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ゆきちゃんとカメのジェームス①
ゆきちゃんのおうちは森の中。
赤色の屋根が目印の、小さなおうち。
今日はどんな素敵なことが待ってるかしら。
ピンポーン。
「こんにちはー!宅配便でーす。」
「まぁ、ご苦労様。ありがとう。」
日曜日の朝、鹿のディールが宅配便を届けに来ました。受け取った小包みには『ゆきちゃんへ』の文字。
「ゆきちゃーん!おばあちゃんから届いたわよ!」
ママの声を聞いてゆきちゃんがパタパタと玄関に走ってきます。
「わぁ、やったー!開けてみる!」
小包みを大事そうに抱えて、ゆきちゃんはリビングへと急ぎます。
ビリビリビリッ。包み紙を破って箱を開けるとー…
「カメさんだぁ!かわいい!」
中から出てきたのはカメのぬいぐるみ。甲羅が若葉のように鮮やかな黄緑色で、ふかふかしています。
「やぁ、こんにちは。僕はジェームス。よろしくね。」
ジェームスと名乗るカメは、短い手をちょこっと挙げてゆきちゃんに挨拶しました。
「こんにちは、ジェームス。私、ゆき。一緒にお散歩に行きましょう!」
ゆきちゃんはジェームスを抱き抱えると、早速元気に外へと飛び出しました。