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No.59 謎のチーム

 ストリートバスケットの大会も順調に進み、二日目を向かえようとしていた。

 現地集合だったのだが、二日目と言うこともあり、みんな時間通り控室に集合していた。


「おうジュン! 遅刻しなかったようだな」


 優が笑顔で俺に話しかけてくる。


「さすがにコートの運命がかかってるんだ。気はぬけねぇぜ」


俺がそういった途端、横にいたカズが話しかけてきた。


「そう言ってるわりには、昨日の試合はなかなか危なげだったぞ」


「う……うるせぇ、昨日は楽勝すぎてつまんなかったんだよ!」


 俺の反応をみて、笑みを浮かべる優とカズだった。

 少し時間が経ち、今度は久留実がやってきた。


「あら、もうみんないるじゃない。純が遅れてこないなんて珍しい!」


「るせぇ! 俺だってやるときはやるの!」


「そのわりに昨日の試合は……」


 久留実までおんなじことぬかしやがる。困ったもんだな。


「あ、今日はみんなにプレゼントがあるの」


 久留実は何か閃いたように、自分のバックの中を覗き、あるものを取り出した。


「じゃ〜ん!」


 そして、それを俺たちに向かってつきだした。


「……ミサンガ?」


 優が久留実に問いかけた。

「うん、そう。昨日がんばって作ったんだ! あんまり良いものはつくれないんだけど……アタシも何か力になりたかったから」


「へぇ、ありがとう。 十分力になるよ」


 カズがそう言ってミサンガを見る。そしてあることに気づくいた。


「全部色が違うんだね?」


 それを聞いた久留実は、待ってましたと言わんばかりに答えた。


「そうなのよ! その人にあったイメージの色を勝手に決めて作ってきちゃった」


 そういって、チョコッと舌をだした。


「カズくんは黒! 着てる服も黒が多いし何より、そんなイメージだから。今日の試合も暴走するジュンをうまくコントロールしてがんばって!」


「オーケー、がんばるよ。ありがとう」


 カズはそう言って久留実からミサンガを受け取り、自分の腕に巻き付けた。やはり、なんとなく黒が似合う気がする。



「優くんは赤。もっとあかるめの色かな? って思ったんだけどやっぱり赤かなって。今日もスリーポイント期待してるんだから」


「お? さすが久留実ちゃん、よく俺が赤好きってわかったね。ギターも赤のストラトだからさ。期待に答えるように頑張るよ」


 そして優は笑顔で久留実からミサンガを受けとった。


「最後にジュン……」


「あ?」


 なんか妙に期待しちまう。自分ってどんな色か気になるしな。


「ジュンは青! 朱雀高校のユニフォームと同じ色!」


…………………。


「え〜!? 朱雀のユニフォームと同じ〜?」


「嫌なの?」


久留実が心配そうな目で俺をみる。


「嫌と言うか、自分は危険な色がいいな。黒とか赤とか好きだし」


「青にはね、純にもう少し冷静になって欲しいって思ったんだけど……。それに………」


「それに?」


 久留実は、俺から目をそらし、ややうつ向きながら呟く。


「私のイメージする純は、周りや純が思ってるより乱暴じゃないよ………」


「……………?」



 何いってんだ?よくわからねぇやつだな。



ビシッ!



「ま、頑張りなさい! そろそろ応援席いってるから!」


 久留実そう言って、俺の背中を叩いた。


「お、おう」



 ま、ありがたく貰っておくかね。



『よう優! 応援しにきてやったぜ』


 ん?


 俺たちは突然声のした方をみる。

「京介! 来てたのか!」


 優が驚きながら声をあげた。そこにいたのは須藤京介。前にも登場したが、優のバンドのボーカリストだ。


 周りからは『赤髪の狂犬』として恐れられている。現在楽器屋にてバイト中である。


「今日はバイトもねぇし暇だったんでな。応援しにきたぜ」


「ありがとな。絶対に勝から見ててくれよ」


「ふっ……ま、悔いの内容に頑張りな」


 京介はそう言い終わると、胸元からサングラスを取り出し、かけた。


「純也も頑張れよ。話は聞いたがコートがやべえんだろ?」


「ああ。負けると無くなるからな」


「ま、お前なら大丈夫だろ。なんせ俺に勝った男だからな、ははっ」


「あんときに比べれば楽勝だぜ」


 俺と京介は軽く笑う。



そして……。



「じゃあな、応援席で見てるぜ」


「おう」



 京介はそう言い残してから、後ろを振り返り歩いていった。


――――――


――――


――



 いよいよ俺たちの準決勝が始まろうとしていた。


『skybombの入場!』


 アナウンスが聞こえた途端、観客の声援がなり響いていた。


 ドアを開けて開場を見渡すと、かなりの観客がいるようだった。

 胸に直接響いてくるような重低音BGM。観客たちの興奮はますます高まっていく。


入場がおわり、まだ歓声がなりやまぬ中、対戦相手の入場が始まった。


『城清の入場!』


 城清? かなり普通な名前だな。聞いたことあるような、ないような………。


 おさまらぬ大歓声の中、城清と呼ばれた人たちが入場してきた。


「あ、あれは!?」


 カズが突然叫んだ。


「どうした?」


 俺の言葉にカズは少し悩んでから、


「あ、気のせいかな?」


 と言った。思わずずっこけてしまう。

 俺は相手チームを見る。

 みんなサングラスに帽子、マスク装着という、かなりあやしい装備だった。

 身長は大きめの奴らだ。170後半が二人と、190オーバーの奴が一人。


「でっかいなぁ……」


 優が思わずそう口にしていた。


「ああ、博司までにはいかないが、かなりでかいかもな。ま、こっちも全然退けとってねぇって」


「そうかもな」


 入場がおわりシューティングもスムーズにこなされていく。


 相手もとくに目立ったところはないようだった。



 試合開始直前になり、俺たちは相手チームと向かいあった。

 やはり、一人やたらとデカイのがいた。どうも日本人ばなれしているようたきがする。


『それでは、skybomb対城清の試合を始めたいと思います』



わぁぁぁ!



いいぞぉ!!




優く〜ん!



カズくんがんばって〜!




 相変わらず変な声援が聞こえるようだが気にしない……。試合に集中しよう。


ジャンケンにより、城清の先行が決まった。


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