No.20 悩み
『おねがいします!』
両チームが向き合いお互いにあいさつをする。
コートの上には10人。
まさに試合の始まる寸前である。
ちなみに朱雀高校のスターティングメンバーは、
4番 木ノ下薫 SF
5番 永瀬勇希 C
7番 小田原君 PF
8番 負け犬亮 PG
9番 我利勉翔太 SG
俺がベンチなのは気に入らないが、まあ、高みの好物といこうか……
※見物です。
試合が始まる。
朱雀は得意のパス&ランで走るバスケをみせる。
さらに木ノ下薫の活躍などもあり大量に得点する。
前半終了時点で
42―33とリードすることができた。
しかし、黙って負けている池山工業ではなかった。
相手の攻撃が木ノ下薫中心とみて、薫に二人ディフェンスをつける。
そして肝心なノーマークとなった我利勉翔太だったが、スタミナが続かずいつもなら決まるスリーポイントもはいらない。
しかたがなく我利勉翔太は同じ二年生の背番号10番吉原さんと途中交替となる。
「おい久留美、薫にマークが二人ついたぞ?大丈夫か?」
俺はベンチで隣に座っている久留美に話し掛ける。
「きっと大丈夫よ。薫さんにマークを二人ついたのは別に初めてじゃないもの」
久留美の言葉どおりだった。二人のマークなど気にせず次々に点数を決める。
後半になってみんなのペースが落ちているのだが木ノ下薫は逆にペースがあがっているようにも見える。
薫につられてメンバーも必死についていってるようだった。
『試合終了!』
『ありがとうございました!』
終わってみれば
86―58で勝利した。
――――――
――――
――
――体育館
部員たちもみんな帰った後木ノ下薫は一人シューティングをしていた。
「どうしたらいいものか……」
――たしかに試合には勝った。しかし、我利勉のスタミナ、永瀬のリバウンド、他にもインサイド強化など課題は残った試合だった。たまたま、戦った相手が池山工業だからよかったものの、もしも白川だったら……
そう思いながら薫はリングに向かってシュートをする。
そのボールはリングの淵にあたり、リングの外へと弾きとばされてしまった。
「くそっ……」
――こうなったら……少々問題ありだがアイツらを使うか……
薫のシューティングは夜遅くまで続いた。