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No.21 我が目標に狂いなし 前編

すこし遅れ気味の更新ですみませんm(__)mしかも、またまた前編と後編にわかれます。

朱雀高校体育館。


またいつものようにバスケ部員たちが練習に励んでいる。

チーム全体で基礎練習をした後レギュラーたちは実践向き練習、レギュラー以外の一年はまた引き続き基礎練習をしている。


俺は薫にあたえられた課題をこなしていた。

主にルールの確認やレイアップシュートだ。

ジャンプシュートは秘密特訓して驚かせてやるつもりなので今は練習しない。

ちなみに博司はヘタクソなドリブルを繰り返している。


「デラックス石川シャイニングシュート零式!!」


※ただのレイアップシュートです。


さすがにノーマークでは外すことはなく簡単に決めることができる。


毎回毎回基礎ばかりではさすがに嫌気がさしてくる。

――まったく……俺はシュートロボかっつ〜の

気晴らしに博司ウドでもからかいにでもいくか。


懸命にドリブル練習をしている博司に背後から近づく。あいかわらずドリブルはヘタクソ茄子(←意味不)でドリブルをしている間はボールから目を離すことができないようだ。

そのスキを見逃す俺ではなかった。


「スキ有りぃ〜!!」


「うわっ!?」


素早く博司からボールを奪い取る。


「へへ〜」


「ちょっ、ちょっと純也くん!何するのさ!かえしてよぉ」


「ボールがほしかったら私から奪い取ってみろ!もし取ることができなかったら……」


「取ることができなかったら?」


「貴様の命は無い」


「ええ!!なんでそうなるのさ!?」


「つ〜かもう死んでるし」


「え〜!?」


「つべこべ言わずにかかってこい」


「う、うん」


博司は返事をしてからドリブルをしている俺に向かってくる。

まるで牛が向かってくるようだ。

それを俺はいとも簡単にかわす。


「よっと」


「あれ?」


自分ではスティールしたつもりだろうか?博司は不思議そうな顔をしている。


「おらおら!どうした?」


「よ、よぉ〜し」


気合いを入れた博司が再びスティールを狙い向かってくる。

博司はボールに触れることすらできなかった。


俺はわざとらしくミスしたフリをして地面にボールを転がすようにする。


チャンスとばかりに思った博司はそのボールに飛び付く。


俺はそのタイミングを見計らって地面に転がったボールを足のつまさきですくい上げる。


当然、急に目標を見失った博司は豪快に転ぶ。


ズドォン!!


博司の巨体にピッタリな鈍い音が響いた。


「ひっ、ひどいよぉ純也くん!」


「あまったれるな!!」


「!?」


「これがもし戦場だったら貴様の命は無いぞ!!」


「意味がわからないよぉ」


こんな感じで俺たちはひたすら1ON1を繰り返した。

博司がボールをとることができず、すでに泣きがはいってきたときだった。


『よし!集合だ』


突然、キャプテン木ノ下薫の声が鳴り響いた。

部員たちは薫のまわりに集合する。


「みんな集まったな?今から5対5をはじめる。と言ってもいつもの5対5とは違う」


部員たちは薫の言葉を待ち息をのんだ。


「インサイド強化などの朱雀にはまだまだ課題が多い。そこでだ、2、3年生合同チーム対1年生チームの試合をはじめる。1年生も結果次第ではどんどん試合で使っていくつもりだ。」


『おお〜』


完成が沸き起こる。

さらに薫の話はつづく。


「それと2、3年生は相手が1年生だからといって手を抜かないでほしい。これは試合で即戦力になる1年生を発掘するテストだと思ってもらっていい。徹底的にやってくれ。もちろん俺や永瀬勇希、小田原くんも参加する」


『え〜!?』


『まじかよ!!』


『薫さんや勇希さんがでてくるなんて洒落にならないぞ!?』


『勝てるわけが無い……』


1年生たちはみんな弱気になっている。それもそうだろう。朱雀高校を1年生のときから引っ張ってきたエース、木ノ下薫や現朱雀高校副キャプテンの永瀬勇希などがいるのだから1年生たちが弱気になるのも無理はない。ただし、約2名を除いては……


************


「おい薫!俺を敵にまわしたことを後悔させてやるぜ!!」


「薫さん!日頃の練習の成果、見てもらいますよ!!今日は思いっきりやらせてもらいます」


弱気になってびびっている1年生の中に2名、燃えている奴らがいた。

純也と亮である。


薫はそんな二人に言った。


「ははは、その勢いだ。遠慮せずにかかってこい。俺も手加減はしないつもりだ。よし、勇希。はじめるか」


「ああ」


永瀬勇希が答えると同時に部員たちが散らばっていく。

お互いにコートの端っこに別れ、作戦会議をする。


1年生たち8名は亮の周りに集まっていた。


『どうする?亮くん?』


心配になった1年生の渡辺が亮に問い掛ける。


「相手は薫さんや勇希さんがいるからどこからでも点数を取られるだろう。しっかりとディフェンスをすればなんとかチャンスが見えてくるかもしれない。ただしそれは簡単にできることじゃないがな……」


亮がそう話しているときだった。


「思いついたぞ!!」


突然純也が叫んだ。


「どうした?」


亮が問い掛ける。


「チーム名なんだけどさ、『石ちゃんズ』って言う名前と『ストーンリバーオールスターズ』って言う名前どっちがいいと思う?」


ドカーン!


緊迫した空気が一瞬にして消し去られ、メンバーたちはずっこける。


「純也!勝つ気があるのか!?」


亮が言うのも無理はないだろう。亮の質問に対し純也は急に真顔になり答えた。


「勝つ気?俺は負ける気なんかハナからねぇよ」


さらに純也は、


「向かってくる敵は全力でぶっ殺す。そうだろ?いまの俺たちに作戦もクソもあるか?戦う前からびびってどうすんだよ?」


その言葉に亮は笑みを浮かべ


「そうだな、今は思いっきりやるしかないな。よし、みんな!相手が上級生だからって弱気にならないで思いっきりやろうぜ!」


『お〜!』


『何も力を出さずに終わるより勝ち負け気にせず全力でやるほうがよっぽどいいもんな』


「っしゃあ!!今日でレギュラーが全員1年にしてやろうぜ!!俺も基礎練習には飽きてきたことだしよ」


『おっしゃあ!!』


純也の言葉にチームの指揮は高まる。


それを見ていた薫は自分の周りに集まっている2、3年生に言った。


「ははは、今年の1年生は元気だな。どうやらアイツら(1年)は負ける気が無いらしい。それに答えてやるように頑張っていくぞ!!」


『オッス!!』


両チームからそれぞれ選びぬかれた10人がコートの中心に集結した。

ちなみにスターティングメンバーは……



2、3年合同チーム


4番 木ノ下薫 SF

5番 永瀬勇希 C

7番 小田原君 PF

9番 我利勉翔太 SG

10番 吉原さん PG




1年生チーム(石ちゃんズ)



6番 石川純也 PF

8番 長谷川亮 PG

16番 渡辺くん SG

18番 遠藤 SF

番号なし 大山博司 C



となった。


ジャンプボール


やはり背が高い分博司が有利で博司が弾いたボールを亮が取り、見事に石ちゃんズのオフェンスとなった。

亮がハーフコートまでボールを運ぶ。

そして、ひとまずスモールフォワードの遠藤にパスをだした。


遠藤がドリブルをはじめる。その遠藤を容赦なくマークする木ノ下薫。

遠藤がたまらずにパスを出そうと周りを見渡したときだった。


パシッ!!


一瞬のスキを突かれ、遠藤は木ノ下薫にボールをスティールされてしまった。


「くっ!」


ターンオーバーをした木ノ下薫に亮が懸命についていく。

薫のドリブルは速く、ついていくのにも亮はやっとのようだった。


薫がスリーポイントライン付近に近づいたときだった。


キュッ!


薫はレッグスルー(股を通すドリブル)のクロスオーバーをし、急にその場でブレーキをかける。


「な!?」


急に止まった薫に亮は対応できず、体が流れてしまった。


薫はそのままジャンプシュートをして、あいさつ代わりのスリーポイントを決めた。


「亮、すまん俺……」


薫にスティールされた遠藤がボールを拾いながら申し訳なさそうに言った。


「ドンマイドンマイ。気を取り直していこう。しかし味方が全員戻っていないのに一人で決めるとは……さすがは薫さんだ」


――クローズアップシュート(ランニングからのジャンプシュート)か……走っているときに急に止まって放つシュートは予想以上に難しい……それを難なくやってのけるとはな。


「ふふ、追いかけても追い付けない存在……か」


「亮?どうした?」


亮が心配となり、遠藤が声を掛ける。


「いや、なんでもない。早くパスをくれ」


「あ、ああ」


亮は遠藤からパスを受け取る。


――やっぱり目標はこうでなければな!俺が目指している人に間違いはない!!


「薫さん……この借りはキッチリと返させてもらいますからね!!」


うれしさのあまり笑みを浮かべる亮だった――。





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