表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/152

No.47 たこ焼き地獄!? 前編

 佐川商業との練習試合が終わり、俺は家に帰宅した。


 そのまま部屋に入ると、ベットに倒れこむようにして居眠りを始める。



………………。



――関東大会は、やはりベンチスタートなのか?


 今日の試合、あれだけ派手に暴れたのだからしょうがねぇか……。



…………。




 まあいいや。寝よ。

 今の俺を邪魔するものは無い。一眠りしてから晩ご飯といこうか。



…………。



…………。



 だんだん意識が薄れてきた。まるで、ふわふわした雲のうえに寝ているようだ。今の俺の睡眠を邪魔でもするようなら一瞬で抹殺してやる。



…………。



…………。



『チャラララチャララ♪』


――なんだよ? 俺は寝るんだ。邪魔すんな。


 突然鳴った携帯電話を無視して俺は眠り続ける。




『チャラララチャララ♪』


…………。



『チャラララチャララ♪』


…………。



『ウフッ♪』


――ウフッ!? なんだよウフッ!? って! また絵梨佳(妹)のヤツ勝手に俺の携帯いじったな!



 まぁいいや、寝よ。



…………。



『…………』



 やがて携帯も止まったようだ。あとで掛け直すから今は寝かせろ。



…………。



…………。



『チャラララチャララ♪』


 再び携帯電話が騒ぎ始めた。


――うるせぇな、静かにしろい!



…………。



…………。



『チャラララチャララ♪』


…………。



…………。



『純也くん? 起きて! エサの時間よ?』



――エサ!? とゆうかなんだこの着信音は?


『本当はいるんでしょ? でてきなさい☆お姉さんがお仕置きしてあげる☆』


 桜さん!?


 この声は間違いなく桜さんだ!!(NO.11にでてきた久留美の姉)


 でも何で着信音が桜さんの声に!?


『絵梨佳ちゃんに協力してもらったのよ☆』


 なるほど。どうもご丁寧に……って、


「何で俺の思ったことがわかるんだよ!?」


『純也くん? 電話にでて』


 でるもんか。


『そんなに強情ならお姉さんだって考えがあるわよ☆』


 考え? つぅか、しかし長い着信音だな。録音にどれだけ時間を費やしたのだろうか?


『純也くんの部屋のエッチな本の隠し場所を久留美に教えちゃいま〜す☆』


 絶対にでるもんか。だいたい隠し場所なんてわかるはずがない。


『ベットの下と見せ掛けて押し入れの中の右から2番目の棚のすぐ近くの――』


「はい、もしもし」


「あら? 純也くん、もっと早くでなきゃダメでしょ☆」


 電話にでると桜さんの声が聞こえてきた。


「桜さん、いったい何スか! あの着信音は!!」


「ウフフッ、内緒♪」


 桜さん、おそるべし……。


「それで、何のようですか?」


「う〜ん………」


「………」


 電話の向こうで頭を抱えながら悩んでいる桜さんが想像できる。


「え〜と………」


「………」




「何だっけ?」


ドカッ!!


 知るか!!



「用が無いなら俺寝るんで……」


「あ〜! 思い出したわ☆」


 急に耳が痛くなるほど声のトーンがあがる。


「何でしょう?」


「考えてる暇は無いわ!! 急いで春風家に集合よ☆遅れたら隠し場所いっちゃうよ〜♪」


ガチャッ!



ツー


ツー



「一刻も早く急がなければ!!」


――――――


――――


――



「おじゃましま〜す」


『はいは〜い☆』


 家の中に入ると奥からエプロン姿の桜さんがでてきた。


「あの〜、何ですか、用事って?」


「とりあえず上がって☆」


「あ、はい」


 そう言って家のなかに入る。

 キッチンに近づくにつれて何やらいい匂いがするのは気のせいか?


 そして台所に案内されたときだった。


「……桜さん、何スか? この物体は?」


『えっ? 純也くん、どう見てもたこ焼きじゃない☆』


 それはわかる。紛れもないたこ焼きだ。


 だが量がハンパじゃない。大きめの皿にこれでもか!! ってくらいたこ焼きが山積みになっていた。


「あっ、ジュン。来てたの」


 今度は久留美が現われた。こちらもエプロン姿だった。


「ああ、所で、なぜこんなにたこ焼きが山積みになっているんだ?」


 久留美は腰に手を当て、悩ましげな顔で答えた。


「私が今日の試合のスコアを整理していて、少しの間お姉ちゃんから目を離したら、この通りよ」


 桜さん、おそるべし……。


「桜さん、何でこんなに作ったんですか?」


 無駄だと思うが、一応問い掛けてみる。


「だってぇ〜……たこ焼きがだんだん丸くなって面白かったんだモン☆」


 やっぱりな。どうせそんなことだろうと思ったよ。


「それで、食べきれないから俺を呼んだと」


「そうよ☆」


 そう言って桜さんは笑ってみせる。とても癒される笑顔だ。


「しょうがない……食べるか」


「うん☆ウフフ、純也くんのエライエライ♪」


「そうね、それじゃあ食べましょうか。ジュン、お姉ちゃん、はい、お皿」


「あ、サンキュ」


「ありがとう☆」


 久留美の手から皿が手渡される。


 俺は山積みになったたこ焼きから何個か取り、ソースをかけて食べてみる。


………。



………あ



「うまい!」


「ふはひ☆(うまい)」


「おいし〜」


 三人ほぼ同時に声をあげた。

 確かにうまい。手作りにしてはなかなかの味である。


「桜さん、うまいっすね! これだったら全部食べられるんじゃないんですか?」


「そうね☆これだけの量でも何とかなるかも♪」


『よぉ〜し、食べるぞ〜』


 気合いを入れてたこ焼き(山積み)に挑む俺たちだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ