No.48 たこ焼き地獄!? 前編
15分経過。
目の前にはまだまだ沢山のたこ焼きがある。
俺たちはペースを落とす事無く食べ続ける。
「うまいなぁ! まだまだいけるぜ!」
「ほひひ〜☆(おいしい)」
しかし、
「う〜……私、もうダメかも……」
「何だ久留美、情けないぞ!」
「アナタたちの胃袋と一緒にしないでちょうだい!」
久留美、15分でリタイア。
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――
30分経過。
目の前にはまだまだ減ることを知らないたこ焼きの大群が。
「うまいねぇ〜」
「ほひひ〜☆(おいしい)」
ペースはまだ落ちていなく順調だ。
結構いけるもんだな。
久留美は俺たち二人の食べている様子をじっと見ている。
「よくもまぁそんなに食べられるわね」
「おう!任せろ!」
「ほひひ〜☆(おいしい)」
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――
45分経過。
「ま、まだまだいけるぜ!」
「ほひひ〜☆(おいしい)」
めの前には次第に量が減り始めているたこ焼きがある。しかし、まだまだ沢山あることには変わり無い。
久留美は相変わらず俺たち二人の食べている様子を観察している。
「見てるこっちが疲れるわね」
ちょっとキツくなってきたな……。
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1時間経過。
「……オエッ」
「ほひひ〜☆(おいしい)」
たこ焼きはまだある。いったいどんだけあるんだよ!?
そろそろマジ吐きそうだぜ……。
俺たちの戦いは更に続く。
――――――
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――
「ほひひ〜☆(おいしい)」
「………」
「………」
俺はリタイアし、桜さんの食べっぷりに呆気にとられていた。
久留美を見ても俺と同じ様子だった。
「ほひひ〜☆(おいしい)」
「桜さん! さっきから『ほひひ〜』としか言ってないじゃないですか!」
『へ? そうかな? だっておいしいんだモン☆』
桜さんの挑戦は続く。
――――――
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――
「ごちそうさまでした☆」
『ご、ごちそう…さまでした』
桜さんの掛け声に俺たちが情けない声で続く。
結局、最後は桜さんの一人舞台であった。なぜ桜さんはあんなにスタイルがいいのか不思議でたまらない。
「あ〜おいしかった♪純也くん、ありがとね☆」
「ええ、どういたしまして……っていうか、俺が居なくても桜さん一人でいけたんじゃないっすか?」
その言葉を聞いた桜さんは自分の前で手を振り、
「まあまあ、いいじゃない☆ごはんは人が多いほうが楽しいし♪」
「まぁ、そうですけど……」
「じゃ、私食後の睡眠するから☆」
そう言って桜さんはリビングにある大きめのソファに横になった。
『スー……スー……』
どうやら、もう寝たようだ。最速のスピードだ。
「あ〜、もう…お姉ちゃんったら、そんなとこで寝たら風ひくよ?」
『……スー……スー』
久留美が桜さんに話し掛けるが、残念なことに桜さんはもう自分の世界に入っていた。
「もぅ……しょうがないわね」
そう言って久留美はどこからか毛布を持ってきて桜さんにかけた。
こうして見ると、どっちが姉なのか全然わからない。むしろ、久留美のほうが姉に見えるんだが……。
「じゃあな久留美、俺も帰って寝るから」
そう言って帰ろうとしたときだった。
「はぁ……おかたづけしなくちゃ。誰か手伝ってくれないかなぁ?」
久留美はそう言って俺を見る。要するに俺に手伝えってことか?
しかし俺は眠いんだ。今にも眠りそうだ。布団があれば桜さんほどまでにはいかないが、ドラ〇もんの、の〇太並みのスピードで寝る自信はある。
「じゃあな」
俺はその場を立ち去ることにした。
「うん……じゃあね。しっかりと疲れをとるのよ?」
意外と簡単に帰ることができた。
しっかりと疲れをとれ……か。 あいつもマネージャーなりに気を使ってんのかな?
………。
………あ〜! くそっ! しょうがねぇな!
俺はキッチンへと引き返す。そこには一人、皿を洗い始めた久留美の姿が会った。
「しょうがねぇ、そこまでいうなら手伝ってやるよ」
「え? ジュン。戻ったの?」
「タダ飯ってのも悪いからな」
「………そうね、当然ね」
俺たちは一通りの皿を片付けると、今度はたこ焼きを作る道具の掃除や、生ごみの処理を行なった。
そしてやっと元どおりの姿に復元した。
これでやっと眠ることができる。
「よし、おわったぜぇ〜! 俺は寝る。誰が何と言おうと寝る! たとえ神様でも俺の睡眠を妨げることはできない」
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またもやお姉ちゃんに続き、ジュンまでもが夢の世界へと旅立ってしまった。
お姉ちゃんは自分の家だからいいけどジュンは私の家なのよ?
ジュンには悪いけど起こさないと……。
「ほら、ジュン! 起きて!」
私はジュンの体を揺らした。首がカクカクして面白い。
『ズー……ズー……ズー』
あ、だめだわ! 完全に爆睡状態ね。
私は押し入れからお客さん専用の毛布を取出し、ジュンにそっとかけた。
「今日はしょうがないわよね」
私は今日の試合のスコアに目を通す。
薫さんが33得点で一番。アシストも二桁だから、さすがね。
次は26点で勇希さん。
そしてその次が16点でジュン。
ま、退場になっちゃったけど。
「…………クス」
もう時期関東大会ね。ジュンがレギュラーは厳しいかな?
私はジュンの方を見る。
「……ズー……ズー……久留美が…」
「え?」
「久留美が悪いんだ……ホウキ持って追い掛け回すから………」
「あのねぇ!? 言っとくけど、あれはジュンがわるいんじゃない!」
「ズー……ズー……ズー」
寝てる人に怒ってもしょうがないわね。
「ズー……ズー……ズー」
「……ジュン」
かなり気持ち良さそうに寝ていた。どんな夢を見てるのかしら?
「ありがとう」