No.130 集中
久々の更新です。マッタリマッタリ。でも話の内容はそんなはずもなく…(笑)
残り時間1分25秒。城清のオフェンス。
城清ペースのオフェンスに、朱雀の選手たちは焦りを感じ始めていた。しかし、薫の言った言葉を信じて、集中力は切れていない様子だった。
ボールが何度も選手たちの手に渡る。それに合わせて朱雀は厳しいチェックをする。
残り1分5秒。
オフェンスの残り時間が僅かとなった城清は、朱雀にトドメの一発をかますべく、杉山へとパスをした。
「この試合やられっぱなしなんでね。このままじゃ終われない」
すぐさま永瀬がディフェンスを開始する。珍しく闘志をむき出しにしているようだった。杉山はそんな永瀬の言葉に特に反応することなく、ドルブルしていた。
いや、もしかしたら表には出さないだけで、心のうちでは燃えていたのかもしれない。オフェンスの時間ギリギリまで粘った杉山は永瀬により厳しいチェックをかわし、シュートモーションに入った。
再び永瀬には手ごたえがあったようだ。リバウンドッ、と他の選手達に声をかける。
ボールは杉山にしては珍しく、一度ボードに当たってからリングにぶつかり、そのまま跳ね返ってきたのだった。
勢い良く外に跳んでいったため、やや外にいた永瀬がキャッチすることが出来た。少ない残り時間で5点を追う朱雀は、素早い速攻を繰り出した。
亮に渡ったボールが渡り、物凄いスピードで敵リングへと向かっていく。そしてボールは朱雀高校エース、木ノ下薫に渡った。
「くっ…!」
ディフェンスに来る石塚を急ブレーキでやり過ごし、薫はそのままスリーポイントシュートを放つ。
敵味方共にボールの行方を追っていた。
「リバウンッ!」
薫がそう叫んだ。
「…必要ねぇよ」
純也がベンチでそう呟いていた。その瞬間――。
スパッ!
ボールが網を激しく叩き付ける。
『わぁああああああ』
『いいぞおおおお!』
残り1分を切っていた。点差は2点。どんなに城清が時間ギリギリに攻めたとしても、最低でも後1回は朱雀にオフェンスの番が回ってしまう。
朱雀はどうしても点をとらせるわけにはいかなかった。朱雀のディフェンスが激しくなる。
(まだ焦ったらダメだ。可能な限り朱雀のチャンスを潰す…!最後まで自分達のペースに付き合ってもらいますよ!!)
近江がズレたメガネを指で触りつつ周りを見ていた。
観客も息を呑んでこの試合を見ていた。
時間だけがゆっくりと流れ始める。
そして残り時間は35秒を過ぎた。
ボールはタイミング良く中に入ってきた人物、城清の信頼できる人物の1人、大蔵へと渡った。
そしてボールを受け取った大蔵はそのままリングに向かって一直線に走り出した。
「これで終わりデスヨ!!」
パシィィィッ!!
『なっ!?』
会場の誰もが驚いていた。