No.63 圧勝?
『おつかれさまです!』
sky bombの3人は突然、声のした方をむいた。
そこにはLainbowの服部卓郎がいた。
「みなさん決勝進出ですね!おめでとうございます!」
純也が答えた。
「おう! 次勝てば優勝だぜ。お前らは?」
「それが…結構大型のチームと当たっちゃって…負けちゃいましたよ」
「ほ〜、お前らが負けるとはなぁ。ま、どっちにしろ俺らと当たっても同じ事だけどな」
その言葉を聞いて卓郎は笑う。このような冗談を言い合えるほど知らないうちに仲が良くなっていたみたいだ。
「いつか、純也さんたちと戦えるように頑張ります。必ず!」
純也は手をさしだした。その手に卓郎の手が重ねられる。そして純也は一言、
「そのときは手加減無しだぜ」
「はい!もちろんです!」
卓郎は嬉しそうに返事をしたあと、控室に戻っていった。
「さて、俺たちは観客席にでもいくかな〜」
カズがそう呟き、純也と優もそれに続いた。
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「あれ? 人がやけに少ないな」
客席につくなり、突然優が言った。確かに、準決勝にしては極端に人が少なかった。
客の歓声は少なく、大音量のBGMだけがなり響いていた。
ふと近くにいた若者たちの会話が純也たち3人の耳に入る。
『あ〜あ、次の相手はあいつらか〜。対戦相手がかわいそうだぜ』
『あぁ、きっとまた誰か潰されるにちがいねぇや』
その会話を聞いたカズは慌ててその会話に入る。
「ちょっといいか?いまのは一体どういう意味なんだ?」
いきなり話しかけられ相手は最初は戸惑っていたようだが、話しかけられた相手がSky bombのカズだと知るとすぐに態度を変え、話始めた。
『アンタはカズさんじゃねぇか! 毎試合応援してるぜ!』
「あぁ、ありがとう。しかし、さっきの言葉はいったい?」
『ん〜、それがなぁ……』
若者たちはお互いに顔を会わせてから語り始めた。
『次のLainbowの対戦相手のケルベロスってチームなんだが……そのチームにはどうも変な噂が流れていてね』
純也、優、カズの3人は唾を飲み込み、集中して話を聴く。
『今までの試合のうち二勝は相手の突然の出場辞退や、試合中の反則行為による相手の負傷で勝ってるんだ。どうもこれがわざとやってるという噂もあってねぇ』
「なんだと!? そんな反則したんなら出場禁止ならないのか?」
純也が血相を変えながら問掛ける。
『それがさ……審判も試合中の事故だと思ったらしい。本当にきわどかったんだ。裏で不良グループとも結びついてる噂もあるし、嫌なチームだぜ。観客も気付きはじめてこの様さ』
そういって観客席を指差した。先程も言ったように席は明らかにガラガラである。
「ありがとう。いきなりすまなかったな……」
『あぁ、あんたらも気を付けろよ』
カズは最後に若者たちにそう言うと今度は純也、優2人にむかって話始める。
「まずいな……なにもなければいいのだが……」
嫌な予感がした。