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No.96 城清再び!

 インターハイ予選第三試合、朱雀高校対藤岡高校。朱雀高校が早くもダブルスコアで相手を引き離し前半戦を大きくリードしていた。

 そして、ハーフタイムも残りわずかとなり、後半戦が近づいてくる。

 

「よし、いくぞ!」

 

『オッス!』

 

 控え室にて、キャプテンの木ノ下薫が選手たちに気合をかけた。そのまま控え室をあとにする。

 

 朱雀高校が控え室から会場に姿を現すと同時に、再び観客席からは歓声が沸き起こる。観客席には白川第一高校と黒沢高校の選手たちの姿が見える。審判の笛が会場に鳴り響いた。選手たちはセンターサークルへと向かった。

 後半戦の朱雀高校は、11番の大山博司と7番の小田原真をメンハーチェンジしてのスタートとなった。このメンバーには、なにやら木ノ下薫の考えがあるそうだ。

 前半とは違い、センターサークルの中に永瀬勇希が入る。白川第一の永瀬朋希の兄と言うだけあって彼ほどではないが、それなりにジャンプ力はあった。

 審判の手からボールが放たれ、両選手が同時に跳ぶ。やはり永瀬の方が高かったらしく、ボールをサークルの外へ向かって弾いた。

 そのボールを純也が取り、亮にボールを渡して走る。

 

 攻守互いにセットのポジションになった。朱雀高校はセンターのポジションに小田原君が入っただけで、他は前半戦と同じポジションだ。

 ハイポストに小田原が上がった。亮はすぐにパスをする。

 

 そして小田原の手からアウトサイドの薫へとボールが渡った。シュートが放たれるが、わずかにリングに当たってしまい、ボールが外に出てしまった。

 

 選手たちがリバウンドの体勢に入った。そしてボールが地面に向かって落下してゆく。

 

 そのボールを手にしたのは小田原であった。そのまま亮にパスをまわした。

 

 小田原君は3年間木ノ下薫、永瀬勇希と共に厳しい練習をしてきた人物だ。どのプレーでも、それなりにこなすことが出来る。その中でも特に目立つのがディフェンスであった。

 高さはそこまでは無いのだが、基本をおさえている彼のプレーは部員たちからの信頼も厚かった。

 

 小田原君が入ったことにより、オフェンスにスピードが加わり、自然と他の選手の運動量も増えた。朱雀高校の攻撃は前半戦よりも更に速い展開となった。

チームのゴール下を固め、ディフェンスを強化するスタイルが博司と言うなら、小田原のメンバー加えることは、オフェンスとディフェンス両方とも万能にこなすスタイルと言える。

 

 そして第3、第4ピリオドも圧倒的差を見せつけ、朱雀高校はベスト8入りを果たしたのであった。


 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

「おつかれさーん」

 

「っしゃぁ、終わったぜ」

 

「おつかれー」

 

 

 控え室に朱雀高校の部員たちの声が鳴り響く。落ち着いた様子の部員に薫は言った。

 

「急で申し訳ないが、そろそろ次の対戦相手の試合が始まる。準備が出来たら見に行こう」

 

『オス!』

 

 部員たちが返事をした後、亮が薫に話しかける。

 

「事実、ここからが本番みたいなもんですからね」

 

 亮の声に気づいた薫は、軽くうなずき、返事をしてから答えた。

 

「ああ。ここからは、ほぼ確実に城清、黒沢、白川と戦うことになるだろう。これまでのようにはいかない」

 

 現在、4つのブロックにそれぞれ分けられた前大会ベスト4の高校は、まるで当然かのように勝ち上がっている。恐らく城清も確実にベスト8入りを決めてくるだろう。そんなことを考えながら、朱雀高校部員たちは観客席へと移動したのであった。

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 朱雀高校の部員たちが観客席に着くと、すでに城清高校の試合が始まっていた。応援団もそれなりにいる。城清高校は朱雀高校と同じく進学校で、伝統のデータバスケと組織的なディフェンスを武器に毎年のようにベスト4まで勝ち上がってくる高校だ。

 

「なんだ。強豪ってわりにはそんなにハデな試合じゃねぇな。トロくせぇ」

 

 椅子に座ってつまらなそうな様子で発言する純也に、薫が真剣な顔で言った。

 

「その『トロくさい』という表現を使った時点で、すでに試合の流れは城清ペースという事だ」

 

「どういうことだよ?」

 

 純也が訳がわからない、といった顔で薫に言葉を返した。

 

「確実なディフェンスで失点を最小限に抑える。少ない攻撃チャンスを確実にものにしていく。彼らの試合でハイペースになることはまずないだろう」

 

 そして城清が試合をしているコートに目を移してから続けて言った。

 

「それに、今年の城清は違う。大蔵、杉山が加わりインサイドアウトサイド共に格段に強くなっている」

 

「へぇ…って」

 

 純也が返事をしてコートに目をやった。そしてとある選手を目撃して驚いた。

 

「あの外人みたいなヤツってストバスの大会で戦ったヤツじゃねぇか! それにあのぬけた顔したヤツとスキンヘッドのヤツ!」

 

「なんだって!? 彼らと戦ったときがあるのか?」

 

 薫が驚いた顔を見せる。

 

「ああ、カズが最後に逆転シュートを決めて勝ったんだけどな」

 

「なるほどな…。白川第一の森村が出場していたのは話に聞いていたが、城清の選手も出場していたとはな」

 

「でもさ、結局俺らが勝ったんだぜ? 次の試合も大丈夫なんじゃねぇの?」

 

 その言葉を聞いた我利勉が急に話に入ってきた。メガネを光らせて純也に言った。

 

「むしろ、白川第一の森村がいて1点差だった、ととらえるべきだよ。彼らの強さは個人個人の能力じゃないんだ。『城清』という5人チームが1つになって組織的に襲い掛かってくる」

 

「けっ、なんだか気にいらねぇな。頭のかてぇバスケかよ」

 

 純也が再び、つまらなそうな顔をして肩を背もたれにかけた。薫は試合をずっと見つめながら小さめの声で言った。

 

「とにかく特殊なディフェンスなんだ。明日の練習で説明するから今はよく試合を見ておけ」

 

「はいはい…っと」

 

 そう言って欠伸をした。そのとき、亮が独り言で呟く。

 

「これは…思ったより凄いな…」

 

 ダルそうに返事をした純也とは反対に、真剣な顔で試合を見つめている他部員であった。

  


 

 

 



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