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No.7 ルール

朝目覚める。


「ふわぁ〜…ねみ」


外からは小鳥の鳴き声が聞こえる。天気はムカつくくらいの快晴だ。


俺は何代目になるかわからない目覚まし時計を見て時間を確認する。


「よし、学校に遅刻しないな」


そして俺は階段をおりる。そのまま洗面所に行き顔を洗う。


次に朝飯を食べるための居間に移動する。

もう俺以外の家族はそろっていた。俺的には早く起きたつもりだったんだが……


「あ、お兄ちゃん。おはよう」


「……ああ」


妹に挨拶してからテーブルに並んだ朝飯をもくもくと口に運ぶ。ちなみに親父はいつものように新聞を読んでいる。


「ごちそうさま」


そう言って俺は制服に着替えようとしたときだった。


「あら、純也。お弁当はいらないの?」


と、母さんが言ってきた。明らかにわざとらしい口調で顔はニヤニヤしている。その隣にいる妹の絵梨佳も顔をニヤニヤさせながら俺を見ている。父親は新聞を見ているが明らかに俺たちの会話に耳を傾けている。だって、新聞を見ているハズの目が動いてないんだもの。


――ちくしょう、親子そろって俺をイジメかよ………いつもは『弁当は?』なんて聞かねぇくせに。


「……ああ」


俺は渋々答えた。


こんな受け身の俺をこの野次馬親子が見逃すはずがない。


「どうしてなの?」


「なの?」


母さんに続くようにして絵梨佳が質問をしてくる。


「そりゃあ…」


「そりゃあ何?もっとはっきり言いなさい」


「なさい」


二人の顔はあいかわらずニヤニヤしている。とてもブン殴ってやりたい。しかしそんなことをしたら毎日イジメられそうだ。そのままイジメ殺されるかもしれない。

 実際に俺が中学一年の反抗期のときに母さんに暴言を吐いてしまったときがあった。

 そのときは本当に大変だった。朝起きたら隣にネズミの着ぐるみを着たヤツがいたり、夜俺が寝ていると突然ネズミの着ぐるみを着たヤツがやってきて俺の隣で怪談話をしはじめたり、俺の学校の授業参観にもネズミの着ぐるみを着たヤツがきたり、しまいにそいつは授業中に『なんでわからないの?』と、いきなり説教をしてきたり……

 結局そのとき俺は母に泣く泣く土下座をしてなんとか許してもらった。それ以来俺はネズミがとても苦手なんだ。ディ○ニーの人気キャラなんてもっての他だ。二十二世紀からきた猫型野郎にはかなり同情してしまう。


そんなことを考えていたら玄関の方から声が聞こえてきた。

『ごめんくださ〜い』


俺はその声を聞いて玄関に向かう。


「おはよう」


「ああ」


そこには久留美がいた。そして俺は昨日久留美がメールで俺が学校をサボらないように向かえにくると言っていたことを思い出した。


「さ、いきましょう」


「ああ」


俺はカバンを持ち家を出ようとした。


「じゃあねジュン、いってらっしゃい」


「いってらっしゃい」


またまた母さんと絵梨佳がわざとらしくニヤニヤした顔で言ってきた。


「ああ」


無視をすると後が恐いので一応返事をしてから俺は家を出た。




――――――


――――


――


『さようなら』


学校の最後の授業が終わり、みんなが挨拶をして教室をでていく。


「はぁ」


俺は自然とため息がでてきた。


「なに暗い顔してんだよ?」


そんな俺をみて優が話し掛けてきた。


「部活めんどくせぇな」


「何!?ジュン、お前部活に入ったのか?」


「ああ」


「何部なんだ?」


「……バスケ」


「お前が部活ねぇ……急にどうしてだ?今まで一度も部活なんてやったことないだろ」


「まあ、色々と事情があるんだよ…」


優はそんな俺の言葉に微笑し、


「そうか………わかった。がんばれよ。じゃあな、俺バイトあるから」


と言って教室を出ていってしまった。


「はぁ…」


「なぁにため息なんかついてるのよ」


今度は久留美が話し掛けてきた。どうやら今日は俺がため息をするたびに何かがおこるらしい。


「ああ、久留美か。悪いが話し掛けないでくれ。俺は今から人生について――」


「はいはい、わかったから。部活いくわよ」


あっさりと流されてしまった。


「ほら、急ぎなさいよ」


「うう……」


こうして俺は体育館へとつれていかれたのだった。


――――――――

 

――――

 

――

 




「え〜、仮入部期間は終わってるが、今日からこの朱雀高校バスケ部に新しい部員をむかえることになった。よし、自己紹介をたのむ」


ここは朱雀高校体育館。キャプテンの木ノ下薫がバスケ部全員に集合をかけ話をしているところだ。

俺は木ノ下薫に自己紹介しろと言われたのでみんなの前にでる。バスケ部員全員の視線が俺に集まる。


「………俺の名前は石川純也だ。俺が来たからにはこのチームを全国優勝に導いてやる」


オー


一気にバスケ部員たちから歓声があがる。

突然亮が俺に飛び蹴をしてきた。


ドカッ


「ぐおっ!」


「なにが『全国優勝に導いてやる』だ!調子にのるんじゃねぇ」


「あ〜?なんだ負け犬チビ、文句あるなら黙って吠えてろ」


「なんだとぉ〜」


喧嘩が始まった。どうやら俺はコイツと犬猿の仲ならしい。

ん?ってことは俺が猿か?まあたしかによく跳ぶし。って


「誰が猿だコラァ!!」


「んなこといってねぇよ!!」

「やめろやめろ」


キャプテンの薫が喧嘩を止める。そして部員達に話し掛けた。


「というわけだ。みんな仲良くやってほしい。よし練習再開」


オッス


キャプテンの掛け声により練習が再開され、部員達はコートにむかって走りだす。


「おっしゃあ! やってやるか!」


俺は何となく気合いを入れてみると


「おい純也」


キャプテンの木ノ下薫に呼び止められてしまった。


「なんだよ!?」


「お前は特別メニューだ」


「は?」


何言ってんだコイツ?


「お前にはまずしっかりとバスケットボールというスポーツのルールを覚えてもらう必要がある」


「なんで!?もう知ってるっつーの」


「試合でシャイニングウィーザードをやられては困るのでな」


「あれはだな……神の声が聞こえたんだよ」


「試合で神の声が聞こえてシャイニングウィーザードをやられても困る。え〜と、お前にルールを覚えさせるにはどうしたらいいか」


『キャプテン、僕が教えます』


キャプテンの言葉に自分から石川純也教育係を名乗り出たヤツがいた。

メガネをかけていてかなり細身だ。背は俺より高い。175?くらいかな。


「おお、我利勉がりべんか」


――我利勉!?


「キャプテン、僕がルールを教えます」


「しかし……お前には試合があるんだ。練習はどうするんだ?」


「練習なら居残りをしてでもやります。それより僕にやらせてください。昨日、亮との1 ON 1 を見て絶対に将来朱雀を引っ張る選手になると思ったんです。キャプテンが引退したときのことを考えるといてもたってもいられないんです」


「そうか……お前のバスケットに対する情熱にはやられたよ。ぜひお前にたのむ」


「ありがとうございます」


キャプテンの木ノ下薫はそう言ってコートに走っていった。

我利勉と呼ばれたヤツが俺に話し掛けてきた。


「純也くん、よろしく。僕の名前は我利勉翔太がりべんしょうた。二年生だ。かと言って別に敬語は使わなくていいからね」


 まあ使う気はねぇけど。


「昨日の一対一を見て君に無限の可能性を感じたんだ」


「お?我利勉はわかってるなぁ。キャプテンとは大違いだ」


「ははは、あれでもキャプテンは君に期待しているのさ」


「ふーん。そうなのか」


「よし、じゃあ基本ルールからいくよ」


「おっしゃあ!こい、ルールなんてすぐに覚えてやるぜ!!」


こうして俺は毎日ルールを覚えることになったとさ。

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