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No.64 タイムリミット!?

 「おいっ! カズ!」


 俺は急いで治療室にたどり着いた。

 

 カズと優は先についていたらしい。 

 

そこには先ほどの試合で足を捻った選手がいた。卓郎のチームに勝った大型のチームの選手だろう。


「なぁ、カズ。気付いてたか?」


「まぁな」


 カズは話の内容を言わなくても分かっているようだ。


「ケルベロスの野郎共、わざとやりやがった」


「それに、ヤツら結構やるぜ? 動きが一瞬で変わったしな」

 

 ケルベロス、と呼ばれたチームは相手が負傷したのを良いことに容赦ない攻めでダブルスコア以上の点差で勝利していた。


 カズの言葉に俺たち2人はうなずいた。いつでも勝てるってか? ますます腹立たしい野郎共だぜ。


 やがて優が思い出したように言った。


「あと15分で試合が始まるな。決勝は1人1人、入場があるからな。早めにいって入り口の前で待機してないといけない。2人はもう準備は済んだのか?」


「ああ、バッチリさ」


 カズはそう答えたのだったが、俺はあることに気づいた。


「急いでてトイレ行ってねぇや。悪いけど先に体育館入り口に行っててくれ!」 

 おいおい、といった表情を見せた2人だったが、納得したらしく、早く来るように俺に呼び掛けてから体育館の入り口に向かった。 

「やべぇ、トイレトイレっと」


 近くのトイレで用を済ませた俺は、手を洗い廊下へと出た。ふぅ、やっぱトイレ行っとかないとねぇ。


 バッシュを手に取り、体育館への道を歩いていた。試合前ということもあり、廊下には誰もいないようだった。


「絶対にぶっ殺してやるからな……。まってやがれ」 

廊下の中盤に差し掛かった時だった。


『Skybombの石川だな?』 

 背後からいきなり名前を呼ばれた。俺は、面倒くさそうにふりかえる。


「あぁ? いきなり誰だ……」


ゴォン!


「!?」


 突然の頭への激痛で一瞬何がおきたのかわからない俺だったが、体勢をたてなおしやがて目の前にいるヤツを確認する。全身黒ずくめで顔にはマスクをしていた。その手には木の角材が握られている。


『ほう、今ので気を失ってないとはな……。たいしたものだな。だが、優勝するにはお前は邪魔なんでな。ここで消えてもらう』 


 くっ……、ケルベロスの回し者か? いくら俺だからっていきなり後ろから角材がよ……。


「ったりめぇだ! 角材持ったぐれぇで俺に勝てるとでも思ったか馬鹿野郎が!」


『ふっ、いつまでその口がきけるかな?』


「なに……?」


 周りを確認したが、いつのまにか十数人に囲まれていた。


「くそ……、きたねぇぞ……。」


『なんと言われようと結構。よし、殺れ』


 一人の合図と共に全員がかかってきた。俺は、意識がはっきりしているのを確認してから叫んだ。


「公式バスケ始めてなぁ、抑えてたが久々に暴れてやるよ!!」



 一瞬叫び声で怯んだ敵だったが、再び俺に向かってきた。


『なに凄んでんだよ!状況がわからねぇのか!?』


 そう言って不利下ろしてきた角材を俺は、横にかわして、相手のボディーめがけて殴る。


ドカッ!


 相手は2メートルほど吹っ飛び、その場で悶絶した。


「オラァオラァ! 次はどいつだぁ!? 一気にきてもかまわねぇぜ!」


『調子に乗るんじゃねぇ!』


 今度は一度に3人かかってきた。

 俺はかまわず1人めがけて突進して行き、足を狙って蹴る。動きの止まったところに顔面に右ストレートをぶちこんだ。

 『喧嘩になったらまずは足を狙え』 

 沖さんに教えられたことが無意識にでるところから、いまだに体に焼き付いている様だった。


 相手は一発で気を失った。もう1人が背後に来ているのを察知し、回し蹴りをお見舞いする。吹っ飛んだ後、その場で動かなくなった。


ドカッ!


「!?」


 いてぇ……、まともにもらっちまった。


 俺が1人を相手している隙に角材が頭にヒットした。頭に手をあて、確認してみると、出血していた。


『へ……へへ。どうだ?これで参ったか?』


 視界がやがて血に染まっていく。目が痛い。


 俺は、手で目に入った血をぬぐいながら角材で攻撃してきたやつにむかって歩み寄る。


『お、おい……。これ以上はやべぇだろ! 無理すんなよ……うっ!』


 しゃべってる途中におもいきりぶん殴った。


「……次は……、どいつだよ……」


************ 

 一方、体育館では入場が終わり、それぞれのメンバーがアップを終え、試合開始のコールを待つだけとなっていた。


『まだかね?』


「きっと腹でも壊したんですよ。もうちょっとで来ると思いますので……」


 純也が来ないことを何度も聞いてくる審判に、優とカズの2人は必死に対応していた。


「純也、なにやってんだよぉ……」


 優がたまらず情けない声をあげていた。


『おいおい、メンバーがこねぇんじゃあ話にならねぇなぁ。俺たちの勝ちじゃね?』


『たしかにな、ハッハッハ』


 ケルベロスのメンバーが審判に聞こえるような声で会話をしていた。


「くっ……」


 優の拳が強く握られる。そんな優とは反対に審判からある言葉を告げられた。 

『大分待ったし、あと3分で来なかったら不戦勝にするよ、いいね?』


「そんなっ……」


 驚きを隠せない2人だった。


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