表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掛け言葉短編

キセイホンノウ

作者: RK

 生き物には帰巣本能がある。

 人間で言い表すなら帰省本能とでも言えばいいのだろうか?

 住んでいる場所から離れても再びもどってくる能力だ。

 人間の場合だと、もっとも落ち着く空間――大抵は家だろう――に帰ってこようとする。

 働き蜂が蜜を集めて巣に戻ってくるように、人間も仕事を終えて戻ってくるのだ。

「あー、疲れた」

 一人暮らしをすると独り言が増える。寂しさを紛らわすそれは逆に寂しさを強調すると分かっていてもやめられない。だが、今の俺にはそんなものは存在しない!

 なぜなら!俺には!彼女が出来たのだ!!

「おかえりなさい」

 たった一言がこんなに心に響くことはあっただろうか?いやない。(反語)

 俺の人生はバラ色だった。

 彼女にたくさんプレゼントを送った。友人から女は贈り物をしないと文句を言うとか聞いていたからだ。

 デートにもたくさん行った。毎日デートプランを考えるのは大変だったがそれも楽しいと思えた。

 そうして今、俺の家に彼女がいる。

 ここが俺の帰るところ、帰省する場所だ!


 寄生虫という生き物がいる。

 ほかの生き物に寄り添い生きる生物だ。

 寄り代が死なず、栄養を分けてもらう生き物。

「おかえりなさい」

 たった一言で一喜一憂する彼。

 稼いだお金で私にプレゼントを贈る彼。

 収入のない私を養う彼。

 なんて素晴らしい。

 なんて男は単純なんだろう。

 ここが私の生きるところ、寄生する場所です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ