表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/152

No.103 銭湯パニック

下ネタ? と言うほどかは分かりませんが、今回はそのような表現が沢山出てきます。

苦手な方はとばしても物語の進行的には問題が無いと思います(汗)


簡単に説明しますと、銭湯に入って合宿一日目終了という感じです。



「ひとまず休戦だ」


「おう!」


亮と純也は銭湯への道をひたすら走っていた。皆からはそれほど離されていたわけではない。彼らが急ぐのには訳があった。


やがて部員達の集団が見えてくる。しかし二人は彼らにペースをあわせることはなく、凄い勢いで 抜き去った。


そのまま銭湯まで走り、中へと入ったのだった。


中に入るとどこか懐かしいような雰囲気が漂っていた。独特の良い臭いがする。

お金を払い、すぐに脱衣所に移動する。そして凄いスピードで服を脱いだ。


そして扉を開ける。そこは貸し切り状態だった。


「っしゃあ! 俺の時代!」


「やっほう!」


二人はシャワーで軽く汗を流した。そして、



ザバァァン



お湯を体にかけると、浴槽に飛込んだ。※危険です。


「全部俺の風呂だああ!」


「俺なんか泳いじゃうもんね〜」


二人はこれがしたかったらしい。なんとも幼い、こだわりである。

しかし、貸し切り状態の風呂は解放感があった。二人は先程の喧嘩が嘘のようにマッタリとした顔でお湯につかっていた。


突然、純也が怪しい笑みを浮かべた。


「なぁ、誰が一番デケェと思う?」


「くだらねぇ…」


亮は純也の誘いには乗らなかった。しかし純也は


「当てたら千円だ。賭けようぜ。それとも俺に負けるのが怖いのか?」


 と亮を挑発する。


「いいだろう! やってやるよ!」


亮が純也にうまく乗せられてしまった。純也が先に言う。

 

「俺は薫に賭けるぜ。ヤツは間違いねぇ!」

 

亮悩んだ末、答えをだした。


「俺は基本通り? 博司に賭ける!」


「オーケィ……では、頭でも洗って待つとしようか」


「……ああ」


純也と亮がシャワーの前に立った。その時――。



ガラガラガラ



他の一、二年に混じって博司が入ってきた。純也が叫んだ。



「ああああぁぁっ! テメェ男しかいねぇのにタオルで隠すんじゃねぇ!」


「わっ、ちょっと……な、何するのさ!」


純也が必死に博司のタオルを奪い取ろうとする。


「博司よ……他のヤツをみろ! 誰一人隠してないぞ!」


『そーだそーだ!』


『みっ・せっ・ろっ(はい!)みっ・せっ・ろっ(はい!)』


「ほっ、ほっといてよぉ…」


 博司はひたすらガードを固めた。そこに永瀬と薫が入ってくる。

 

「ほらみろ! これがこのお方達がモテる理由だ! 堂々としてらっしゃる! 恥じらい一つない! さぁ脱げ! 恥じなど捨てろ! 振り回せ!」


 純也の無理矢理な説得が博司を攻撃する。


「それじゃあただの変態だよお…」


「永瀬先生! 何か言ってやって下さいよっ!」


博司は助かると思ったらしい。しかし…


「まぁ本人の自由だろうが、なぜ男しかいないのに隠す必要があるんだ?」


予想外の言葉が永瀬から返ってくる。


「ほら! 永瀬大先生も、こうおっしゃっている。薫先生を見ろ! シャワーが空くまでの間、腰に手をやって堂々と立ち話をしていらっしゃる!」 


「そ、そんなこと言ったって…」


「さぁ博司の男を示せ!」 

 

「え〜……」


「そうか…無理言ってすまなかった……」


「あ、うん」


そして純也は後ろを向いた。博司が一瞬の隙を見せる。


「うっそだよ〜ん」


ガバッ!



皆の視線が注目した。


――――――


――――


――




「な、なぁ元気だせよ! 男はハートだ! き、気持が大事なんだ!」


「うぅ…」

 

 

純也が胸に手を当てて言った。博司は体育座りをして小さくなっていた。

 

「ほら、風呂上がりにガリガ○君買ってやるから元気だせよ? な?」


「うう…」


 純也はヤレヤレ、と溜め息をつくと亮の近くまで行った。そして、


「どうやら俺の勝ちのようだな」


 そしてニヤリと笑った。

 

「くっ……、なんか少しだけ可哀想じゃねぇか」

 

「風呂でタオルで隠すヤツは周りに狙われる。昔からの基本だ」


「くそっ!」


亮は悔しそうな顔をした。純也は再び博司の隣まで行った。


「特別だ。五百円までなら好きなもん買ってやろう」


すでに勝ち誇った顔をしていた。その時、風呂の扉がゆっくりと開かれた。やがて中から人が姿を現す。


皆の視線がそこに注目した。


「す、すみませんでしたぁぁあ!」


純也が土下座をした。周りの者も無意識に頭が下がっていた。



「え? なになに?」



そこにはいつもの落ち着いた様子の小田原くんがいた。



――――――


――――


――



「いや〜、まいったね。まさか小田原くんが…」


「ああ…」


他の人達は皆上がり、純也と亮は空いたシャワーで体や頭などを洗っていた。

その時、隣の風呂場から声が聞こえてきた。


『わぁ〜、純麗さん! 貸し切りですよ!』


『本当ねぇ〜』


純也と亮は互いに向き合って目を丸くした。そしてかたい握手をかわす。なんと一時的で、うすっぺらい友情だろう。

純也達は耳を澄ませて体を洗っていた。


『はぁ〜気持いい〜。長い一日だったわねぇ〜』


『合宿も意外とやることが多いですねぇ。まさか洗濯がこんなにかかるとは…』


純也達の心が痛んだ。


「なぁ亮…俺らって一体……」


「出よう…おかしくなる前に…」

 

そして二人はそのまま出ようとする。その時――。 

 

『久留美ちゃんかわいっ』


『きゃ、もう…いきなり押さないでくださ〜い』


『えいっ! でもこれ欲しいんじゃないの?』


『ひゃっ…ほ、ほしいですけど……ぁ……つるつるする……あ、…と…だめです…とびだしてる……』


『あぁら、ごめんねぇ。こんなに出るなんて思わなかったからぁ』



――何を!?



――何が!?



「ああぁぁああっ!」


「俺は普通だぁぁっ!」



そう言って二人は浴槽の中に飛込んだ。



    ***



「もう、純麗さん押しすぎですよ! ちょっと押すだけで沢山出るシャンプーなんですから気を付けないと」


「ごめんね〜。髪を下ろした久留美ちゃん可愛くってついつい」


「もぅ……」






こうして一日目の合宿は平和に? 幕を閉じたのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ