないのかと言ってるだけ」


「俺がはっきりしてない?」


「そうだ。だってお前、陽子さんにハッキリと「好き」って思ったことあるわけ?違うだろ?ただメンドクサイから告白をOKしたんじゃないのかよ」


「………」


俺は何も言えなかった。真吾が言ったことが本当のことだったからだ。


ただ告白されるのがめんどくさいから、俺は陽子さんと付き合うのを承諾した。でもそれで他の誰かを傷つけるとは思いもしなかったんだ。


無責任なことをした。


俺はゆっくりと口を開く。


「そうだ。俺は……ただ自分のことだけで、曜子さんの気持ちを考えていなかった。しかも篠原のことを傷つけてるなんて思いもしなかった」


俺の言葉に真吾は苦笑した。


「お前らしくない言葉だな。でもお前のせいだけじゃない。曜子さんは彼氏がいるのにお前に告白したし、篠原はそんな曜子さんを無理やりヤった。軽く言えばお互い様。二人とも傷ついているんだよ」



知らない。


知らない、俺は知らない。その気持ち。


自分のために人を傷つけてしまう。


好きで好きで傷つけてしまう。


恋って怖いんだな。


でも、そんなことを簡単に思って受け流してしまう俺の方がもっと怖い。


恋って何だろう?


このときの俺は恋を知らない。




その後………。


曜子さんは転校し、篠原は停学処分となった。


もちろん俺は何もない。


でも、自己嫌悪に陥ってしまった。


彼女の曜子さんが強姦されてしまったのは俺のせいだと。


俺がはっきりしない奴だったから……。






直接的に俺は関係してないけど、強姦させてしまったという気持ちが残っている。


だから、俺は俊也に後ろめたい気持ちを抱いてしまったのだ。


書きたいこと書いといて、話がぐちゃぐちゃになってしまいました。

すみませんm(__)m

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